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6 悪役令嬢化完成

派遣会社担当呼び出し

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その日は、派遣会社の担当が来ることになっていた。
いつもの書類の更新なんだろうと思った。
朝からなんだかぼーっとして、うまく仕事が進まず、集中することが難しい。
私が、後輩シラコちゃんを無視しはじめたことは担当に連絡がいっているだろうから、いろいろ説明しないとな、と気合いを入れていた。

午後に担当フグさんはやってきていつものように一人一人面談することになった。
最初に私が呼ばれる。
「更新についての面談じゃないんですか」
「まだ時期じゃないよ。今回のことについて正直な気持ちを教えて」
と言われた。
上司タチウオさんが、困ってフグさんを呼び出したのだ。
「鯛さんも自分が入れてあげた人に迷惑かけられて大変だね」
と黒くて四角い顔の中におさまったギョロっとした目をこちらに向けて言い放った。
苛立ちを覚えたが、口には出さなかった。
本当のことすぎて腹が立っただけだったからだ。
私は、「仕事をしないシラコちゃんをこれ以上見ることが耐えらません」と説明した。
私の気持ちは、全てタチウオさんに話していることも付け加えた。

フグさんは、
「俺にもそういった嫌いな人がいるから分かる。
プライベートは一切話さなくていいから、業務用の最低限のことはちゃんとやりとりして」
と注意された。
私は、その言葉に安心した。
派遣内で評判の悪いフグさんだけど、価値観が似ているので私は好きだった。
ただ、私は最近、ガードを緩めて業務上のやりとりはしているつもりだった。
「今もやっているつもりです」
と言ったものの、言いにくい空気は出ているかもしれないから、そこはできる限り注意すると約束した。

「これから、業務内容的にしゃべるタイミングが減るし、シラコちゃんは私よりももっと癖の強いお局がいる職場にいたことがあるそうなのでシラコちゃんがうまく対処すると思います」
と付け加えた。


そして、私が部署に帰ったあと、一人一人呼ばれて1時間程度の面談が続いた。
フグさんはもともと話が長いので、今日もいっぱい話してるんだな、と思っていた。
そして、最後にタチウオさんとの面談になった。
一向に戻ってくる気配がなく、退社時間が近づいてきたので、トイレに行くついでに様子を見に行こうと思った。
すると、面談を終えた二人が近づいてきた。
私はタチウオさんに呼ばれ二人で話すことになった。
タチウオさんは、「私に変えて欲しいことが2点ある」と前置きしてちょっとしたことを注意された。
そして、最後に「シラコちゃんとの仲を戻すことはできないか」と聞いてきた。
そこで私は気付いてしまった。
犯罪以外どんなことでも許してくれると思っていたタチウオさんは、「みんなで仲良く」ということを汚すことは許せなかったらしい。
そこには時間をかけてフグさんが説得してくれたけど、納得できない顔があった。
いつもの穏やかな声に珍しく苛立ちがあった。
「無理です」
と私は答えた。
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