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連邦編
第10話 婚姻
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人間って変わるものなんだな・・・・・・
男子、三日会わざれば刮目して見よ、という慣用句?故事成語?があった気がするが、これは異常だ。
正直ドーピングを疑う。
【流石に変わり過ぎですね。】
ちなみにだが、スワンナの方は全く変わっていない。相変わらずの人外である。
「余も、最近勢いを伸ばしておるハーンブルク家と深い繋がりができた事を嬉しく思う。」
「よかったなサルラック、いい嫁さんを貰えて。」
孫の婚姻が嬉しかったようで、本人たちを除くと国王が1番喜んでいた。現国王は、何だかんだいって心の優しい王様だ。そして、王国の事を大切に思っている。じゃなきゃこんだけ好き勝手やっているハーンブルク家は放置されないはずだ。
サルラックの生活は、スワンナの存在によって大きく変わった。
精神面と頭脳面は知らないが、肉体面だけを見れば別人と言われても納得するだろう。
SHSが集めた情報によると、毎日スワンナと一緒に王城の庭で兵士達に混じって筋トレをしているらしい。
ハーンブルク家伝統(初代はジルバート)の筋トレメニューを行なっていると聞いて、すごいなぁとは思ったがまさかここまで代わっているとは思わなかった。
俺の隣にいるヘレナとイレーナの2人も、少しいやかなり引いていた。
まぁわからない話では無い。
と、ここまではよかった。
筋肉ダルマの夫も見つかり、国王への挨拶もスマートにこなし、このままパーティーに戻って王都の料理をたくさん食べられれば完璧であった。
婚姻を祝って、優雅にダンスパーティーに戻ろうとした俺を、お父様が止めた。
「おい待て、話しは終わっていない、お前の婚姻も決めたぞ。」
ん???
よく聞こえなかったな。
きっと気のせいだろう。
「お父様、早く戻らないと後がつっかえていますよ。」
俺は、お父様の手を引っ張ってその場を離れようとしたが、逆に引き寄せられてしまう。
「待てって。レオルド、お前の婚姻も今日に決定した、相手はもちろんヘレナ様だ。」
へ~お父様ってヘレナ様を呼ぶ時やっぱり王族だから様付けで呼ぶんだ~
知らなかったな~
「はい?」
ちょっと待て、いやだいぶ待て。
どこかで聞いた事あるぞ、この流れ。
というか前回とほとんど同じ流れじゃ無いか。
「国王の名において、余の孫、ヘレナ=フォン=サーマルディアとハーンブルク家長男、レオルド=フォン=ハーンブルクの正式な婚姻を認めよう。」
ちょっと言っている意味がわからないな~~
コンインってあれ?
ちょっと前にピエールナンチャラが捕まったっていう・・・・・・
【それはコカインです。】
現実逃避を決め込もうとした俺を、アイとお父様が現実へと引き戻した。
「先の戦争での武勲が認められ、陛下と王太子殿下がお前とヘレナ様の婚姻を許可して下さったのだ。」
「待って下さい、お父様。私はまだ10歳ですよ?いくら何でも早すぎなんじゃ・・・・・・」
突然のお父様からの発表に、俺は混乱した。もちろん、事前説明は一切ない、初耳だ。
そして、今回は前回とは大きく違う点が1つある。
「早すぎるかどうかは本人に聞いてみろ。」
言われて、俺は振り返った。すると、少し申し訳無さそうな顔をした1人の美少女が真剣な目つきでこちらを見つめていた。
俺と目が合うと、彼女は口を開いた。
「レオルド様、私と結婚したく無いのですか?」
少し声を震わせながら、自信無さげに呟いた。
「そんな事はありません、私は・・・・・」
言葉を詰まらせた俺に、ヘレナ様は追い討ちをかける。
「私、ヘレナ=フォン=サーマルディアは、心の底からあなたを愛しております。」
「っん!!!」
俺は思わず、息を飲み込んだ。
決して軽い気持ちではない。彼女の瞳が、その真剣さを物語っていた。
彼女は続ける。
「私は、レオルド様が大好きです。いつでもどんな時でも支え続けたいと考えております。」
ヘレナは、レオルドに自分の気持ちをぶつけた。
「あの小さな世界から私を連れ出し、私に希望と勇気を与えてくれたのは間違いなくレオルド様です。」
ヘレナは、レオルドとの思い出を思い出しながら言った。
思えばこの4年間ずっと一緒だった。
「私は、レオルド様の特別な存在になりたいです。大切な人になりたいです。そして、お嫁さんになりたいです。」
ヘレナからの告白を聞いていると、どこからかこんな声が聞こえた。
【彼女の方は覚悟を決めたようですよ?マスターはどうするのですか?】
俺はどうしたいのだろうか。先日、アイと話した。ハーンブルク家の長男としてこの世界に誕生してからおよそ10年が経過した。
既に、元の世界への帰還はとっくの昔に諦めている。
だってそうだ、今まで俺は神様にも死神にも会った事はない。
訳の分からないままこの世界に転生させられて、訳の分からないまま生活をしている。
今の自分は何を目指しているのだろうか、目標にしているのか。
異世界への転生、この貴重な切符を手にした俺は、何をするべきなのか。
答えは、とっくの昔に決まっていて、もう既に実行していたのかもしれない。
俺は・・・・・・
「わかった・・・・・・結婚しよう、ヘレナ。俺は、君を幸せにして見せる。」
「っ!・・・・・・はい、よろしくお願いします。」
この世界の、この人生を全力楽しむ。
そして、俺の周りの人達を幸せにする。
男子、三日会わざれば刮目して見よ、という慣用句?故事成語?があった気がするが、これは異常だ。
正直ドーピングを疑う。
【流石に変わり過ぎですね。】
ちなみにだが、スワンナの方は全く変わっていない。相変わらずの人外である。
「余も、最近勢いを伸ばしておるハーンブルク家と深い繋がりができた事を嬉しく思う。」
「よかったなサルラック、いい嫁さんを貰えて。」
孫の婚姻が嬉しかったようで、本人たちを除くと国王が1番喜んでいた。現国王は、何だかんだいって心の優しい王様だ。そして、王国の事を大切に思っている。じゃなきゃこんだけ好き勝手やっているハーンブルク家は放置されないはずだ。
サルラックの生活は、スワンナの存在によって大きく変わった。
精神面と頭脳面は知らないが、肉体面だけを見れば別人と言われても納得するだろう。
SHSが集めた情報によると、毎日スワンナと一緒に王城の庭で兵士達に混じって筋トレをしているらしい。
ハーンブルク家伝統(初代はジルバート)の筋トレメニューを行なっていると聞いて、すごいなぁとは思ったがまさかここまで代わっているとは思わなかった。
俺の隣にいるヘレナとイレーナの2人も、少しいやかなり引いていた。
まぁわからない話では無い。
と、ここまではよかった。
筋肉ダルマの夫も見つかり、国王への挨拶もスマートにこなし、このままパーティーに戻って王都の料理をたくさん食べられれば完璧であった。
婚姻を祝って、優雅にダンスパーティーに戻ろうとした俺を、お父様が止めた。
「おい待て、話しは終わっていない、お前の婚姻も決めたぞ。」
ん???
よく聞こえなかったな。
きっと気のせいだろう。
「お父様、早く戻らないと後がつっかえていますよ。」
俺は、お父様の手を引っ張ってその場を離れようとしたが、逆に引き寄せられてしまう。
「待てって。レオルド、お前の婚姻も今日に決定した、相手はもちろんヘレナ様だ。」
へ~お父様ってヘレナ様を呼ぶ時やっぱり王族だから様付けで呼ぶんだ~
知らなかったな~
「はい?」
ちょっと待て、いやだいぶ待て。
どこかで聞いた事あるぞ、この流れ。
というか前回とほとんど同じ流れじゃ無いか。
「国王の名において、余の孫、ヘレナ=フォン=サーマルディアとハーンブルク家長男、レオルド=フォン=ハーンブルクの正式な婚姻を認めよう。」
ちょっと言っている意味がわからないな~~
コンインってあれ?
ちょっと前にピエールナンチャラが捕まったっていう・・・・・・
【それはコカインです。】
現実逃避を決め込もうとした俺を、アイとお父様が現実へと引き戻した。
「先の戦争での武勲が認められ、陛下と王太子殿下がお前とヘレナ様の婚姻を許可して下さったのだ。」
「待って下さい、お父様。私はまだ10歳ですよ?いくら何でも早すぎなんじゃ・・・・・・」
突然のお父様からの発表に、俺は混乱した。もちろん、事前説明は一切ない、初耳だ。
そして、今回は前回とは大きく違う点が1つある。
「早すぎるかどうかは本人に聞いてみろ。」
言われて、俺は振り返った。すると、少し申し訳無さそうな顔をした1人の美少女が真剣な目つきでこちらを見つめていた。
俺と目が合うと、彼女は口を開いた。
「レオルド様、私と結婚したく無いのですか?」
少し声を震わせながら、自信無さげに呟いた。
「そんな事はありません、私は・・・・・」
言葉を詰まらせた俺に、ヘレナ様は追い討ちをかける。
「私、ヘレナ=フォン=サーマルディアは、心の底からあなたを愛しております。」
「っん!!!」
俺は思わず、息を飲み込んだ。
決して軽い気持ちではない。彼女の瞳が、その真剣さを物語っていた。
彼女は続ける。
「私は、レオルド様が大好きです。いつでもどんな時でも支え続けたいと考えております。」
ヘレナは、レオルドに自分の気持ちをぶつけた。
「あの小さな世界から私を連れ出し、私に希望と勇気を与えてくれたのは間違いなくレオルド様です。」
ヘレナは、レオルドとの思い出を思い出しながら言った。
思えばこの4年間ずっと一緒だった。
「私は、レオルド様の特別な存在になりたいです。大切な人になりたいです。そして、お嫁さんになりたいです。」
ヘレナからの告白を聞いていると、どこからかこんな声が聞こえた。
【彼女の方は覚悟を決めたようですよ?マスターはどうするのですか?】
俺はどうしたいのだろうか。先日、アイと話した。ハーンブルク家の長男としてこの世界に誕生してからおよそ10年が経過した。
既に、元の世界への帰還はとっくの昔に諦めている。
だってそうだ、今まで俺は神様にも死神にも会った事はない。
訳の分からないままこの世界に転生させられて、訳の分からないまま生活をしている。
今の自分は何を目指しているのだろうか、目標にしているのか。
異世界への転生、この貴重な切符を手にした俺は、何をするべきなのか。
答えは、とっくの昔に決まっていて、もう既に実行していたのかもしれない。
俺は・・・・・・
「わかった・・・・・・結婚しよう、ヘレナ。俺は、君を幸せにして見せる。」
「っ!・・・・・・はい、よろしくお願いします。」
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