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序章
第零話「終わりというのは、新たな始まりを呼ぶ」
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青年は一人、闇と光の交わる地平線の見える海辺で少女を抱えて泣いていた。
「ごめんよ...君を守ることが出来なかった」
彼女から返事はない。
それでも青年は力いっぱい抱きしめて、冷たくなるその瞬間まで、涙が枯れるまで抱き続けた。
■■■
二月十五日。その日は悪天候ながらも、修学旅行先へ向かうバスは険しい崖道を走っていた。
橘 日向はクラスメイトがバス内で騒いでいるのにも関わらず、一人、窓の外を覗いていた。
窓に映る自分の顔をじっと見つめる。それはまるで哀れな自分の姿を見せられているように思えた。
運転席からの大声にも聞く耳を持たず、ただ一人崖下の闇をじっと見つめている。
途端のことだった。ヒナタの右隣に座っていた四名の体重がすべてヒナタの方へ寄ってくる。
押し潰されるような感覚にヒナタは呼吸さえも出来なくなってしまう。
やがて重さに耐えられなくなった窓は、ぴしっと音を立てて亀裂が入り、豪快な音と共にガラス片と化する。
やっと呼吸が出来るようにヒナタだったが、自分が見つめていた闇に今まさに呑み込まれようとしていて、呼吸するのを忘れていた。
先が見えない黒く塗りつぶされた空間は、他のクラスメイト達の姿を消す。
自分もこんな風に人生が終わるのかと、つまらなかった、色の無かったこの世界に終止符を打つため、そっと目を伏せた。
──ねぇ、こんな所で終わっていいの?
不意に誰かの声がした。
聞いたことの無い声なのに、何処か耳障りのいい話し方。
驚きのあまり、下から吹き上げる強烈な風なんか気にせず目を開き左右を確認する。
乾く目を必死にこらえ見つけた彼女はこの状況に不釣り合いな笑みを見せた。そんな彼女は何故か色鮮やかで。
白い肌に黒い髪。ヒナタは目を疑った。
腐り切ったこの世界に色など存在しないと、そう思っていたヒナタだったが、彼女の姿は、しっかりと淡い色をしていた。
彼女の名前は───
■■■
ゆっくりと目を開けると、瞼の隙間から眩い光がヒナタの瞳を刺激する。
咄嗟に右腕で光を防ぎながら開いた目に映ったのは少なくても、日本ではなかった。
広大な芝生の絨毯の上に大の字で寝ていたらしい。
脳の整理が追いつかない。自分が居たのはバス内のはずで、天気は雨、だったはず。服が全く濡れていないというのは少し不思議だが、まぁ今は置いておこう。
とりあえず体を起こし、辺りを見渡す。東西南北どこを見ても綺麗な緑色の草が伸び伸びと広がっているだけで、それ以外には何も無い。
その時、突然頬に何かが走った。
柔らかな刺激で痒くなった頬を爪でかくと、その指が濡れていることに気が付き、驚きのあまり、数秒固まる。
まさかと思い目元に手を当てると、そこには水滴がついており、どうやら涙を流したようだった。
もう何が何だか分からなくなり、その場に呆けていたヒナタに、一人の少女の声がした。
まだ距離があるため、何と言ったまでは聞き取れず、声のした方向だけをじっと見ていると、どうやら金髪の女の子がこちらに走っていている。
「はぁ...大丈夫?」
息を切らしながら走ってきた少女は額に汗を浮かせ、心配そうな瞳でヒナタを見据えた。
「だ、大丈夫」
綺麗な金色の長い髪の毛は風に靡き、潤んだ碧眼は宝石のように美しかった。
シンプルなグリーンのワンピースはその金色の髪の毛とでより鮮やかに映し出されていた。
こんな、綺麗な景色を見たのはいつぶりだろうか。ヒナタは思わず見とれてしまう。
「私はエシリア。向こうにあるリアウスっていう村に住んでるの。あなたは?」
「俺は橘日向。なんでここにいるのか分からないんだ」
肩を竦め、首を横に振るヒナタに対し、エシリアは何だか不思議そうな目でヒナタの全身を眺める。
「その不思議な服は何?」
「服?えっと、これは学校の制服だよ」
