1 / 1
第1層
試練開始
しおりを挟む
――酒が、うまい。
俺こと 北村海斗は10年間勤めていた会社からリストラの宣告をされた。
会社自体の業績が悪化しており、創業期に雇っていた人以外は全員リストラという形で解雇されてしまった。
新卒から10年。今年で33歳を迎えるめでたい日に言い渡されたリストラ宣告は非常にしんどかった。
「せっかくの誕生日に会社からもらったプレゼントがリストラか」
酒でも飲まなければやってられない。
近所のスーパーで1升瓶の日本酒を買ってそのまま飲みながら家に歩いて帰っている。
あまり酒には強い部類ではなく、急激にアルコールを摂ったことから酔いが回っているのが分かった。
ふわふわと浮いているかのような感覚に身を任せて歩いていると目の前に青い画面のようなものが現れた。
そこには【神々の試練を受けますか? Yes/No】と書かれていた。
「幻覚が見えるほど酔ってはない気がするんだが……イエスで」
Yesの方に指で触れると画面が遷移した。
【難易度を選択してください】
【簡単】
【普通】
【難しい】
【とても難しい】
【地獄】
【上記から選択してください】
だいぶ、手の込んだ幻覚だな……。
特にやることもないから【上記から選択してください】を連打してみるとしよう。
酒を飲みながら歩いて連打を続ける。
連打回数が700に近くなってきたころ、画面が変わった。
【難易度が選択されました】
「やっべ、他のところ触ったか?」
【難易度:無限地獄】
【神々が作成したけどテストプレイで神々が誰もクリアできずに封印された難易度です】
「――は?」
適当に連打してたら封印ってのを解いた……?
あぁ、なるほど。隠し難易度ってやつだな!
太鼓を叩くゲームとかでもよくあるやつだ。
【無限に続く地獄のような世界で貴方が無事にクリアできることを祈っております】
「ちょっ、待て。一体どういう――」
スーパーからの帰路を歩いていたはずだった。
瞬きをすると四方がレンガで出来たような通路みたいな場所に居た。
「えっ、ちょっと。ドッキリか、こr――」
パァンと水風船を割ったような音が響いたと思ったら俺の目の前に青い画面が現れた。
辺りの壁には血のような赤い液体がこびりついていた。
【あなたは死にました】
【試練の最速死亡記録を更新しました。褒賞が送られます】
【スキル:魔力耐性Lv.1を取得しました】
【褒賞が開封されます】
【ユニークスキル:死亡カウントを取得しました。称号:神々からの哀れみを獲得しました】
【試練では初回クリアまで何度でも復活可能です。復活しますか? Yes/No】
――何が起きているか分からない。
死んだ? 復活? 何を言っているんだ。
手が透けている……本当に死んだのか?
よくあるゲームでの魂の状態ってやつなのか?
スキルとかがあるということはつまり……『ステータス』の画面とかもあるってことか?
【死亡状態ではステータスの確認はできません。復活しますか? Yes/No】
あるようだ。
分からないけれどYesを押して復活をする。
透けていた全身がもとに戻っていく。
宙に浮いていた状態から床に足が着いた。
復活……できたのか?
「よし、ステ――」
激痛と共に破裂音が聞こえると目の間に蒼い画面が現れる。
【あなたは死にました】
【スキル:魔力耐性Lv.2を取得しました。死亡カウントが1増加しました】
――理解した。ようやく理解した。
これは夢じゃない。現実で、俺は破裂して死んでいる。
今まで感じたことのない激痛がこれが現実だということを思い知らせた。
【復活しますか? Yes/No】
正直、復活したくない。
ここでNoを押したらどうなるんだ?
