異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした

せんせい

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幼女と邪神

幼女と邪神とお風呂

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「おーし、頭洗うぞー」
「うん……」

 野菜を収穫していたらミドリが土まみれになってしまったので一足早く風呂に直行した。
 頭を洗っているが時々、土の感触があるのでまだ完全に落ち切ってないのだろう。

 まだシャンプーをしているときに目を開けるのが怖いのか手で顔を覆っている。
 気が向いたときにでもシャンプーハットを作ってみるか?

「流すぞー」

 シャワーを使い、頭を流す。
 うん。頭についていた土は落ちたみたいだな。

 ミドリのボディタオルを取り、泡を立てる。
 結構有効活用できてるな……この布。

 今度布をくれた精霊にお礼しに行こう。

「前向けー」

 くるりとミドリが前を向く。
 体を洗う感覚には慣れたのか前みたいにくすぐったい感じは無いようだ。

 洗い終わったのでミドリの体を流す。
 きれいになって満足そうだ。

 あまり感情を表に出さないミドリだが喜んでいるときは少しだけ口角が上がる。
 本当に微々たる程度だけどな。

 さて、ミドリのボディタオルを元あった場所に戻して自分のをとる。

「先湯船に浸かっててもいいぞ?」
「まつ……」

 そうか。
 ちゃちゃっと頭を洗い、ボディタオルに泡を立てる。

 風呂場の外に気配が2つ。
 シロとクレバスが来たみたいだ。

 体を流し、ミドリと一緒に湯船に向かう。

「あぁー……生き返るわ……」
「ふぅ……」

 ミドリが当たり前のように俺を背もたれにして座る。
 どうやら身長が足りなくて1人で座ると沈んでしまうらしい。

 初めて風呂に入った時と比べるとだいぶ子供らしさが出てきたな。
 ちゃんとしたものを食べさせているので標準的な体重まで戻った感じだ。

 くつろいでいると風呂の扉が勢いよく開いた。

「突撃なのじゃー!」
「のじゃー!」

 シロはそのまま突撃してくるがクレバスはその場で固まった。
 何してんだ、あいつ。

「お主……もう入っておったんか……」
「ああ。シロを洗うの頼んだぞ」
「たのまれた!!」

 クレバスの代わりにシロが返事をする。
 相変わらず元気だな……。

 なんだかんだで面倒見のいいクレバス。
 いい拾い物をしたと思う。
 いや。拾ってないか。勝手についてきたんだった。

 いい感じに体が温まってきたので亜空間からお盆とコップ、冷えたジュースを取り出す。
 なんちゃって晩酌だ。

「飲むか?」
「のむ……!」

 魔法でコップに氷を生成して入れる。
 そこにリンゴもどきで作ったジュースを入れてミドリに渡す。

「ずっと持ってると冷たいから、飲まないときはこのお盆に置くんだぞ?」
「うん……!」

 くぴくぴと飲んでいる。かわいい。
 俺は違う盆を出し、そこに酒を置く。
 米で作った酒だ。

 盆に結界を展開してシロとミドリが取れないようにする。

「あー! ずるいー!」

 シロがジュースを飲んでいるミドリを指さして騒ぐ。
 とうっと言う掛け声と共にシロが風呂へと飛び込む。

「ほれっ、シロの分だ」
「やったー!」

 ミドリがちょっとずれて、そのずれたところに座る。
 クレバスだと少し高さが足りないみたいだ。
 
「妾の分はあるかのう……?」
「ないぞ」
「なんじゃと!?」
「嘘だ。ある」

 酒のほうを渡す。
 ほうほうと言いながら俺の展開した結界をすり抜けて酒瓶をとる。
 注いで瓶を戻すと俺の左側に座る。

 シロとミドリは仕方ないとしてクレバスよ。
 お前は近づかなくていいだろう。
 なぜかぴったりとくっついって座っている。
 もう酒に酔ったのか? まだ飲んでないよな?

「クレバス」
「なんじゃ?」
「そんなにくっつく必要あるか?」
「お主から漏れてる神気を吸収しとるのじゃよ」

 ……今聞き捨てならない言葉を聞いたような気がする。
 俺から神気が漏れてる……?

 脳内でステータス画面を開く。

―――――――――
名前:シュウ
種族:人神
Lv:8252
能力値
HP:表記不可
MP:表記不可
―――――――――

 ん……?
 なんか種族変わってないか?
 数百年前に見た時は人族? ってなってたはずなんだが……。


「妾と契りを結んだことによって種族が変化したと考えるのが適切かのう…」
「そんなことした覚えはないんだが……」
「この前寝ぼけて魂の盟約を結んでしまったんじゃ。すまんの」
「おい」

 使い魔契約じゃなくて魂の盟約だと…?
 使い魔契約は主従関係。魂の盟約は同等な関係で契りを結ぶ。
 使い魔契約は主人が死ぬまでの契約だが魂の盟約は輪廻に入って転生しても続く。
 その魂が存在する限り契りが切れることはない。

「妾みたいな信仰の薄れている邪神では存在を維持するのに自身の神気を消耗してしまっての…」
「維持できなかったらどうなるんだ?」
「消えてしまうのじゃ。唯一の神が死ぬ方法じゃの」

 消えてしまう……か。
 だいぶ2人と打ち解けていたし居なくなるのは少し寂しいな…

「そうか。特別に許そう」
「本当か!? ありがたいのう…お主の神気は心地よくての…」
「どうせ永遠に生き続けるんだ。神になろうと変わりはしないさ」
「……プロポーズか?」

 何をどう捉えたらそういう解釈に至るんだ。
 色ボケ邪神め。

「さて、そろそろ夕飯の準備をするか」
「無視は寂しいのう!」
「きょうはなにー?」
「鍋だ」

 出汁とか肉を薄く切ったりとかしないといけないからな。
 シロとミドリはジュースを飲み終えているみたいなのでそのまま脇に抱えて風呂場を出た。

 クレバス? 知らん。

「何故じゃ!? 浴槽から出れんのじゃが!??」

 来たければ結界を壊してから来るんだな。


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