異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした

せんせい

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ぼっちと幼女

世界最強のぼっちと幼女×2

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 家に着いたので2人を下に降ろす。
 降ろしたら足にしがみついて登ってこようとしたので手で頭を押さえて膝より上に登れないようにする。

 俺は足に幼女を装備しながら――少しばかり――いや、非常に歩きにくいが扉を開けると中は木造建築で落ち着いた感じの部屋だ。

 床には200年前ぐらいに狩った異様に強かった犬野郎の毛皮が敷いてある。
 すっごいもふもふで200年経った今でも毛並みが落ちず、汚れもしていない。すごい。

 まあまあ強かった記憶がある。

「今日からここが2人の家だぞ」

 そう幼女たちに告げると幼女たちは――足にしがみついたまま――首を傾げた。

 まるで自分たちが捨てられ、拾われたことを知っているかのように。
 すると銀髪の方の幼女が足から離れて犬畜生の毛皮を触りに行った。

 しゃがんで手を置いてもふもふを確かめているようだ。


「――――――!」

 目からキラキラと効果音が出そうなくらい、そのもふもふ感を実感したのだろう。
 翠髪の幼女が向こうに行きたそうにこちらを見ている。

「好きに遊んでいいんだぞ」

 すると翠髪の幼女はコクリと頷き、銀髪の幼女の元へと駆けて行った。

 あれ? もしかしなくても俺の言葉伝わってる?
 俺が向こうの言葉を理解できてないだけ??

 なぜ言葉が理解できないのか悩んでいると騒がしかった幼女たちの声が聞こえなくなった。
 何事かと思って前を向いたら2人とも大の字になって寝ていた、寝顔マジ天使。

 このまま2000年くらい寝顔を拝んでいたいが、そうは問屋が卸さないだろう。

「よーし、美味しいご飯作っちゃうぞー」

 2人にはもうちょっと肉付きが良くなってほしい。
 幼女といったらプニッとした感じが一番だと思う、異論は認める。

 可愛いを通り越してリアル天使な娘たちに栄養満点の料理を作るべく俺は冷蔵庫の中身を見て今日の献立を考え始めた。

 ふむ……。
 あの熊を狩った時は熊鍋でいいかと思ったけれども初めての食事が鍋ってのもなぁ……。

 そうだ、ハンバーグにしよう。
 子供は皆ハンバーグが好きなはずだ。俺も好きだった。


「熊肉をふんだんに使ったゴロゴロハンバーグだな」

 浄化で手を綺麗にしてハンバーグのタネを作る。
 外の空間魔法で拡張して時属性魔法で時間を止めてある倉庫にぶち込んだ熊を魔法で操り、ひき肉と小さなブロック状の肉にする。

 ゴロゴロってのは肉の塊がゴロゴロしているって感じをイメージしてみた。
 
 順調にハンバーグのタネができてきたのでフライパンに魔力を流す。
 これは俺が錬金術で作った魔導加熱式フライパンだ。

 流した魔力に応じてフライパンが温まる最高傑作である。
 そこに油を引いて、形を整えたハンバーグのタネを乗せる。

 肉の焼ける心地の良い音が聞こえてくる。
 肉の焼ける音って犯罪的だよね、わかる。
 魔法を駆使して肉汁が外に漏れでないように中で留める。

 肉の焼ける美味しい匂いが部屋中に拡散される。
 良い感じの焼き加減になってきたのでひっくり返す。

「あー……腹減るな、これ」
「「――!」」

 いつの間にか起きていた幼女2人が俺の腰布を掴んで頷いている。
 かわいい。

 俺の顔を見るのに上を向かないといけないので必然的に上目遣いになっているのがもう最高に堪らん。

「もうすぐできるからテーブルの前で待っててくれ」
「「――――!」」

 満面の笑みで手を挙げてテーブルの近くに行った。
 幸いにも椅子は4つあるため問題はない。

 焼ける音が変わり始めたのでハンバーグをフライパンから離し、ソース作りに取り掛かった。
 単純にデミグラスソースでいいだろう。シンプルイズベストだ。

 ソースも作り終わったので皿に移して盛り付けをする。
 別の皿に炊きたての白米を乗せて、2人のハンバーグには小さな旗を刺す。

 取り合いにならないように同じ旗にしておいた。
 ちょっとしたお子様ランチみたいな感じになったな。

 テーブルの方を見ると既に着席して料理を待っていた。
 2人とも口の端から少し涎が垂れている。かわいい。

 ハンバーグとライスを置き、ナイフとフォークを置く。
 これは調理中に作ったお子様用のナイフとフォークだ。

 銀や鉄ではなく木材でできており安全性を考慮した感じになっている。

「さて、食うか」

 フォークをハンバーグに刺して押さえてナイフで切り込みを入れると肉汁がこれでもかというくらい溢れてくる。
 それを食べやすい形に切ってソースを付けて口に入れる、そしてすかさずライスを口に放り込む。

 うむ…うまい!
 我ながら会心の出来だ。

 ふと前に座っている2人を見てみると食べずにこちらを見ていた。

「ん?食べて良いんだぞ?」
「―――――」

 なるほど、わからん。
 あれか、残り物しか食べさせてもらえてなかった感じか?

 せっかく目の前に準備して置いてあるのに食べるのを禁じられて残り物だけだったと??


 もしそれが本当ならばこの2人にそんな仕打ちをしていた奴をボッコボコにしないと気が済まなくなっちゃうぞ。

「それはお前たちの分だ。誰にも取られないし、誰も取らない。食べたくないって言うんだったら話は別だがせっかく作ったんだ。食べてくれると嬉しいな」

 それを聞くと2人は涙をポロポロと流し、静かに頷いた。
 ナイフとフォークを手に取り、俺がやっていたことを見様見真似でハンバーグを1口サイズにして口に放り込んだ。

 ひと噛み、ふた噛みして顔を上げた。
 そして満面の笑みで。

「「――――!」」

 何かを言った。
 それは言葉が理解できていない俺でもどんな事を言ったのか安易に想像できた。

 『美味しい』
 
 だろう。

「そうか、美味いか。しっかり食えよ?お代わりはあるからな」

 そう言うと2人は笑顔のまま頷き顔を見合わせてせかせかと食べ始めた。

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