公爵夫人の俺はもうすぐ病気で死ぬので『最期に閣下が元カレさんに抱かれている痴態を見たい』と夫に頼むと……か、か、叶えてくれた?! 

天上青(ゼニスブルー)

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8. 無限鏡(※)

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俺の部屋に鎮座する巨大な三面鏡は、ただそこにあるだけで圧倒的な存在感を誇っていた。
で、で~ん! という効果音が聞こえてきそうなほど、威圧感すら感じる。
二メートル四方にも及ぶその鏡は、ドワーフの名匠が丹念に作り上げた超高級品だ。

それにしても、マルセル、よくこんな高価なものを手に入れたな。しかも、例によって彼の得意な収納魔法ストレージで、さも簡単に持ち帰ってくるとは。

フレームには精緻な彫刻が施され、細部まで完璧に仕上がっている。
彫刻の隙間には、まるで宝石のように輝くカットガラスが埋め込まれ、光を受けるたびにキラキラと反射している

「改めて見ても、すごいなぁ」

「はい」

鏡自体の透明度も素晴らしく、俺とマルセルの姿をくっきりと映し出している。それに加えて、盗難防止の魔法までかけられているんだから、誰も手を出すことなんてできやしない。

まあ、こんなもの、盗もうとする奴なんていないだろうけどね。

扉を開けば、三面鏡の特性で、たくさんの俺とマルセルが並んで映し出される。

どの角度から見ても歪みなく、俺たちを映すその姿に、なんとも言えない迫力を感じる。大きさもすごいが、その芸術的な美しさと存在感に圧倒されずにはいられない。ああ、鏡の奥で、マルセルが。……たくさんのマルセルが俺を見ている。

「んっっ」

「どうされました、イーデン様?」

「な、なんでも、な……」

「もしかして、もう?」

「ちがっ」

「もう、気持ちよくなって、しまわれましたか?」

「ちが……う、こと、は、ない……けど」

ああ、恥ずかしいよぉ。でも、でも……。

マルセルは鏡の前に大きなソファーベッドを移動させた。

これも収納魔法ストレージを使うことで、一人で簡単に移動できるんだ…運ぶのではなく、収納魔法ストレージに入れてから、おきたい場所に出すという作業だね。出し入れの動作が、まるで前世の青い猫型ロボットみたいで密かに笑いそうになったよ。

「イーデン様。今宵は、ここで……」

うん、その言葉の続きはわかっている。

ここで、愛し合おう。


***


「はぁ、んぁ♡」

マルセルが俺にキスしながら寝着をまくり上げ、香油を指に垂らし、俺の乳首に塗りこむ。

「あ、ぁあ!んっ♡」

思わず腰をくねらせてしまう。

「あぁ、イーデン様……」

こんな風に乳首を誰かに触れられるのは、前世も今世も含め初めてだ。ここがこんなに気持ちいいなんて知らなかった。

「イーデン様の乳首は、とても敏感ですね」

そう言ってマルセルが優しく爪で引っ掻くので、「んぁあっ♡」俺は思わず仰け反ってしまった。

マルセルは俺を後ろから抱えるようにしてソファーベッドに座り、鏡と向き合う。この体勢で鏡を見ながら、俺の乳首をくにくにとねはじめた。

ああ、鏡にたくさん映っている、後ろから乳首をねられている俺が…。そしてマルセルが情欲に濡れた瞳でそんな俺を見ている。

「ああ、マルセル。もっとぉ♡もっと、ねてぇ♡あっ♡あっ♡あ、ぁ、もっと強くぅ♡」

彼は俺を鏡越しに見つめながら、

「イーデン様、とても淫らでお美しいです」

そう言って俺の両方の乳首を同時につねった。

「あ、あぁ♡」

「ああ、イーデン様…」

俺の頭の上にキスをおとす。なんか大切に扱われているみたいで嬉しい。

「もっとぉ、もっとぉ、見てぇ♡」

「はい、しっかりと、見ておりますとも」

マルセルは興奮して俺の首筋を嚙む。

「あっ、あっ、いいっ、マルセルっ、気持ちいいのぉ♡」

そして俺の乳首を指ではじき、指の腹で乳頭を押しつぶす。ああ、それ、すっごく気持ちいい。マルセルに乳首を弄られながら、鏡に映る俺たちを見て昂ってくる。

ああ、なんて淫らでいかがわしいのだろう。

「あぁ♡あぁ♡あ♡あ♡」

合わせ鏡の中で俺たちの痴態が数えきれないほど映っている。

鏡が向かい合って、互いを反射し続けることで、無限に続く映像が生まれる。――それはまるで、俺とマルセルそのものじゃないか?!

「イーデン様、愛しております。イーデン様!」

マルセルは俺の耳を舐めながら言う。

そして、彼の股間が大きくなったのを感じた。

「ああ、マルセルも興奮してるんだ♡嬉しい、嬉しいぃぃ♡」

俺はそのまま鏡に向かって足を開くと、自分の逸物を映しながらしごき始めた。

ああ、マルセルが俺を見てくれてる。俺はもっとしごく手を激しくする。ああ、鏡の中の俺もすごい勃起してる……マルセルの呼吸も荒くなるのがわかる。そして彼の大きな股間もまた俺を誘惑するようにピクピク動いている。

あぁ、そろそろ挿入れてほしい…そう思ったとき

「イーデン様、体勢を変えますね?」

俺の体はひょいと持ち上げられたかと思うと、そのままそっとソファーベッドの上に仰向けにされた。

「あぁ……俺、もう我慢できない……」

俺は彼の首に腕を回す。

「イーデン様、私もです」

彼は俺の両足を大きく開かせながら覆い被さってきた。そして、俺の後孔に期待していたモノがあてがわれるのを感じた。ああ、やっとだ。やっと挿れてくれる……そう思った瞬間、「あっ、ああ♡……え?」俺は思わず叫んでしまった。

俺の後孔に挿入されたのは香油を纏わせたマルセルの指だ。しかも一本ではない、何本もの指で犯されているのだ。

「あ、ああ、そんなぁ♡だめぇえ、早くぅ♡挿入れてぇぇ、はやくぅぅ♡」

俺は堪らず縋り付いたのだが、

「イーデン様……よく解さないと、御身を傷つけてしまいます」

彼はそう言うと、さらに激しく指を動かした。

「あぁ♡は、はやくぅ♡挿入れてぇぇ♡ほ、しぃ、ほしぃよぉぉぉっ♡」

ぐちゅ、ぐちゅっと、油と愛液が混ざりあう淫猥な音がする。

「あぁん♡あっ♡あっ♡」

俺は思わず腰を揺らした。

「イーデン様、ここですか?」

彼はそう言うと、俺の前立腺を集中的に攻め立てる。

「あぁ♡そこぉ♡だめっ!気持ちいいのぉ♡」

俺は思わず仰け反った。あ、あ、もうイくッ、そう思った瞬間、突然指が抜かれた。え?なんで?!……と俺が思う間もなく、今度はもっと太くて熱いものが挿入されたのを感じた。それは紛れもなくマルセルの屹立だった。

ああ、やっと挿れてくれた、そう思うと同時に、彼は激しく抽挿を始める。

「あっ♡あんっ!あ、あん、あぁん♡」

俺はもう何も考えられなくなった。彼の熱いモノが俺の中を出入りするたびに快感が走る。ああ、気持ちいい……もっと欲しい……もっと動いて。

「イーデン様……」

彼はさらに強く腰を打ちつけてきた。あ、だめっ、そんなにされたら……ああ、すごい、蕾内なか全体が感じる、異世界人の身体ってすごいんだな。

「イーデン様、私の腰に脚を絡めて下さい」

そう言われたので従うと、そのまま俺の上体は持ち上げられ、……えっとこれって、前世でいう対面座位? ああ、ほんとにあるんだな、当たり前だけれど。実際に自分がこんな体位をとるとは思ってもみなかった。

「こうすると私の肩越しに鏡を覗きこめますよ」

向き合ってぎゅっと抱き合えるし、顔が近くにあるので、たくさんキスだってできる。

「鏡越しに私の顔も見られますからね?」

ああ、本当だ…俺はマルセルの首筋に顔を埋め、彼の体臭を深く吸い込んだ。その瞬間、彼はわずかに驚いた様子を見せたが、すぐに優しげな表情を浮かべ、俺の頭にそっと唇を寄せた。その仕草に心がふわりと温かくなる。普段は見えない角度からも鏡越しならば見えるのだ。

「あぁ、すごい…」

まるで俺たち二人の姿を余すことなく捉えることができるような、不思議な感覚がした。
ひとしきり視界を堪能すると、「動きますね」と、彼は俺を抱えたまま下から激しく腰を打ち付けてきた。

「あぁっんっ♡ふ、ぅあ、は、ああぁあ♡」

抱き合って、密着して、でも律動は止まらない。時々、内奥をすりつぶすかのようにぐりぐりと押し付けられる。

「んはぁあっ、あ、ぁあっ♡いきゅッ♡またいっへ、る♡いっひゃっ、やぁぁ♡ひ――いぃッ♡」

俺は思わず大きな声を出してしまう。ああ、すごい深いところまで届いてる……

「き、きもひいぃ、よぉ……もっとぉ、突いてぇ♡」

マルセルはさらに強く俺を打ち付けた。あ、だめっ!!そんなにされたらぁ。

鏡の中の俺はそれはもう気持ちよさそうな顔をしている…それはマルセルも同じだった。とてつもなく快楽に蕩けた瞳をしている…あぁ、やばい…その表情、好きだなぁ。

「イーデン様、愛しております」

マルセルが俺にキスをする。舌を絡めながら、蕾内なかがごりごりと穿たれていく。

「はぁっ♡いいっ♡んちゅっ♡奥に、当たるぅっ♡もっとぉ♡もっとぉ、ごちゅごちゅ、してぇっ♡」

俺は思わず喘いだ。ああ、気持ちいい……もっと欲しい……そのまま貫いて。

「角度を変えましょうか?」

俺は必死で首を振る…角度じゃなくて、もっと奥に、深くに、欲しいんだ。

「ではこのまま…突きますね」

マルセルはさらに強く俺の蕾内なかを串刺した。

「んっ♡ああっ♡もっとぉっ♡激しくぅぅっ♡なかをぉ、えぐってぇぇっ♡」

鏡に映る自分の痴態を見られて興奮している……そんな俺を見てマルセルも興奮する。その彼の欲望に濡れた瞳に、俺はまた堪らなくなる……そして……。

これは無限のループだ。

「イーデン様……」

「き、きもひいぃっ♡きもちぃーよぉっ♡蕾内なかぁ、ぐりぐりぃ、してぇっ♡ん、まるせるのぉ、かたいのでぇ、きまわしてぇぇぇっ♡」

マルセルはさらに強く俺の蕾内なかを打ち付けた。はぁ、気持ちいい……もっと欲しい。きっと、このループは終わることはない、ずっとずっと続いていく。

ああ、止まることを知らない無限の輪が、繰り返し続いていく。これほどまでに至福な感覚に、飽きることなどあるだろうか。

「くぅぅっ、うぅ♡ああぁ、ん♡はぁっ♡はぁ、はぁ♡ ああ、あ、あっ♡」

……永遠に終わらない、この快楽の連鎖は、まるで深い渦に飲み込まれていくようだ。

「くっ、イーデン様。んっ、奥に注ぎます、ねっ」

マルセルが俺の最奥に射精した。

びゅるるるっって音が聞こえてきそうな勢いだ。

お腹の奥に熱いものを感じる…これは、きっと彼の魔力。俺の身体は飢えを満たすかのようにそれを存分に味わっているのが分かる。……もしかしたら、これが魔力の交換か?

「あぁ、ま、まるせ、るぅ、すごいぃ♡あつい、あちゅいぃよぉぉ♡」

「イーデン様、愛しております。初めてお会いしたときから、ずっと……」

尽きることのない歓喜に、身を任せるしかない。この循環は、永劫に続き、果てしなく広がる。その終わりは遠く、どこまでもどこまでも続いていく。

まるで世界そのものが、無限に回り続けているかのように。

「んぉおおっ、あぁんっ♡やっ、だめっえ またイっぐぅぅっ♡あっ、あっ、い、いく、いくいくいく♡ぁ、あーっ、あぁっぁあーーッ♡♡」

「ずっと……あなたしか、見えませんでした」

身体の奥底から溢れ出る熱が、溶岩が流れ出るかのように内側を焼き尽くしていく。その熱さに包まれながら、俺は抑えきれないほどの満足感に浸り、何度目かすら分からない歓喜の雄たけびを上げた。

「まだイってる、イってるぅ♡終わらないよぉ♡はっ、はっ、あぁっおぉッ♡ぅおっ、おぉおお゛っ♡っぐぅッ、ぅゔあぐぅう♡」


全身を駆け巡る圧倒的な悦楽が、俺を完全に支配していて、この瞬間が永遠に続くかのように感じられた。


―――なぜか突然、夢で会った女神を思い出す。

そうだ、俺はきっと、この悦楽よろこびを知るために生まれ変わったに違いない。


ずっと見い出せないでいた、自分がこの世界に転生した意味を……俺は、やっとここに見つけたのだ。

俺は今日もこの日一日を大切に生きるだろう。



ああ。この世界グレンツェンは素晴らしい。

たくさんの愛と悦楽よろこびで満ち溢れている。



創造神アステリアは「愛と性の女神」なのだから―――。




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