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幼女と邪神
ぼっちと邪神と確認
しおりを挟むシロとミドリが眠ったことを確認して俺はベッドを出た。
リビングで寝転がっているクレバスの頭を掴んで外に出る。
「唐突に何するんじゃ!」
「神気の確認をしたいと思ってな?」
「そう言えばよかろう!?」
勝手に盟約を結んだことは許したが何だか蟠りが取れない。
間違いなく原因はクレバスだと思うので少しだけ乱雑に扱うとしよう。
「俺が神になったらしいが信仰とかはなくて大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃ。信仰に関しては神としての位が付かないと力に変わらん」
「ほう」
つまり俺は人であるが神でもある状態であるから生命の基盤は人間と同じってことか?
「そうじゃ」
「心を読むな」
「人族とは思えないほどの力を有しておったからの。お主の有り余った魔力が神気に変換されておるのじゃ」
魔力ならこの地に腐る程あるので基本的に減ることはないからな。
さて、次は神気の使い道だ。
「神気は神の生命を維持するエネルギーとして使える他に何に使える?」
「単純な問題じゃ。力として使えるのじゃ」
「力……?」
「敵に攻撃したりする力じゃの」
基本的には魔力と同じ扱いってことか?
魔法を使うには魔力を使う。
神の技を使うには神気を使うってことか。
「そうか。わかった」
「もう聞くことはないかの?」
「俺から神気が漏れてるって言ったな。どんな感じで出てるんだ?」
クレバスが面食らったような顔をした後、もじもじしている。
……? どうしたんだこいつは。
「すごい濃くてドロッっとした感じじゃ……」
「それだけ魔力が有り余ってるってことか…」
「吸収しようにもの……? 濃すぎて引っかかるんじゃよ……纏わりつくし……」
最後になんて言ってか聞こえなかったが引っかかるとは何だ…?
粘性の高い水みたいのが排水溝に詰まるみたいな感じか?
密度が違うから流れる速度も違う…って事だろう。
「俺から神気が漏れてても周りに危害はないのか?」
「妾が頑張って全て吸収しておる。あの2人に危害はないの」
「すまないな」
「吸収しきれなくなったら言うからの……? その時は"そういうこと"だと割り切って欲しいのじゃ…」
クレバスが頬を染めながら言った。
"そういうこと"
……つまり神気の扱いを覚えないといけないということか?
今は扱うことすらできないのでクレバス任せてしまって構わないだろう。
「わかった。頭に入れておこう」
「絶対に分かっておらんの…」
クレバスが小さな声でボソッと言った。
全く意識していなかったので何を言ったか聞こえなかった。
聞きたいことは聞けたので家の中に戻るとしよう。
早く戻らないと2人が起きてくるからな。
前に2人を寝かせて作業していたら大泣きしながら俺のことを探し回っていた。
あの時のことは絶対に忘れられない。
その次の日はぴったりとくっ付いて離れてくれなかった。
あの日の再来にならないようにそそくさと寝室に戻る。
ベッドを見ると2人が寝てる。よかった、起きていないみたいだ。
端に座ってシロを撫でているとむくりと起き上がった。
「にーに……しっこ……」
「仕方ない。一緒に行ってやるから済ませてこい」
「うん……」
眠いのか目を擦りながらフラフラと歩いている。
危なっかしいので手を繋いでトイレへと向かう。
水の流れる音が聞こえる。
無事に済んだみたいだ。
トイレを済ませて安心して眠気が限界まで来たのか歩く足が来る時の倍以上におぼつかない。
危ないので抱きかかえるとそのまま寝てしまった。
寝室に戻ってきたのでシロをベッドに寝かせるため引き剥がそうとするがやめた。
どうせ一緒に寝るのだからこのまま寝よう。
ベッドに入り、ミドリを抱き寄せて最初に寝た時と同じ格好になって俺は眠りについた。
暫くしてクレバスがやってきて占領されているベッドを見て、どこで寝ようか悩んでいたのはクレバス本人しか知らない……。
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