俺は恐る恐るNoを押した。
【No縺梧款縺輔l縺セ縺励◆縲ょセゥ豢サ繧剃クュ譁ュ縺怜慍逅?∈蟶ー驍?@縺セ縺】
【――難易度:無限地獄では復活拒否が認められていません。復活します】
【今後は死亡後10カウント経過したら自動で復活します】
俺こと 北村海斗は10年間勤めていた会社からリストラの宣告をされた。
会社自体の業績が悪化しており、創業期に雇っていた人以外は全員リストラという形で解雇されてしまった。
新卒から10年。今年で33歳を迎えるめでたい日に言い渡されたリストラ宣告は非常にしんどかった。
「せっかくの誕生日に会社からもらったプレゼントがリストラか」
酒でも飲まなければやってられない。
近所のスーパーで1升瓶の日本酒を買ってそのまま飲みながら家に歩いて帰っている。
あまり酒には強い部類ではなく、急激にアルコールを摂ったことから酔いが回っているのが分かった。
ふわふわと浮いているかのような感覚に身を任せて歩いていると目の前に青い画面のようなものが現れた。
そこには【神々の試練を受けますか? Yes/No】と書かれていた。
「幻覚が見えるほど酔ってはない気がするんだが……イエスで」
Yesの方に指で触れると画面が遷移した。
【難易度を選択してください】
【簡単】
【普通】
【難しい】
【とても難しい】
【地獄】
【上記から選択してください】
だいぶ、手の込んだ幻覚だな……。
特にやることもないから【上記から選択してください】を連打してみるとしよう。
酒を飲みながら歩いて連打を続ける。
連打回数が700に近くなってきたころ、画面が変わった。
【難易度が選択されました】
「やっべ、他のところ触ったか?」
【難易度:無限地獄】
【神々が作成したけどテストプレイで神々が誰もクリアできずに封印された難易度です】
「――は?」
適当に連打してたら封印ってのを解いた……?
あぁ、なるほど。隠し難易度ってやつだな!
太鼓を叩くゲームとかでもよくあるやつだ。
【無限に続く地獄のような世界で貴方が無事にクリアできることを祈っております】
「ちょっ、待て。一体どういう――」
スーパーからの帰路を歩いていたはずだった。
瞬きをすると四方がレンガで出来たような通路みたいな場所に居た。
「えっ、ちょっと。ドッキリか、こr――」
パァンと水風船を割ったような音が響いたと思ったら俺の目の前に青い画面が現れた。
辺りの壁には血のような赤い液体がこびりついていた。
【あなたは死にました】
【試練の最速死亡記録を更新しました。褒賞が送られます】
【スキル:魔力耐性Lv.1を取得しました】
【褒賞が開封されます】
【ユニークスキル:死亡カウントを取得しました。称号:神々からの哀れみを獲得しました】
【試練では初回クリアまで何度でも復活可能です。復活しますか? Yes/No】
――何が起きているか分からない。
死んだ? 復活? 何を言っているんだ。
手が透けている……本当に死んだのか?
よくあるゲームでの魂の状態ってやつなのか?
スキルとかがあるということはつまり……『ステータス』の画面とかもあるってことか?
【死亡状態ではステータスの確認はできません。復活しますか? Yes/No】
あるようだ。
分からないけれどYesを押して復活をする。
透けていた全身がもとに戻っていく。
宙に浮いていた状態から床に足が着いた。
復活……できたのか?
「よし、ステ――」
激痛と共に破裂音が聞こえると目の間に蒼い画面が現れる。
【あなたは死にました】
【スキル:魔力耐性Lv.2を取得しました。死亡カウントが1増加しました】
――理解した。ようやく理解した。
これは夢じゃない。現実で、俺は破裂して死んでいる。
今まで感じたことのない激痛がこれが現実だということを思い知らせた。
【復活しますか? Yes/No】
正直、復活したくない。
ここでNoを押したらどうなるんだ?
