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ぼっちと幼女
幼女の言葉を理解しよう。
しおりを挟む熊肉のゴロゴロハンバーグは非常に美味しかった。
久々にまともな料理を作ったから満足感も得られた。
300年ぶりくらいの料理か?
今までは肉に塩コショウを振って焼くだけだったからな。
「―――!」
「ん? なんだ?」
なんだか銀髪の幼女がもじもじしている。
ふむ、顔が少し赤くなって内股になってる…トイレか!
「トイレはそこの扉だ」
「――!」
お礼を言われたような気がするが未だに言葉が理解できない。
あれだな、この子たちの魔力を外に放出させるついでに言葉に魔力を込めるように細工をしてみるか。
翠髪の幼女が俺の元に来て何かを言いたそうにしている。
「どうした?」
「ごはん…ありがと……」
おお! 何言ってるかわからないけど意味は理解できたぞ!
さすが!
「ようやくお前たちの言葉がわかるようになったよ、美味しかったか?」
「うん……!」
おお、それは良かった。
明日はオムライスでも作ってやろう。
銀髪の幼女がトイレから帰って来たようだ。
スッキリした顔をしている。
「お前たち、名前は?」
「ないよー!」
随分と元気に答えたな。
名前がないとなると不便だな…
「……つけて」
翠髪の幼女が腰布を掴んだまま上目遣いでお願いをしてきた。
ぐっ…! なんと言う破壊力…!
このネーミングセンス皆無の俺に名前を付けさせようだなんて…
ペットだったハムスターの大吾郎、元気かなぁ…
「それいーね! つけてー!」
「んー、じゃあ…ミドリとシロでどうだ?」
銀髪の方がシロ、翠髪の方がミドリだ。
安直だがちゃんと意味ある。
シロの方は魔力が何の色にも染まっていない純白だ。
ミドリの方も同じく魔力の色が深い緑に染まっていた。
魔力の色と根源は同じで、それに沿った名前にすると魔力に対しての親和性が上がる……気がする。
自力で見つけた原理だから曖昧だが、間違ってはいないはずだ。
「ぼくが……ミドリ……」
ボクっ娘幼女だと!?
是非ともそのまま育ってくれ!
「わたしがシロー!」
「ああ、嫌なら嫌って言ってくれ」
シロとミドリが顔を見合わせた後こっちを見た。
「いいよ……?」
「うん! にーにのなまえは!?」
ここに天使が……尊い……(語彙力)
いかん、危うく天に召されるところだった。
いや、でもこの2人が天使ならば悪くないな…
「俺はシュウだ」
「なるほどー! にーにでいい?」
「ぼく……おにーさん……よぶ」
コイツら自由奔放だな、だが断るばりの切り返しだったぞ。
「好きなように呼んでいいさ」
子供は無邪気が1番だからな。
そうだ、少し打ち解けたところで1番気になってたことを聞くか。
「なんでシロとミドリは俺について来たんだ?」
「にーにがきたとき、ぎゅってなってたのがふわってなったから?」
ふむふむ、なるほど分からん。
もしかして魔力過多で苦しかったのを俺が放出させて治したからか?
それだけじゃ理由にはならないと思うんだけどな…
「ぼくたち……すてられた……いくとこない」
「だからそーだんしたの!そしたらおっきなくまさんからたすけてくれた!」
なるほどなるほど。
自分たちが捨てられたことは理解してるのか。
……辛いな。
「そうか」
「おにーさん、も……すてる……?」
俺は心配そうに見つめてくる2人の頭に手を置き、わしゃわしゃと撫でた。
「2人はは今日から俺の家族だ。一緒に暮らそうな。」
2人は目に涙を溜め、笑った。
強い子達だな…
恥ずかしいのかしゃがんでる俺の胸に顔を当ててくる。
優しく頭を撫でてやろう。
落ち着くまでこのままだな……。
暫くすると2人は寝息を立て始めた。
泣き疲れたんだろう。
俺が普段寝ているベッドに2人を寝かせる。
幸せそうな寝顔をしていた。
俺はベッドのある部屋から出て2人のための環境づくりを始めるのであった。
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