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ぼっちと幼女
服を作ろう
しおりを挟む「では今から服を作りたいと思います!」
「ます!」
「おー…!」
うむ、いい返事だ。
家族会議の結末はシロのトイレによってあやふやになったが俺が服を作らないといけないことには変わりない。
死体の状態ではなく、毛皮などの部位だけの素材に分けておいた。
いきなり15mクラスの生物の死体が並んでいたら精神衛生上よろしくない。
俺がこのくらいの歳の時に目撃していたらトラウマとして残るだろう。
「にーに! もふもふおちてる!」
「やわらかい……」
「ずるい! おろして!」
ミドリが羊もどきの毛にダイブしてシロが羨ましがっている。
外に出るときに肩車してと言われたのでしたのだが、ミドリがダイブして恍惚の表情を浮かべているのでシロもやりたくなったのだろう。
「ほれっ」
「きゃー!」
肩車していたシロを風魔法で浮かせて羊もどきの毛玉に向かって飛ばした。
ボフッっと音を立ててシロが毛玉に突っ込んだ。
直径7mくらいの毛玉なので子供ぐらいの体重ならば乗っかっても地面と体が接触しない。
どの素材から服を作り始めるか考えているとミドリが腰布を引っ張ってきた。
「ぼくも……やって……?」
「あれってシロを飛ばしたやつか?」
「……うん」
予想外のリクエストだな。
ミドリはおとなしい感じなので自分から何かしてほしいとかは言わないタイプだと思ったが、シロが楽しそうに飛んで行ったので好奇心のほうが勝ったのだろう。
やってやろうじゃないか……!
「いいぞ、ほれっ」
「……!」
風魔法で浮かせて毛だまりへと飛ばす。
万が一があったら嫌なので無属性魔法最上級の【断絶結界】をミドリにかける。
この魔法は込められた魔力量に応じて物理ダメージを軽減してくれる魔法だ。
魔法が許容する最大値の魔力量を込めたので物理ダメージは一切入らない。
「もーいっかい!」
シロが毛玉から降りてこっちに帰ってきた。
「ほいっ」
「きゃー!」
シロを飛ばすとミドリが来た。
「もっかい……」
「ほれっ」
「…!」
これを30回ぐらい繰り返した。
「満足したか?」
「うん!」
「うん…!」
満足げに頷いている。
なら良かった。
これで満足していないなんて言われてしまったらまた2人を飛ばして遊ばないといけないからな。
俺も久しぶりに楽しかったから別にそれでもいいんだが本題は服を作ることだというのを忘れてはいけない。
地面に錬金術の魔法陣を書くとシロに消されかねないので魔力を使って空中に書こう。
「にーに」
「どうした? 喉でも乾いたか?」
昨日作ったジュースならばすぐに作れるが…
「ねむい」
「ぼくも…」
2人は目をしょぼしょぼさせながら腰布をつかんでいる。
あれだけ遊んだからな…仕方ないか。
「家で寝てきていいぞ?」
「やだ…!」
「にーに、座って」
シロに座るように促されたので素直に座っておこう。
地面に胡坐をする。
「よいしょ!」
「しょ…!」
2人がそれを待ち構えていたかのように胡坐をしている俺の脚の上の右側にシロ、ミドリが左側に座った。
なるほど、これは2人との距離がさらに縮まったと考えてもいいな。
気配とかで警戒心とかはわかるが好奇心や好意は読み取れない。
うれしい限りだ。
「二人ともおやすみ」
「すみ!」
「おやすみ…」
数秒後には2人は寝息を立てて眠り始めた。
子供の体温って高いんだな…
いかん、眠くなってきた。
とりあえずちゃちゃっと魔法陣を起動して服を作ってしまおう。
5着あれば問題ないな。
作った服は魔法で家に運んで…っと、余った素材はもとに戻して、自分の体を空間魔法で固定する。
よし、これで寝る準備は整ったな。
2人が起きるまで浅い眠りにつくとするか。
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