分かりやすく、且つ簡潔に説明したヒナタだったが、当のエシリア本人は「ガッコウ...」とどうやら理解してはいないようだ。
「とりあえず私の村においでよ。案内するから」
半ば強引に腕を引っ張られ、無理やり立たされたヒナタは目の前に広がっていた光景に、無意識に空いた口を閉じるのも忘れ、ただ辺りの景色を見渡すだけだ。
──綺麗だ。
いつからか、全てが灰色で映し出され、見える色は黒色と灰色と白色だけになってしまったヒナタの目に映るのは、広大な緑の絨毯。
先程も同じ光景を見たはずだが、先はそんなこと気にもしていなかった。しかし、改めて見ると、こんなにも世界は美しいのか。
「こっちだよ」
草原を見ていたヒナタに、ふと声をかけられる。もう既に何歩か先に行ってしまったエシリアに小走りで追いつき横に並ぶ。
「エシリア...さん?ここは何処なの?」
「エシリアでいいわ。それと、ここは何処ってどういう質問?」
「えっと...国名は何?」
「この国の名前は...えっと...確か『アルフベイル』だよ」
──アルフベイル...何処かで聞いたことのある名前だ。
そう思ったヒナタだったが、さすがに何処で聞いたのかまでは思い出せず、一旦アルフベイルのことは頭の片隅に置いた。
「アルフベイルか......リアベルはアルフベイルの中ではどの辺にあるの?」
「うーん...私、北とか南とかよく分かんないから村についたら地図を見せてあげるよ」
「それは助かるよ。それと──」
そこまで言ったところで、エシリアがヒナタの前出てきて、手のひらをヒナタに向けた。
その手で悟ったヒナタは話すのをやめ、エシリアの言葉に耳を傾ける。
「色々聞きたい事があるのは分かったけど、とりあえず村まで待って」
優しく、赤子をあやす様に柔らかな声音にヒナタは「分かった」と頷き、歩くのを再開する。
「それじゃ次は私の番ね」
ウキウキとした声で話すエシリアに疑問を抱く。
「最初の質問。君はどこから来たの?」
自分は質問するのかと少し肩を竦めたが、ここで教えない理由もないとヒナタは正直に話す事を決意した。
「俺は、──」
──何処から来たんだ?数分前までは分かっていたのに。
不思議な感覚に囚われ、数秒の間沈黙が続いた。エシリアはその事に不審に思い、ヒナタの顔を覗き込む。
「ヒナタ?」
「あ、ああ大丈夫。ごめん何処から来たのか思い出せないや」
その言葉にエシリアは驚きをみせる。
その時だった。
「止まれ」
不意に後ろから圧のかかった声がする。
その声にヒナタ達は足を止めた。エシリアは肩を跳ねあげ、息を呑み、目を伏せた。ヒナタは、その様子を横目で見て、何か良からぬ事が起こるのではと、不安が募った。
恐る恐る振り返ると、そこには一台の荷馬車と、馬が四頭。それと鋼や鉄で作られたであろう鎧を着た男が四名。それぞれの馬達に跨っていた。
皆、腰に革製の鞘の様なものを付け、一番手前、鎧の装飾が一番派手な男だけがその鞘を二本腰に付けていた。
誰だ。とそう言おうと口を開いた瞬間。
目の前に手を広げ、ヒナタを庇う少女の姿があった。
「エシリア!?」
「大丈夫。ヒナタはそこで静かにしてて」
同じ声だと思えない程、重みを感じたヒナタは彼女の言う通り口を結んだ。しかし、ヒナタには分かっていた。標的が自分なのだと。今まで自分を標的にした奴らと同じ目をしていたから、すぐ分かったのだ。
そう思うと、自分が犠牲になればいいだけの話だ。少し向こうの世界の事を忘れているがこの事は死んでも忘れないだろう。
いつもの様に、何も考えず、ただ言われる通りの、相手が望む行動をとればいい。簡単な事だ。
「用事があるのは俺だろ?彼女は関係ない」
今度はヒナタがエシリアの前で両手を広げる。
騎士は少し目を細め、顎に手を当て、何かを探ろうとヒナタをじっくり見た後、
「まぁいい。おい、やれ」
部下達にそう命令し、教育されたような返事を返した部下達は馬から降り、ヒナタの両手、両足、更には口に猿轡を無理矢理ねじ込まれ、完全に身動きが取れない状況にされた後に乱暴に荷馬車に放り込まれた。
