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幼女と邪神とユキ
ぼっちと謎の転生者
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ミドリの寝顔を眺めていると不穏な気配を感じた。
家に張っている結界が何者かに攻撃されている。
「――気が付いておるか?」
いつの間にか横にいたクレバスが俺に聞いてきた。
当然、気づいている。
攻撃している力の種類が魔力でなく神力であることも。
「はぁ……また、厄介事か……」
「妾も手伝うか?」
「いや、いい。みんなを見ててくれ」
「わかったのじゃ~」
寝ているシロとユキを抱えたクレバスに見送られながら攻撃されている結界の方へと向かう。
サイガの娘と戦った後、結界って今までのものに戻したっけ……?
――戻していない気がする。
「クソッ! 何だよ、この結界!! 壊してもすぐ復活しやがる!!」
「あ、やっぱり」
128層ある中の1層目を必死に壊している黒髪の男とその仲間であろう女が3人居た。
全員が黒髪であることから日本からの転生者だろうか?
前にも思ったが日本人って転生しすぎじゃないかな。
……気にしないでおくか。
「出たな! 魔王め!」
黒髪の男が俺に剣を向けてそう言った。
魔王……? こちらを凝視しているので魔王と呼ばれている存在が俺の後ろにいるのか……?
後ろを見たが誰もいない。あるのは俺の家だけだ。
「お前だ、お前! こんなチートみたいな結界の中にいるのはズルだろ!」
「そうよ! 正々堂々出てきなさいよ!」
もう帰りたくなってきた。
人様の家に殴り込んできて入れないからズルいって横暴だろ……。
「そこの騒がしい2人」
「誰が騒がしいだと!?」
「話にならないから死んでくれ」
パンッ――と乾いた音を立てると騒がしかった二人が崩れ落ちた。
単純な原理で、合掌する際に両手のひらの空間を二人の心臓に繋げただけだ。
普通は魔力が干渉してできないんだが、騒がしかった二人は魔力を一切もっていないようだったので出来てしまった。
必要ないと思って何もしなかったのだろうか……。
「ははっ、静かになった。死人に口なしとはこのことだな」
――辺りに静寂が訪れる。
え、何も反応ないと単純に俺がヤバい人みたいじゃないか?
「おっ、お願いです……命だけは……」
「別に生きて帰してやってもいいけど、何でここに来たのか教えてもらおうかな?」
「ユウキくんが、行こうって。この森に女神様を苦しめている魔王が居るって、天啓を受けて……」
創造神の次は女神か。
よく分からない敵が増えていくな……。
事情を話した黒髪とは違う、腰を抜かしてへたり込んでいる黒髪の娘っ子の頭を掴んで記憶を読み取る。
「言っていることに間違いはないな」
「そっ、そうです! なので命だけは……」
「ダメだな。お前、今。蘇生魔法の術式を組んだな?」
指を拳銃のような形にして事情を話した奴に向かって魔力の塊を飛ばす。
思っていた以上に塊が大きくて跡形もなく吹き飛んでしまった。
「魔力の塊を飛ばすのって案外難しいんだな。こりゃ、要特訓だな……」
「あにょう……僕は生きて帰してもらえますかね……?」
掴んだ黒髪の娘っ子……? いや、これ男だな。
顔が整ってて髪が長かったから女だと思ったんだが、骨格的に男だ。
「殺す意味もないけど生かして帰す必要もないんだが……」
「じゃっ、じゃあ、僕を生かしておくメリットを話します!」
「内容次第だな」
「まず、僕が貰ったチートは【転移】と【鑑定】です」
ずいぶんと弱くないか?
あれか、クレバスが言っていた神の格による力の差か?
渡せる能力に違いがある……みたいなことを言っていた気がする。
「結界に切りかかっていたのは【絶対切断の剣】で横に居た女は【身体能力を1万倍にする】能力。さっき消し飛んだのは【全属性魔法】と【無限の魔力】です」
「そのぐらいなら俺にも見えるんだが……」
「えぅっ、えっと、あと、僕には転生者の判別が付きます!」
ずいぶんと必死にアピ―ルしている。
転生者の判別は俺には出来ないな……。
森の近くの街に置いて転生者がこっちに向かって来たら報告してもらうか?
