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2章
3話 砂漠の都市アヴァロン
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話はレクス達が城を出る数日前に戻る。
そのころルリィ達はアヴァロンへ向け旅を続けていた。
「ここから先は砂漠の旅になる、なるべく先を急ぎたい。2人はラクダには乗れるか?」
ラルフがルリィとアトラに声をかけた。
アトラは首を振るとルリィを見た。そこにはラクダに頭をかじられてるルリィがいた。
「って、ルリィお前かじられてるぞ!」
ルリィは笑顔で答えた。
「大丈夫よ、これは甘噛みだから。私、昔から動物に好かれちゃうところあるでしょ」
そう答えている間にも、ルリィはラクダに顔を舐められている。
「でも、これじゃぁ頭がベトベトになっちゃうから、キレイに洗いたいわね」
2人がそんなやりとりをしている時、ラルフの肩に鳥がとまった。鳥は足に手紙のようなものをつけていたらしく、ラルフは素早くその内容を確かめると、顔色を変えた。
「どうやら、かなり急ぐ必要ができた。私の仕えている王家に危機が迫っているようだ」
ラルフの口調に2人は真剣な顔になった。
「俺たちだって冒険者のはしくれだ、ラクダくらい乗ってみせる!」
「そうね、急ぎましょう」
だが、すぐにラクダを乗りこなせたルリィに対し、アトラはなかなかうまく乗れない。何とか乗れるようになるまで数時間もかかってしまった。
「っていうか、なんで俺のラクダだけ言うこと聞かないんだよー!」
とアトラは叫んだ。
それから数日間、3人は旅を続けた。途中でラルフは何度か鳥を使って手紙を受け取っているようだった。
「よし、もう俺の国が見えてくるぞ」
ラルフの視線の先には、砂漠の中に浮かび上がる大きな街があった。
街の入口には壁がめぐらされ、門の近くには大勢の人々が行き来していた。
「わあ、こんな砂漠の中にこんなに立派な街があるなんて、びっくり」
驚くルリィ達にラルフは誇らしげに言う。
「ここは西の港町と東の大国の間にある貿易のかなめだからな」
2人は門をくぐり先を急ぐラルフに続いて街の大通りに入った。すると、露店の商人が声をかけてきた。
「おい、そこのお嬢ちゃん。これを買わない手はないよ。今だけ在庫処分、半値以下の大安売りだよー」
呼び止められたルリィが商品に目をやると、そこには様々なアクセサリーが並んでいた。ルリィはその中のオレンジ色の宝石が目立つ首飾りに興味をもった。
「お嬢ちゃん、お目が高いね。これは砂漠の瞳というこの国でしか取れない宝石がつけられているんだよ。今なら半値の金貨3枚でどうだい?」
「ルリィ、そんなもの買ってる余裕、俺達にはないぞ」
「別に欲しい訳じゃないんだけど、こんな宝石、私、見たことないのよね...
砂漠の瞳? 図鑑で見たドロス石みたい」
つぶやくルリィにラルフは驚いて
「嬢ちゃんよく知ってるなー。その石ならこの国じゃ銅貨20枚がいいとこだな。この国じゃ商人はしたたかじゃないと生きていけないんだ、大目に見てやってくれ」
そう言いながらも、ラルフは商人に厳しい視線を送った。
「すまなかった。しかし、お嬢ちゃん本当に見る目があるんだな。驚いた。
お詫びに朝取れ立ての、このフルーツをあげるよ。だから、ほかの人達には黙っていてくれないか?」
「これって、砂漠リンゴ! 図鑑で見たけど食べたことなかったの。おじさん、どうもありがとう」
「本当にルリィっていい性格してるよな」
アトラの皮肉はルリィには届かなかったようだ。
「美味しい! はい、アトラの分」
砂漠リンゴを半分、笑顔で差し出すルリィ。
「まったく、ルリィには勝てないなー」
アトラもつられて笑った。
その時、人混みに紛れて何者かがラルフの耳元でささやいた。
すると、ラルフは顔色を変えてルリィ達に言った。
「今晩、新月の夜に王子達と合流せよとの王からの命が下った」
「それって、もしかしてかなりやばい状況?」
口を合わせて言うルリィ達に、うなづくラルフ。
