STUDEMT WAR

水無月 陽

文字の大きさ
上 下
10 / 15
ステルスメイト

第十話 おそーしき

しおりを挟む
ラリア・ラジアルはこころの波を知ることができる

しかし、杖を取り出したアランからは、全くなんのこころの波を感じることが出来なかった。

 私の朝ごはんだったはずのトーストと校長にバレないように隠していたチョコレートをアランとアイネが食べて、彼女らが出ていくと、杖を取り出してアランの残存魔力解析しようと思い立った。
「さてさて、悪がきの魔力を調べますか」
 燦々と窓から保健室に入ってくる朝日を締め出すために、カーテンを閉めた。
「、・・…、、、…、遮断せよ、ブロック」
 詠唱によって、自分からは魔力以外の光は見えなくなった。
 うっすらと、緑色いや、緑に少しの青を混ぜたような色が浮かび上がってきた。
 「これは…アイネの残存魔力だろうな」
 先程、ヒールを使おうとした場所にうっすらと残っているようだ。
 しかし、その正面で杖を構えたアランの残存魔力はない、ないと言うことは…
「アレか、、、もう関わりたくなかったのにな」
 
その呟きは誰にも聞かれず、保健室にとけていった。
_______________________________________________

 まだ、グズグズと泣いているエリベルとチョコレートがけトーストを食べ終えて保健室を出た。
「じ、失礼しました」
「……チョコトーストはおいしかった」
『またくるよ』
「はいはい、いってらっしゃい」
保健の先生そう言うのを聞きながら、扉を閉めた。
 保健室は一階、すずらん組は二階なので一つ階段を上がらなければいけない。
 喋ることもないので、黙ってすずらん組をまで歩いて行く途中、担任にあった。
「おはようございます、エリベルさんとクロウさん、起きたんですね、」
 担任が口の中で舌打ちしたのが聞こえた。

 ちなみにアランには自分に対する悪口は聞き逃さないという、なんか、もう、コメントできない能力が備わっている。
「見りゃわかるでしょ、クログロ担任」
「ぉ、おはようございます、」
 エリベルは小さく挨拶を返したがアランは挨拶はせず教室の引き戸を引いた。
『どうして、いきなり捻くれた事と言うんだよ?』
「なんとなく」
 説明するのがめんどくさい。
そんなやりとりをしながら、教室に入っていくと教室中の生徒達がこっちを見てきた。
「なに?」
 エリベルが「みんな、アランちゃんと喋りたいんじゃないのかな」と言ってきた。
 いや、じゃあ喋りかけてこいよ
 しかし、エリベルの推測が間違っていた事が数秒後に証明された。
アランの席に白い百合と青い紫陽花が飾られていた
 察しの良い読者様ならわかるだろう。

「何で葬式の花が私の席にかざられているんだよ!?」

______________________________________________
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。 ネット小説や歴史の英雄話好きの高校生の洲河 慱(すが だん) いつものように幼馴染達と学校帰りに公園で雑談していると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は素晴らしいジョブとスキルを手に入れたのに僕のは何だこれ? 王宮からはハズレと言われて追い出されそうになるが、幼馴染達は庇ってくれた。 だけど、夢にみた迄の異世界… 慱は幼馴染達とは別に行動する事にした。 自分のスキルを駆使して冒険する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 現在書籍化されている… 「魔境育ちの全能冒険者は好き勝手に生きる!〜追い出した癖クセに戻って来いだと?そんなの知るか‼︎〜」 の100年前の物語です。 リュカが憧れる英雄ダン・スーガーの物語。 そして、コミカライズ内で登場する「僕スキなのか…」がこの作品です。 その作品の【改訂版】です。 全く同じな部分もあれば、新たなストーリーも追加されています。 今回のHOTランキングでは最高5位かな? 応援有り難う御座います。

救世の魔法使い

菅原
ファンタジー
賢者に憧れる少年が、大魔法使いを目指し頑張るお話です。 今後の為に感想、ご意見お待ちしています。 作品について― この作品は、『臆病者の弓使い』と同じ世界観で書いたシリーズ物となります。 あちらを読んでいなくても問題ないように書いたつもりですが、そちらも読んで頂けたら嬉しいです。 ※主人公が不当な扱いを受けます。 苦手な人はご注意ください。 ※全編シリアスでお送りしております。ギャグ回といった物は皆無ですのでご注意ください。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

都市伝説と呼ばれて

松虫大
ファンタジー
アルテミラ王国の辺境カモフの地方都市サザン。 この街では十年程前からある人物の噂が囁かれていた。 曰く『領主様に隠し子がいるらしい』 曰く『領主様が密かに匿い、人知れず塩坑の奥で育てている子供がいるそうだ』 曰く『かつて暗殺された子供が、夜な夜な復習するため街を徘徊しているらしい』 曰く『路地裏や屋根裏から覗く目が、言うことを聞かない子供をさらっていく』 曰く『領主様の隠し子が、フォレスの姫様を救ったそうだ』等々・・・・ 眉唾な噂が大半であったが、娯楽の少ない土地柄だけにその噂は尾鰭を付けて広く広まっていた。 しかし、その子供の姿を実際に見た者は誰もおらず、その存在を信じる者はほとんどいなかった。 いつしかその少年はこの街の都市伝説のひとつとなっていた。 ある年、サザンの春の市に現れた金髪の少年は、街の暴れん坊ユーリに目を付けられる。 この二人の出会いをきっかけに都市伝説と呼ばれた少年が、本当の伝説へと駆け上っていく異世界戦記。 小説家になろう、カクヨムでも公開してましたが、この度アルファポリスでも公開することにしました。

髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。 そんな世界に唯一現れた白髪の少年。 その少年とは神様に転生させられた日本人だった。 その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。 ⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。 ⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。

処理中です...