俺は恐る恐るNoを押した。
【No縺梧款縺輔l縺セ縺励◆縲ょセゥ豢サ繧剃クュ譁ュ縺怜慍逅?∈蟶ー驍?@縺セ縺】
【――難易度:無限地獄では復活拒否が認められていません。復活します】
【今後は死亡後10カウント経過したら自動で復活します】
0
お気に入りに追加
6
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
異世界二度目のおっさん、どう考えても高校生勇者より強い
八神 凪
ファンタジー
旧題:久しぶりに異世界召喚に巻き込まれたおっさんの俺は、どう考えても一緒に召喚された勇者候補よりも強い
【第二回ファンタジーカップ大賞 編集部賞受賞! 書籍化します!】
高柳 陸はどこにでもいるサラリーマン。
満員電車に揺られて上司にどやされ、取引先には愛想笑い。
彼女も居ないごく普通の男である。
そんな彼が定時で帰宅しているある日、どこかの飲み屋で一杯飲むかと考えていた。
繁華街へ繰り出す陸。
まだ時間が早いので学生が賑わっているなと懐かしさに目を細めている時、それは起きた。
陸の前を歩いていた男女の高校生の足元に紫色の魔法陣が出現した。
まずい、と思ったが少し足が入っていた陸は魔法陣に吸い込まれるように引きずられていく。
魔法陣の中心で困惑する男女の高校生と陸。そして眼鏡をかけた女子高生が中心へ近づいた瞬間、目の前が真っ白に包まれる。
次に目が覚めた時、男女の高校生と眼鏡の女子高生、そして陸の目の前には中世のお姫様のような恰好をした女性が両手を組んで声を上げる。
「異世界の勇者様、どうかこの国を助けてください」と。
困惑する高校生に自分はこの国の姫でここが剣と魔法の世界であること、魔王と呼ばれる存在が世界を闇に包もうとしていて隣国がそれに乗じて我が国に攻めてこようとしていると説明をする。
元の世界に戻る方法は魔王を倒すしかないといい、高校生二人は渋々了承。
なにがなんだか分からない眼鏡の女子高生と陸を見た姫はにこやかに口を開く。
『あなた達はなんですか? 自分が召喚したのは二人だけなのに』
そう言い放つと城から追い出そうとする姫。
そこで男女の高校生は残った女生徒は幼馴染だと言い、自分と一緒に行こうと提案。
残された陸は慣れた感じで城を出て行くことに決めた。
「さて、久しぶりの異世界だが……前と違う世界みたいだな」
陸はしがないただのサラリーマン。
しかしその実態は過去に異世界へ旅立ったことのある経歴を持つ男だった。
今度も魔王がいるのかとため息を吐きながら、陸は以前手に入れた力を駆使し異世界へと足を踏み出す――
金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!
夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!!
国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。
幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。
彼はもう限界だったのだ。
「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」
そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。
その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。
その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。
かのように思われた。
「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」
勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。
本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!!
基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。
異世界版の光源氏のようなストーリーです!
……やっぱりちょっと違います笑
また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します
華音 楓
ファンタジー
旧題:re:birth 〜勇者じゃないと追放された最強職【何でも屋】は、異世界でチートスキル【DIY】で無双します~
「役立たずの貴様は、この城から出ていけ!」
国王から殺気を含んだ声で告げられた海人は頷く他なかった。
ある日、異世界に魔王討伐の為に主人公「石立海人」(いしだてかいと)は、勇者として召喚された。
その際に、判明したスキルは、誰にも理解されない【DIY】と【なんでも屋】という隠れ最強職であった。
だが、勇者職を有していなかった主人公は、誰にも理解されることなく勇者ではないという理由で王族を含む全ての城関係者から露骨な侮蔑を受ける事になる。
城に滞在したままでは、命の危険性があった海人は、城から半ば追放される形で王城から追放されることになる。 僅かな金銭で追放された海人は、生活費用を稼ぐ為に冒険者として登録し、生きていくことを余儀なくされた。
この物語は、多くの仲間と出会い、ダンジョンを攻略し、成りあがっていくストーリーである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる