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幼女と邪神とユキ
幼女と邪神とユキと屋台
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前線都市の門の方へ皆と話しながら歩いていると門兵のおっちゃんが眠そうにあくびをしているのが見えた。
お、こっちに気づいたようで少し背筋を正した。
「最近は暇そうなんだな」
「おー、いつぞやの。俺たち門兵が暇なのはいいことなんだぞ?」
「ひげ!」
「おう、嬢ちゃん。最近伸ばし始めたんだ。似合ってるか?」
「んー、わかんない!」
がはは、と豪快に笑う門兵のおっちゃん。
元気そうで何よりだ。
「こっちの門はおっちゃんしか居ないんだな」
「そうだな。そもそもこっち側から来る奴らなんてお前さんたちぐらいだ」
確かに……道があるというわけでもない。
多分、裏門的な立ち位置なのだろうか。
ほぼ顔パス状態の門を通り、街の中に入る。
前回とは違ってギルドに顔を出せなども言われていないので、必要な物を調達して素通りでいいだろう。
「にーに! くし!」
「串焼きが食いたいのか……そう都合よく屋台があるわけが――あったわ」
俺に肩車をされているシロが早くしろと言わんばかりに俺の頭をペシペシと叩く。
鞭を入れられている馬の気分だ。
串肉の香草焼きの屋台へと向かい、一人二本として十本注文する。
袋に入れてもらい、屋台を後にする。
皆に串焼きを渡して亜空間に仕舞い込んでいた金貨の袋を取り出す。
「クレバス」
「にゃんじゃ?」
「王都方面って何で行くんだ? 徒歩か?」
「馬車を探すのじゃ。乗合か商人の護衛依頼で行くのが一般的じゃのう」
「そうか……」
乗合ってのは大人数で行く……観光バスみたいなものだろう。
商人を護衛しながらの方が気を遣わないといけないのが依頼主だけだからそっちの方が楽だろう。
護衛の依頼ってなると、ギルドに行かないといけないのか。
仕方ないがギルドに向かうとしよう。
ルナの魔力を頼りに歩いていくとギルドが見えてきた。
串焼きは皆食べ終わっていて、俺の分はシロの胃袋に収まった。
左でミドリを抱えて右手でユキと手を繋いでいるから食べる暇がなかった。
「たのもー」
「もー!」
軽く蹴とばしてドアを開ける。
この街に来た時から変わらない開け方だ。
大きな音を立ててドアが開く。
受付のところで頭を抱えるルナが見えた。
「ねえ! もうちょっと静かに入ってこれないかな!?」
「あ、居た。王都に旅行がしたい。護衛の依頼が欲しい」
「たくさんあるけど……報酬はどのぐらいを望むの?」
報酬……? 連れて行ってもらう報酬か?
あぁ、護衛をしたことによる報酬か。
「いくらでもいい。今日、王都に向かって出発できれば問題ない」
「あー……じゃあ訳ありの緊急依頼が1つあるよ。はい」
ルナから依頼書を渡される。
内容は王都までの護衛。報酬は金貨200枚。
……200枚って多いような気がするんだが。
確か前に白金貨1枚で金貨100枚だった気がするから相当な金額じゃないか?
「金貨200枚は多くないか?」
「多いよー。その分危険ってこと。顔も見せない2人組だったから訳ありなんじゃないかな?」
「つまり何者かに追われているってことじゃろう」
「そうか。特に気にすることはないな」
馬車に乗っていて殺気を当ててきた奴から始末すればいいんだろう?
簡単なお仕事だ。
「受けるならその依頼書とコレ持って正門に向かってね」
「分かった、助かる」
「じゃーねー!」
シロが元気に別れの挨拶をする。
ルナから渡されたものは俺の名前が彫られたカードのようなものだった。
……会員証みたいなものか?
お、こっちに気づいたようで少し背筋を正した。
「最近は暇そうなんだな」
「おー、いつぞやの。俺たち門兵が暇なのはいいことなんだぞ?」
「ひげ!」
「おう、嬢ちゃん。最近伸ばし始めたんだ。似合ってるか?」
「んー、わかんない!」
がはは、と豪快に笑う門兵のおっちゃん。
元気そうで何よりだ。
「こっちの門はおっちゃんしか居ないんだな」
「そうだな。そもそもこっち側から来る奴らなんてお前さんたちぐらいだ」
確かに……道があるというわけでもない。
多分、裏門的な立ち位置なのだろうか。
ほぼ顔パス状態の門を通り、街の中に入る。
前回とは違ってギルドに顔を出せなども言われていないので、必要な物を調達して素通りでいいだろう。
「にーに! くし!」
「串焼きが食いたいのか……そう都合よく屋台があるわけが――あったわ」
俺に肩車をされているシロが早くしろと言わんばかりに俺の頭をペシペシと叩く。
鞭を入れられている馬の気分だ。
串肉の香草焼きの屋台へと向かい、一人二本として十本注文する。
袋に入れてもらい、屋台を後にする。
皆に串焼きを渡して亜空間に仕舞い込んでいた金貨の袋を取り出す。
「クレバス」
「にゃんじゃ?」
「王都方面って何で行くんだ? 徒歩か?」
「馬車を探すのじゃ。乗合か商人の護衛依頼で行くのが一般的じゃのう」
「そうか……」
乗合ってのは大人数で行く……観光バスみたいなものだろう。
商人を護衛しながらの方が気を遣わないといけないのが依頼主だけだからそっちの方が楽だろう。
護衛の依頼ってなると、ギルドに行かないといけないのか。
仕方ないがギルドに向かうとしよう。
ルナの魔力を頼りに歩いていくとギルドが見えてきた。
串焼きは皆食べ終わっていて、俺の分はシロの胃袋に収まった。
左でミドリを抱えて右手でユキと手を繋いでいるから食べる暇がなかった。
「たのもー」
「もー!」
軽く蹴とばしてドアを開ける。
この街に来た時から変わらない開け方だ。
大きな音を立ててドアが開く。
受付のところで頭を抱えるルナが見えた。
「ねえ! もうちょっと静かに入ってこれないかな!?」
「あ、居た。王都に旅行がしたい。護衛の依頼が欲しい」
「たくさんあるけど……報酬はどのぐらいを望むの?」
報酬……? 連れて行ってもらう報酬か?
あぁ、護衛をしたことによる報酬か。
「いくらでもいい。今日、王都に向かって出発できれば問題ない」
「あー……じゃあ訳ありの緊急依頼が1つあるよ。はい」
ルナから依頼書を渡される。
内容は王都までの護衛。報酬は金貨200枚。
……200枚って多いような気がするんだが。
確か前に白金貨1枚で金貨100枚だった気がするから相当な金額じゃないか?
「金貨200枚は多くないか?」
「多いよー。その分危険ってこと。顔も見せない2人組だったから訳ありなんじゃないかな?」
「つまり何者かに追われているってことじゃろう」
「そうか。特に気にすることはないな」
馬車に乗っていて殺気を当ててきた奴から始末すればいいんだろう?
簡単なお仕事だ。
「受けるならその依頼書とコレ持って正門に向かってね」
「分かった、助かる」
「じゃーねー!」
シロが元気に別れの挨拶をする。
ルナから渡されたものは俺の名前が彫られたカードのようなものだった。
……会員証みたいなものか?
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