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幼女と邪神
幼女と邪神と唐揚げ
しおりを挟む唐揚げにする予定の肉の下拵えをしているとミドリが不思議そうに見てきた。
俺の動きと連動して頭が左右に動いている。
「何か気になるか?」
「にく……しまう……?」
「肉は仕舞わないぞ。こうやって調理するんだ」
一口大にした鳥のもも肉を袋の中に入れているから、どこかに仕舞うのと勘違いしたのだろうか?
少し漬けた方が味が染みて美味しいので調味料を入れて味付けをした後、時間加速で2時間程進める。
袋から取り出して衣を付ける。
油を魔法で適温で保って……ミドリがすごい興味津々な感じで見てくる。
揚げているところを見たいのか……?
「クレバス」
「なんじゃ? 飯はまだかのう……?」
「ミドリを抱っこして揚げるところを見せてやってくれ」
「うむ、頼まれた」
クレバスがミドリを抱えて正面を向かせた。
飛び跳ねる油はクレバスに着弾するように弾除けの魔法をミドリにかける。
結界を展開しているが気分的に良くないのでな。
魔法で温度を維持しているのでどれだけ入れても温度は下がらない。
唐揚げを油の海の中に落としていく。
揚がる音と食欲を刺激する匂いが充満する。
「おにくのにおい!!」
シロが寝室から飛び出してきた。
服が少しずれているところから急いで出てきたのだろう。
全部揚がったら起こしに行こうと思ったんだが手間が省けたな。
肉が浮いてきたのを確認して、一度油から離す。
そう、二度揚げだ。
「んしょ……」
手慣れた手つきでクレバスを登るシロ。
もはや定位置と化したクレバスの肩車ポジション。
「試食するか?」
全員が頷く。
食べれる温度まで下げてシロとミドリの口元に持って行く。
衣を突き破る爽快な音がキッチンに響いた。
「妾の分は無いのか!?」
「ほらよ」
温度を下げていない唐揚げをクレバスの口の中に突っ込む。
「あっつ!!???」
悶えながらも唐揚げを頬張るクレバス……食い意地張ってやがる……。
そうこうしているうちに全て揚げ終えて、サラダや米をよそってリビングに移動する。
全員が定位置について、食事を開始する。
シロとクレバスが食いついた。
ミドリも負けじともぐもぐしている。
「あまり急いで食うなよー」
「おにいちゃ……おかわり……」
びっくりした。
ミドリが米のおかわりを要求してきた。
そういえば初めてだな、ミドリがおかわりするの。
唐揚げがお気に召したようだ。
シロはクレバスに頼むように言ってるので、こっちには言ってこない。
どうやらアイコンタクトで通じ合っているようだ。
美味しそうに頬張る皆を見ていると作った甲斐があるってもんだ。
――この平穏な日々がいつまでも続けばいいが……。
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