異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした

せんせい

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ぼっちと幼女

世界一危険な場所で、理不尽に死ぬ

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 暗転していた視界に光が射し込んできた。
 どうやら異世界に無事来ることができたのだろうか。

 周囲を見てみると地球では見ることのないだろう色彩の暴力と言って良いほどカラフルな木々が立ち並んでいた。

 体の奥底からワクワクが湧いて出て来る。

 ついに……遂に!!

「夢にまで見た異世界に来れたのか!」

 ぱぁんと風船を割ったかのような音が鳴り響き、俺を中心に血肉が散乱してた。




『あなたは死にました』




 はい?
 ごめん、理解できない。

 えっ?何が起きたの??

『スキル:死因分析を使用します……分析が終了しました。保有魔力量を著しく超過したため内側からの圧力に耐えきれず体が爆散したことによる即死です』


 なるほど、即死か。じゃあ仕方ないな!


 って、なるかアホ!!

 なんで? 実質不老不死じゃなかったの???


『スキル:適材適所に各スキルをリンクさせる事をお勧めします。リンクしますか?』

 おお、なんか頭の中に選択肢が浮かんできたぞ。
 多分任せておけばなんとかなるだろう。


『スキル:適材適所へのスキルのリンクが許可されました。スキルを使用する順番を構築します』

 異世界すげぇな……これが神の為せる技か。
 今の俺の状態は魂の状態ってやつなのかな? まさか異世界に来て5秒未満で死ぬとは思っていなかったからステータスも見れてないぜ。

『構築が終了しました。スキル:根源回帰とスキル:定向進化を同期します。それに伴いスキル:定向進化の発動要件にスキル:死因分析による分析結果を参照します』

 なるほど、さっぱりわからん。
 ステータスとか開ければ自分の保有しているスキルとかを確認できるはずだからステータスを開けるまで待つしかないな。

 ってか体が透けていることに今気がついた。
 服着てねぇぞ…?

 学生服しか持ってないってことは自作しないといけないのか…。


『肉体生成の準備が完了しました。生成をするには許可が必要です』

 許可します。
 なるほど、これで生き返れるという訳か。

 死にはするけど生き返るから実質不死は本当なんだな。

『肉体を生成しました』

 おっ、体が透けてない!
 生き返れたみたいだ。



『あなたは死にました』


 おい。リスキルか。
 え?普通リスポーン直後は無敵とかあるじゃん?

 ……ないの?


『スキル:死因分析を使用します……分析が終了しました。保有魔力量を著しく超過したため内側からの圧力に耐えきれず体が爆散したことによる即死です』

 死因同じかい!
 学習しろよ! 俺氏!

『スキル:死亡報告とスキル:死因分析を同期させますか?』

 死亡報告ってあれか、あなたは死にましたってやつだな。
 同期させるとどうなるんだ?

『同期させることで死因と死亡報告を同時に告げることが可能になります』

 ちっちゃいアップデートだね!!!
 アレか!? 一つ29円のもやしが2つで50円みたいな感じだね!
 合わせるとお得なんだね!

『肉体生成の準備が完了しました。生成をするには許可が必要です』

 これ許可無しでも肉体生成されるようにならないかな?
 選択するのがめんどくさいからさ…

『次回から許可不要で肉体を生成することを許可しますか?』

 次回って……。
 なるべく死にたくはないんだけど……まあ、次があればの話ね!
 許可しよう。

『肉体を生成しました』
『あなたは爆散して死にました。詳細を知りたい場合はスキル:死因分析を発動してください』

 早すぎない!?
 俺まだ肉体だぁー的な事やってないよ!?

 それに雑だね!
 爆散して死にましたって……見れば分かるよ!

 めっちゃ俺の血肉が飛び散ってるもん!
 すっっっごいこの辺真っ赤っかだもん!

 あっ、待って。トラさんそれ俺の小腸、食べないで――。






 ってことでいろいろなことで死にまくってはその死因に対して強くなって復活してた訳だ。

 最初の1000年くらいは死にまくって感情が剥がれ落ちそうになったけど何とか持ちこたえて魔法やら剣術やら錬金術やら独自で開発して今に至るって感じだな。

 この世界は想像力さえあればどうにかなるらしく妄想に妄想を重ねた結果、めっちゃ強くなった。
 世界最強であることを確信できるくらい強くなれたと自負してる。

 まあ、約2万年も自分を鍛えていれば誰だって強くなれるか。
 ちなみに俺の居るこの場所は『魔の森』と言って、人間にとってはすごい危険な場所らしい。


「――――――――」

 目の前にいる子供が現実を見ろと言わんばかりに何かを言っている。
 そういえば異世界に来て初めての人族かもしれない……。

 やっべ、緊張してきた。

「もうちょっと俺に分かるように話してくれないか?」

 ビクッと二人の子供が肩を竦める。
 あれ? もしかして俺が怖いのか?

 一応顔は平々凡々で悪くはないと思ってるし、体は清めてるから臭くないし……。
 腰にでっかいトカゲの鱗で作った布みたいの巻いてるだけで上半身は何もつけてない。

 うん、怪しいな。
 しかも俺の話す言葉とこの子が話している言葉は全く違うものみたいだから言語による意思疎通も無理。


 コミュニケーションがとれないな、これ。

「――――?」
「――、――――――」

 2人で会話始めちゃったぞ。
 おじさんハブらないで、寂しい。

 それにしてもなんか……全体的に細いな。
 こんな場所にいるってことは2000%ぐらいの確率で捨てられたと認識してもよさそうだ。

 顔は似てるから双子だと思う。
 片方は綺麗な銀髪で肩ぐらいまで伸びているショートヘア?
 くりくりっとした純真無垢な碧色の目で年を取ったら間違いなく美少女になるだろうと確信が持てる容姿だ。

 もう1人は髪の色が薄い翠色で目の色が蒼。
 顔の造りはほとんど一緒で髪型がボブカットのような髪型だ。
 そして年をとったら間違いなく美少女に(略

 このまま放置して俺の拠点に帰ってもいいけど放置していったら魔物の餌になるか、餓死するかの二死択一状態に陥ってしまう。

 異世界に来て約二万の年月を経たけど初めて会った人族だし、見殺しにするのも寝ざめが悪くなりそう。

「おーい」

 ビクッとして2人がこちらを見る。
 あ、この目は完全に怯えてる目だ。結構昔に全力の殺気と魔力を解放して俺の小腸を食べたトラと対峙した時のトラの目に似てる。

 分かりやすくジェスチャーで俺の後ろを付いてこさせるように合図して…。

「どうせ話している言葉は伝わってないんだろうけど言っておく。死にたくなかったら俺についてこい」

 二人に背を向けて歩き出す。
 気配からするとしっかりついてきているみたいだ。

 その後ろから変な魔物までついてきているが知り合いではないだろう。

「今日は熊鍋だな」

 体長15mくらいの黒い熊みたいな魔物だ。
 力が非常に強く、毛皮も硬い。だが肉は美味い。

 全身の力を抜いて後方へ跳躍し、熊の脳天に拳を叩き込む。

 ドパンッと炸裂する音が鳴り響き頭部を失った熊の体が力なく地面に横たわる。
 水属性魔法を行使し熊の血を外に排出させて……よし、血抜き終了。

 2人がキラキラした目でこちらを見つめている。
 なんだ…?

 
 そうか! 魔物を倒したから味方だと信じてくれたんだな!
 打ち解けられそうで良かった。


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