そうしよう。
「前線都市……だったっけ? あそこで転生者の見張りをしろ。俺のところに来そうだったら転移で先回りして俺に伝えるんだ」
「分かりました!!」
「絶対服従の契約をしておくか」
逃げられてなんか変な討伐隊みたいの組まれても面倒だしな。
「よし、首筋に刻印ができたな? 俺の言ったことを遂行しなかったらその刻印が爆発して頭が吹き飛ぶから気をつけろよ」
「気をつけます!!」
「じゃあ帰れ」
掴んでいた頭を離すと姿が見えなくなった。
魔力の痕跡ではなく神力が微かに残っているのが見える。
これは新しい発見だな。
家に張っている結界が何者かに攻撃されている。
「――気が付いておるか?」
いつの間にか横にいたクレバスが俺に聞いてきた。
当然、気づいている。
攻撃している力の種類が魔力でなく神力であることも。
「はぁ……また、厄介事か……」
「妾も手伝うか?」
「いや、いい。みんなを見ててくれ」
「わかったのじゃ~」
寝ているシロとユキを抱えたクレバスに見送られながら攻撃されている結界の方へと向かう。
サイガの娘と戦った後、結界って今までのものに戻したっけ……?
――戻していない気がする。
「クソッ! 何だよ、この結界!! 壊してもすぐ復活しやがる!!」
「あ、やっぱり」
128層ある中の1層目を必死に壊している黒髪の男とその仲間であろう女が3人居た。
全員が黒髪であることから日本からの転生者だろうか?
前にも思ったが日本人って転生しすぎじゃないかな。
……気にしないでおくか。
「出たな! 魔王め!」
黒髪の男が俺に剣を向けてそう言った。
魔王……? こちらを凝視しているので魔王と呼ばれている存在が俺の後ろにいるのか……?
後ろを見たが誰もいない。あるのは俺の家だけだ。
「お前だ、お前! こんなチートみたいな結界の中にいるのはズルだろ!」
「そうよ! 正々堂々出てきなさいよ!」
もう帰りたくなってきた。
人様の家に殴り込んできて入れないからズルいって横暴だろ……。
「そこの騒がしい2人」
「誰が騒がしいだと!?」
「話にならないから死んでくれ」
パンッ――と乾いた音を立てると騒がしかった二人が崩れ落ちた。
単純な原理で、合掌する際に両手のひらの空間を二人の心臓に繋げただけだ。
普通は魔力が干渉してできないんだが、騒がしかった二人は魔力を一切もっていないようだったので出来てしまった。
必要ないと思って何もしなかったのだろうか……。
「ははっ、静かになった。死人に口なしとはこのことだな」
――辺りに静寂が訪れる。
え、何も反応ないと単純に俺がヤバい人みたいじゃないか?
「おっ、お願いです……命だけは……」
「別に生きて帰してやってもいいけど、何でここに来たのか教えてもらおうかな?」
「ユウキくんが、行こうって。この森に女神様を苦しめている魔王が居るって、天啓を受けて……」
創造神の次は女神か。
よく分からない敵が増えていくな……。
事情を話した黒髪とは違う、腰を抜かしてへたり込んでいる黒髪の娘っ子の頭を掴んで記憶を読み取る。
「言っていることに間違いはないな」
「そっ、そうです! なので命だけは……」
「ダメだな。お前、今。蘇生魔法の術式を組んだな?」
指を拳銃のような形にして事情を話した奴に向かって魔力の塊を飛ばす。
思っていた以上に塊が大きくて跡形もなく吹き飛んでしまった。
「魔力の塊を飛ばすのって案外難しいんだな。こりゃ、要特訓だな……」
「あにょう……僕は生きて帰してもらえますかね……?」
掴んだ黒髪の娘っ子……? いや、これ男だな。
顔が整ってて髪が長かったから女だと思ったんだが、骨格的に男だ。
「殺す意味もないけど生かして帰す必要もないんだが……」
「じゃっ、じゃあ、僕を生かしておくメリットを話します!」
「内容次第だな」
「まず、僕が貰ったチートは【転移】と【鑑定】です」
ずいぶんと弱くないか?
あれか、クレバスが言っていた神の格による力の差か?
渡せる能力に違いがある……みたいなことを言っていた気がする。
「結界に切りかかっていたのは【絶対切断の剣】で横に居た女は【身体能力を1万倍にする】能力。さっき消し飛んだのは【全属性魔法】と【無限の魔力】です」
「そのぐらいなら俺にも見えるんだが……」
「えぅっ、えっと、あと、僕には転生者の判別が付きます!」
ずいぶんと必死にアピ―ルしている。
転生者の判別は俺には出来ないな……。
森の近くの街に置いて転生者がこっちに向かって来たら報告してもらうか?
そうしよう。
「前線都市……だったっけ? あそこで転生者の見張りをしろ。俺のところに来そうだったら転移で先回りして俺に伝えるんだ」
「分かりました!!」
「絶対服従の契約をしておくか」
逃げられてなんか変な討伐隊みたいの組まれても面倒だしな。
「よし、首筋に刻印ができたな? 俺の言ったことを遂行しなかったらその刻印が爆発して頭が吹き飛ぶから気をつけろよ」
「気をつけます!!」
「じゃあ帰れ」
掴んでいた頭を離すと姿が見えなくなった。
魔力の痕跡ではなく神力が微かに残っているのが見える。
これは新しい発見だな。
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