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「――それじゃ、また明日」
塾があるという安心院さんたちと別れて渚と帰っていた俺は、別れ道まで来た事で挨拶をして別の道へと行く。
一人になった事で俺は再び安心院さんの事を考え始めた。
今日の様子を見る限り一ヶ月後に安心院さんが命を絶つとは考えられない。
白雪さんとじゃれてる安心院さんは本当に楽しそうだったし、思い悩んでいるようにも見えなかった。
このまま一ヵ月後を迎えても何事もなかったかのように無事に終わりそうだ。
それともまだ問題自体が起きていないのだろうか?
だけど起きたとしても、彼女が自ら命を絶つような出来事っていったいなんなんだ?
……わからない。
むしろ今までの事が――。
「――今までの事が悪夢だったんじゃないのか? そういう顔をしておるのぉ」
「――っ!」
何処からともなく聞こえてきた声。
慌てて顔を上げてみれば、昨晩出会った不思議な少女が目の前に立っていた。
「あ、あなたは……」
「ふふ、本当にいい反応を見せよるの、お主は。これだけで昨晩の事が夢ではなかったと理解したじゃろうが、よぉく考えてみぃ。お主には高校時代の記憶の大半が欠如しており、そして大学四年生まで生きてきた記憶が鮮明に残っておる。まるで実体験をしたかのようにな。それをお主は夢だと思えるのかのぉ?」
「思えません……」
「ふむ、素直でよろしい。というより、なぜお主は妾に敬語を使っておるのじゃ?」
「えっ、だってあなたは――」
俺の脳裏に映るのは昨晩の記憶。
そう、彼女に『時を戻せると言ったら、お主はいったい何をする?』と聞かれた時の記憶だ。
◆
「――時を戻せるとしたら? ごめん、お兄さんそこまで付き合いきれないや」
中二病によくありがちな、自分には『特別な力がある』といっと感じの事を言う少女に俺は苦笑いを返した。
この手の話に乗っかってしまうと話は延々と思えるくらいに続いてしまうはずだ。
普段相手をしてもらえないからか嬉々として話しだし、挙げ句自分ワールド全開になるため聞いてる側にはわけがわからない。
だから時間がある時以外は受け流す事にしている。
……まぁ時間があるなら少しくらいは付き合ってあげるのだが。
そういった自分の趣味を話せないのは辛いところだろうし、その捌け口になるのであればやぶさかではない。
だけど今はもう夜も遅いし、付き合っているわけにはいかないのだ。
……というか、さっきこの子俺の名前を呼ばなかったか?
なんで俺の名前が見ず知らずの女の子に知られているんだ……。
「ふむ……お主、妾の言う事を信じておらぬな?」
「いやいや、そんな事は――」
「死にたくなかったら心して答えよ。お主、妾の言う事を信じておらぬじゃろ?」
これが殺気というのだろうか……?
少女は全身からおぞましい気配を放ち、俺はゾッとするほどの悪寒に襲われた。
額や背中からは汗が吹き出し、逆らう事を許されていないと体が理解してしまっている。
塾があるという安心院さんたちと別れて渚と帰っていた俺は、別れ道まで来た事で挨拶をして別の道へと行く。
一人になった事で俺は再び安心院さんの事を考え始めた。
今日の様子を見る限り一ヶ月後に安心院さんが命を絶つとは考えられない。
白雪さんとじゃれてる安心院さんは本当に楽しそうだったし、思い悩んでいるようにも見えなかった。
このまま一ヵ月後を迎えても何事もなかったかのように無事に終わりそうだ。
それともまだ問題自体が起きていないのだろうか?
だけど起きたとしても、彼女が自ら命を絶つような出来事っていったいなんなんだ?
……わからない。
むしろ今までの事が――。
「――今までの事が悪夢だったんじゃないのか? そういう顔をしておるのぉ」
「――っ!」
何処からともなく聞こえてきた声。
慌てて顔を上げてみれば、昨晩出会った不思議な少女が目の前に立っていた。
「あ、あなたは……」
「ふふ、本当にいい反応を見せよるの、お主は。これだけで昨晩の事が夢ではなかったと理解したじゃろうが、よぉく考えてみぃ。お主には高校時代の記憶の大半が欠如しており、そして大学四年生まで生きてきた記憶が鮮明に残っておる。まるで実体験をしたかのようにな。それをお主は夢だと思えるのかのぉ?」
「思えません……」
「ふむ、素直でよろしい。というより、なぜお主は妾に敬語を使っておるのじゃ?」
「えっ、だってあなたは――」
俺の脳裏に映るのは昨晩の記憶。
そう、彼女に『時を戻せると言ったら、お主はいったい何をする?』と聞かれた時の記憶だ。
◆
「――時を戻せるとしたら? ごめん、お兄さんそこまで付き合いきれないや」
中二病によくありがちな、自分には『特別な力がある』といっと感じの事を言う少女に俺は苦笑いを返した。
この手の話に乗っかってしまうと話は延々と思えるくらいに続いてしまうはずだ。
普段相手をしてもらえないからか嬉々として話しだし、挙げ句自分ワールド全開になるため聞いてる側にはわけがわからない。
だから時間がある時以外は受け流す事にしている。
……まぁ時間があるなら少しくらいは付き合ってあげるのだが。
そういった自分の趣味を話せないのは辛いところだろうし、その捌け口になるのであればやぶさかではない。
だけど今はもう夜も遅いし、付き合っているわけにはいかないのだ。
……というか、さっきこの子俺の名前を呼ばなかったか?
なんで俺の名前が見ず知らずの女の子に知られているんだ……。
「ふむ……お主、妾の言う事を信じておらぬな?」
「いやいや、そんな事は――」
「死にたくなかったら心して答えよ。お主、妾の言う事を信じておらぬじゃろ?」
これが殺気というのだろうか……?
少女は全身からおぞましい気配を放ち、俺はゾッとするほどの悪寒に襲われた。
額や背中からは汗が吹き出し、逆らう事を許されていないと体が理解してしまっている。
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