「まあ、夜まで時間がある。とりあえずは腹ごしらえしようぜ。オススメの店に案内する」
いつもの調子でラルフは言った。
そのころルリィ達はアヴァロンへ向け旅を続けていた。
「ここから先は砂漠の旅になる、なるべく先を急ぎたい。2人はラクダには乗れるか?」
ラルフがルリィとアトラに声をかけた。
アトラは首を振るとルリィを見た。そこにはラクダに頭をかじられてるルリィがいた。
「って、ルリィお前かじられてるぞ!」
ルリィは笑顔で答えた。
「大丈夫よ、これは甘噛みだから。私、昔から動物に好かれちゃうところあるでしょ」
そう答えている間にも、ルリィはラクダに顔を舐められている。
「でも、これじゃぁ頭がベトベトになっちゃうから、キレイに洗いたいわね」
2人がそんなやりとりをしている時、ラルフの肩に鳥がとまった。鳥は足に手紙のようなものをつけていたらしく、ラルフは素早くその内容を確かめると、顔色を変えた。
「どうやら、かなり急ぐ必要ができた。私の仕えている王家に危機が迫っているようだ」
ラルフの口調に2人は真剣な顔になった。
「俺たちだって冒険者のはしくれだ、ラクダくらい乗ってみせる!」
「そうね、急ぎましょう」
だが、すぐにラクダを乗りこなせたルリィに対し、アトラはなかなかうまく乗れない。何とか乗れるようになるまで数時間もかかってしまった。
「っていうか、なんで俺のラクダだけ言うこと聞かないんだよー!」
とアトラは叫んだ。
それから数日間、3人は旅を続けた。途中でラルフは何度か鳥を使って手紙を受け取っているようだった。
「よし、もう俺の国が見えてくるぞ」
ラルフの視線の先には、砂漠の中に浮かび上がる大きな街があった。
街の入口には壁がめぐらされ、門の近くには大勢の人々が行き来していた。
「わあ、こんな砂漠の中にこんなに立派な街があるなんて、びっくり」
驚くルリィ達にラルフは誇らしげに言う。
「ここは西の港町と東の大国の間にある貿易のかなめだからな」
2人は門をくぐり先を急ぐラルフに続いて街の大通りに入った。すると、露店の商人が声をかけてきた。
「おい、そこのお嬢ちゃん。これを買わない手はないよ。今だけ在庫処分、半値以下の大安売りだよー」
呼び止められたルリィが商品に目をやると、そこには様々なアクセサリーが並んでいた。ルリィはその中のオレンジ色の宝石が目立つ首飾りに興味をもった。
「お嬢ちゃん、お目が高いね。これは砂漠の瞳というこの国でしか取れない宝石がつけられているんだよ。今なら半値の金貨3枚でどうだい?」
「ルリィ、そんなもの買ってる余裕、俺達にはないぞ」
「別に欲しい訳じゃないんだけど、こんな宝石、私、見たことないのよね...
砂漠の瞳? 図鑑で見たドロス石みたい」
つぶやくルリィにラルフは驚いて
「嬢ちゃんよく知ってるなー。その石ならこの国じゃ銅貨20枚がいいとこだな。この国じゃ商人はしたたかじゃないと生きていけないんだ、大目に見てやってくれ」
そう言いながらも、ラルフは商人に厳しい視線を送った。
「すまなかった。しかし、お嬢ちゃん本当に見る目があるんだな。驚いた。
お詫びに朝取れ立ての、このフルーツをあげるよ。だから、ほかの人達には黙っていてくれないか?」
「これって、砂漠リンゴ! 図鑑で見たけど食べたことなかったの。おじさん、どうもありがとう」
「本当にルリィっていい性格してるよな」
アトラの皮肉はルリィには届かなかったようだ。
「美味しい! はい、アトラの分」
砂漠リンゴを半分、笑顔で差し出すルリィ。
「まったく、ルリィには勝てないなー」
アトラもつられて笑った。
その時、人混みに紛れて何者かがラルフの耳元でささやいた。
すると、ラルフは顔色を変えてルリィ達に言った。
「今晩、新月の夜に王子達と合流せよとの王からの命が下った」
「それって、もしかしてかなりやばい状況?」
口を合わせて言うルリィ達に、うなづくラルフ。
「まあ、夜まで時間がある。とりあえずは腹ごしらえしようぜ。オススメの店に案内する」
いつもの調子でラルフは言った。
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