最後に見たエシリアの表情は何故か、悔しさを帯びていた。
「ごめんよ...君を守ることが出来なかった」
彼女から返事はない。
それでも青年は力いっぱい抱きしめて、冷たくなるその瞬間まで、涙が枯れるまで抱き続けた。
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二月十五日。その日は悪天候ながらも、修学旅行先へ向かうバスは険しい崖道を走っていた。
橘 日向はクラスメイトがバス内で騒いでいるのにも関わらず、一人、窓の外を覗いていた。
窓に映る自分の顔をじっと見つめる。それはまるで哀れな自分の姿を見せられているように思えた。
運転席からの大声にも聞く耳を持たず、ただ一人崖下の闇をじっと見つめている。
途端のことだった。ヒナタの右隣に座っていた四名の体重がすべてヒナタの方へ寄ってくる。
押し潰されるような感覚にヒナタは呼吸さえも出来なくなってしまう。
やがて重さに耐えられなくなった窓は、ぴしっと音を立てて亀裂が入り、豪快な音と共にガラス片と化する。
やっと呼吸が出来るようにヒナタだったが、自分が見つめていた闇に今まさに呑み込まれようとしていて、呼吸するのを忘れていた。
先が見えない黒く塗りつぶされた空間は、他のクラスメイト達の姿を消す。
自分もこんな風に人生が終わるのかと、つまらなかった、色の無かったこの世界に終止符を打つため、そっと目を伏せた。
──ねぇ、こんな所で終わっていいの?
不意に誰かの声がした。
聞いたことの無い声なのに、何処か耳障りのいい話し方。
驚きのあまり、下から吹き上げる強烈な風なんか気にせず目を開き左右を確認する。
乾く目を必死にこらえ見つけた彼女はこの状況に不釣り合いな笑みを見せた。そんな彼女は何故か色鮮やかで。
白い肌に黒い髪。ヒナタは目を疑った。
腐り切ったこの世界に色など存在しないと、そう思っていたヒナタだったが、彼女の姿は、しっかりと淡い色をしていた。
彼女の名前は───
■■■
ゆっくりと目を開けると、瞼の隙間から眩い光がヒナタの瞳を刺激する。
咄嗟に右腕で光を防ぎながら開いた目に映ったのは少なくても、日本ではなかった。
広大な芝生の絨毯の上に大の字で寝ていたらしい。
脳の整理が追いつかない。自分が居たのはバス内のはずで、天気は雨、だったはず。服が全く濡れていないというのは少し不思議だが、まぁ今は置いておこう。
とりあえず体を起こし、辺りを見渡す。東西南北どこを見ても綺麗な緑色の草が伸び伸びと広がっているだけで、それ以外には何も無い。
その時、突然頬に何かが走った。
柔らかな刺激で痒くなった頬を爪でかくと、その指が濡れていることに気が付き、驚きのあまり、数秒固まる。
まさかと思い目元に手を当てると、そこには水滴がついており、どうやら涙を流したようだった。
もう何が何だか分からなくなり、その場に呆けていたヒナタに、一人の少女の声がした。
まだ距離があるため、何と言ったまでは聞き取れず、声のした方向だけをじっと見ていると、どうやら金髪の女の子がこちらに走っていている。
「はぁ...大丈夫?」
息を切らしながら走ってきた少女は額に汗を浮かせ、心配そうな瞳でヒナタを見据えた。
「だ、大丈夫」
綺麗な金色の長い髪の毛は風に靡き、潤んだ碧眼は宝石のように美しかった。
シンプルなグリーンのワンピースはその金色の髪の毛とでより鮮やかに映し出されていた。
こんな、綺麗な景色を見たのはいつぶりだろうか。ヒナタは思わず見とれてしまう。
「私はエシリア。向こうにあるリアウスっていう村に住んでるの。あなたは?」
「俺は橘日向。なんでここにいるのか分からないんだ」
肩を竦め、首を横に振るヒナタに対し、エシリアは何だか不思議そうな目でヒナタの全身を眺める。
「その不思議な服は何?」
「服?えっと、これは学校の制服だよ」
分かりやすく、且つ簡潔に説明したヒナタだったが、当のエシリア本人は「ガッコウ...」とどうやら理解してはいないようだ。
「とりあえず私の村においでよ。案内するから」
半ば強引に腕を引っ張られ、無理やり立たされたヒナタは目の前に広がっていた光景に、無意識に空いた口を閉じるのも忘れ、ただ辺りの景色を見渡すだけだ。
──綺麗だ。
いつからか、全てが灰色で映し出され、見える色は黒色と灰色と白色だけになってしまったヒナタの目に映るのは、広大な緑の絨毯。
先程も同じ光景を見たはずだが、先はそんなこと気にもしていなかった。しかし、改めて見ると、こんなにも世界は美しいのか。
「こっちだよ」
草原を見ていたヒナタに、ふと声をかけられる。もう既に何歩か先に行ってしまったエシリアに小走りで追いつき横に並ぶ。
「エシリア...さん?ここは何処なの?」
「エシリアでいいわ。それと、ここは何処ってどういう質問?」
「えっと...国名は何?」
「この国の名前は...えっと...確か『アルフベイル』だよ」
──アルフベイル...何処かで聞いたことのある名前だ。
そう思ったヒナタだったが、さすがに何処で聞いたのかまでは思い出せず、一旦アルフベイルのことは頭の片隅に置いた。
「アルフベイルか......リアベルはアルフベイルの中ではどの辺にあるの?」
「うーん...私、北とか南とかよく分かんないから村についたら地図を見せてあげるよ」
「それは助かるよ。それと──」
そこまで言ったところで、エシリアがヒナタの前出てきて、手のひらをヒナタに向けた。
その手で悟ったヒナタは話すのをやめ、エシリアの言葉に耳を傾ける。
「色々聞きたい事があるのは分かったけど、とりあえず村まで待って」
優しく、赤子をあやす様に柔らかな声音にヒナタは「分かった」と頷き、歩くのを再開する。
「それじゃ次は私の番ね」
ウキウキとした声で話すエシリアに疑問を抱く。
「最初の質問。君はどこから来たの?」
自分は質問するのかと少し肩を竦めたが、ここで教えない理由もないとヒナタは正直に話す事を決意した。
「俺は、──」
──何処から来たんだ?数分前までは分かっていたのに。
不思議な感覚に囚われ、数秒の間沈黙が続いた。エシリアはその事に不審に思い、ヒナタの顔を覗き込む。
「ヒナタ?」
「あ、ああ大丈夫。ごめん何処から来たのか思い出せないや」
その言葉にエシリアは驚きをみせる。
その時だった。
「止まれ」
不意に後ろから圧のかかった声がする。
その声にヒナタ達は足を止めた。エシリアは肩を跳ねあげ、息を呑み、目を伏せた。ヒナタは、その様子を横目で見て、何か良からぬ事が起こるのではと、不安が募った。
恐る恐る振り返ると、そこには一台の荷馬車と、馬が四頭。それと鋼や鉄で作られたであろう鎧を着た男が四名。それぞれの馬達に跨っていた。
皆、腰に革製の鞘の様なものを付け、一番手前、鎧の装飾が一番派手な男だけがその鞘を二本腰に付けていた。
誰だ。とそう言おうと口を開いた瞬間。
目の前に手を広げ、ヒナタを庇う少女の姿があった。
「エシリア!?」
「大丈夫。ヒナタはそこで静かにしてて」
同じ声だと思えない程、重みを感じたヒナタは彼女の言う通り口を結んだ。しかし、ヒナタには分かっていた。標的が自分なのだと。今まで自分を標的にした奴らと同じ目をしていたから、すぐ分かったのだ。
そう思うと、自分が犠牲になればいいだけの話だ。少し向こうの世界の事を忘れているがこの事は死んでも忘れないだろう。
いつもの様に、何も考えず、ただ言われる通りの、相手が望む行動をとればいい。簡単な事だ。
「用事があるのは俺だろ?彼女は関係ない」
今度はヒナタがエシリアの前で両手を広げる。
騎士は少し目を細め、顎に手を当て、何かを探ろうとヒナタをじっくり見た後、
「まぁいい。おい、やれ」
部下達にそう命令し、教育されたような返事を返した部下達は馬から降り、ヒナタの両手、両足、更には口に猿轡を無理矢理ねじ込まれ、完全に身動きが取れない状況にされた後に乱暴に荷馬車に放り込まれた。
最後に見たエシリアの表情は何故か、悔しさを帯びていた。
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