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7 なぜ必要な人間を大切にできないのか

必要でないなら諦めがついたのに

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私が絶望した理由をこの章でもう少し詳しく説明しようと思う。

私は効率厨だ。
業務を縮小するためにどうしたらいいか考えることが好きだ。
そんな効率厨にとって常につきまとう残念なことがある。
効率厨と上司は相性が悪いという現実だ。

私は教えてもらったことの重要な部分を確認し、目的に沿って業務を再構築する。
そうして、今までと結果は同じだけれどやり方が違う業務が生まれる。
そうなると問題が起こる。
上司がやり方を理解把握できないから、間違っていることをやっているように見えてしまうのだ。

日本で「効率アップが…」とよく言われているが、効率を実現したい会社はほぼない。
それよりも、いままで培ったやり方を守る方が優先される。
なぜなら、勤続年数が長い人ほど、地位が高い人ほど順応できないからだ。
効率厨は自然と自分のやり方を隠して様子を見る癖がつく。
その方が効率がいいからだ。

私は運よくエクセル関数を使えたので渡された業務を縮小し、業務がコピーと貼り付けで終わるように辞書を作成した。
コピーと貼り付けだけすれば業務が終わる辞書は、シラコちゃんやヒラメさんに渡した。
使い方を教えたが、「理解できない。もう少し慣れたら使う」と言われてびっくりした。
効率厨仲間に聞くと、普通の人は「楽に終わらせたい」という気持ちがないらしい。
効率を上げることに興味がない。
「手作業でやった方が分かりやすくて負担がない」と感じるそうだ。

様子を見ながら、全体で使うエクセル文書もタイミングがあれば簡単にした。
理系の会社だったので、エクセルはマクロと呼ばれるプログラムで簡略化されていたのであまり活躍の場はなかった。
ただ、まれに法律の変更などで使えなくなった文書は、手が回らない上司タチウオさんに変わって私が再構築した。

自分で言うのもおかしいかもしれないが、かなり使い勝手のいい人材だと思う。
タチウオさんと相性が悪いことを差し引いてもこの職場で必要不可欠だと思う。
私一人で二人分は働く能力があると思う。

そして、私が言いたかったのはここからだ。
能力自慢がしたかったのではない。
私が辞めたら、私が抱えている仕事を引き継げる人材がほぼいないという現実である。

退職してしまったサワラさんの大量の業務を私が引き継いだから上司タチウオさんと私だけでも業務がなんとか回っていた。
私がやめたら、フォローがないと働けない残った二人では回せない。
けど、タチウオさんは「自分が頑張ればなんとかなる」と思っているので問題として見えない。
タチウオさんが毎日の残業を増やし、土日出勤すればいい。
今までにサワラさんと私でせき止めていた業務量はバカみたいにタチウオさんにのしかかるだろう。
土日出勤だけでは終わらず、もしかするとこの部署は崩壊するかもしれない。
それなのに、私が辞めることを考えるほど弱ってしまうことは目に入らず、別に辞めても問題ではなく、「みんなと仲良くして欲しい」が優先する男。

効率厨としては、悔しいやら悲しいやら、納得できないやら、すっかり感情がおかしくなってしまった。

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