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幼女と邪神
幼女と邪神と事件
しおりを挟む龍王親子がウチに来た日から3日が経過した朝。
いつも通り寝ていたんだがいつもと違う感覚がそこにはあった。
右側が冷たい。
確か右側にはシロが寝ていたハズだが……あ、寝てるわ。
となるとこの冷たいのはなんだ? と思い毛布を取って見ることにした。
「あっちゃぁー……」
これは失敗したな……昨日寝る前にシロにトイレへ行かせるべきだった。
そこにはシロの股を爆心地としたシミが広がっている。
「これ、シュウや。勝手に妾の毛布を取るんじゃ……布団が冷たいのじゃ」
いつも場所で寝ていたクレバスが飛び起きた。
丸まっていたのでシロのおねしょゾーンに結構入っていた。
「シロ、起きろ」
「ふにゅ……? おあよーじゃーましゅ」
寝起きで呂律の回っていないシロが起床の挨拶をした。
……口をもごもごと眠そうにしているが、現状を理解させねば。
「にーに。ゆめみたの」
「ほう、どんな夢だ?」
「といれにいくゆめ! すっきりした!」
あっ……察したわ。
これは夢でトイレに行ったけど現実は寝ているからその場で出てしまったパターンか。
寝る前にトイレに行く習慣をつけさせないとな。
そのためには行かないと、どうなるかを知ってもらわないといけない。
「そうか。シロの周りは何で濡れてるんだと思う?」
「……わかんない」
一瞬ピクッとしたな。
違和感があるんだろう。
股がじっとりしていたり、何故あんな夢を見たのかとかな。
「昨日の夜、寝る前にトイレに行ったか?」
「いってない……」
シロがプルプルと震えだす。
もしかして初めてのおねしょか?
ならば笑って流すのが親ってもんだ。
「にーに、ごめんしゃい……」
「大丈夫だ、誰しもが通る道だ」
「妾は通っておらんぞ!?」
おねしょゾーンに入っていないところで丸まっていたクレバスが口出しして来た。
今度、寝ているときに股のところに人肌ぐらいのお湯が流れるドッキリ仕掛けてやろう。
「にーに……」
「次からやらないように気をつけろよ?」
光属性の魔法を唱えて布団と毛布とシロを綺麗にする。
この魔法は使い手が認識している汚れや不浄な物を消してくれる魔法だ。
旅をするなら1人は使い手がいないとチームの匂いが凄いことになる。
まあ、人とチーム組んだことないから憶測でしかないがな!!
「久しぶりに朝風呂でも入るか?」
「はいる!」
「ぼくも……」
ミドリ!? いつ起きた?
とりあえず2人を脇に抱えて風呂場に向かうとしよう。
「クレバスはどうする?」
「妾はもう少し布団に包まってるのじゃ」
「わかった」
もぞもぞとドアを背にしてベッドで丸くなるクレバス。
布団の重力から抜け出せないようだ。
久しぶりの朝風呂に入りポカポカになった俺たち3人。
今日は特にすることがなかったので朝飯を食ってリビングでくつろいでいた。
「暇じゃのう……」
「だねー」
「あそぶ……?」
「日差しが心地いいな」
窓から差し込む日の光を浴びてグテーっとする全員。
なんだか猫の気持ちがわかった気がする。
「シュウよ。お主、最近の風呂に入る30分前どこに行ってるのじゃ?」
「最近作った訓練場」
俺の部屋の隣の部屋に作った。
龍王親子が来た日以降、訓練部屋で基礎の基礎からやり直している。
神力の扱いがまだ不安定だから扱えるようにならないとな。
外の1分が中の約2日だな。
外の世界での30分。つまり約60日ぶんの基礎訓練を休みなく行なっている。
「よるねー? といれにいかないとすごいゆめみれるよ!」
「おねーちゃ……また、しっこ……したの……?」
「ぎくっ」
シロとミドリが話している。
"また"ってことは何度かしていてしらばっくれたんだな……?
まあ。お漏らしの癖は治さないと成長してから恥ずかしい思いをするだけなので今のうちに治さないとな……。
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