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連邦編
第1話 結果
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「ただ今戻りました、レオルド様」
「うん、ご苦労様。で?どうだった?」
「はい、全てレオルド様とエリナ様の計画通りに事が進みました。無事、教皇の助命と優秀な軍人の投獄が完了しました。」
シュヴェリーン付近のベール河で釣りをしていた俺達の所に、トリアス教国から帰って来たシェリングがやって来た。
今日は日曜日という事でお休みをもらい、俺とお母様とユリウスの3人で釣りを楽しんでいた。
ちなみにベール河は、『黒船』が通れるほど大きな河なだけあり、領民の間でも釣りは人気で、結構釣れる。
釣った魚はフライにして食べたら美味しいだろうなぁ~
ブナとかアユとか?釣れるかな~
【・・・・・・話が脱線しすぎです。】
あ、はい、すみません。
「そうなったか・・・・・・じゃあギュスターさんから何か言われなかった?例えば戦争にかかった費用について相談したい、とか。」
「っ!!!はい、言われました。宰相殿から戦費の支払いについて話し合いたいという連絡がありました。教国の併合が終わり次第、シュヴェリーンへと向かうとの事です。」
まぁそう来るだろうな。
今回の戦争にかかった費用、つまりハーンブルク家への借金はおそよ2兆5000億マルク、最近増えたハーンブルク領の領内予算1年分とほぼ同じ金額だ。
戦争によって領土を割譲する事はできたが、賠償金などをぶん取っていないので、現在サーマルディア王国にその金額を用意する余裕はないだろう。
王国としては、一生懸命戦ってくれた兵士や他の貴族に給料や恩賞を支払わなければならない。
「兄さん、やはり王国には戦費を支払うだけの能力は無いのですか?」
「多分ね。王国としては、爵位とか領地とか渡してチャラにしたいはずだ。まぁこっちが頷くとは向こうも思っていないだろうけど。」
弟、ユリウスの問いに、俺は振り返らずに答えた。そちらの方が絵的にカッコいいからだ。
「じゃあシェリングさん、"用事が落ち着いたらお越し下さい、お待ちしております。"っと伝えといて下さい。」
「はっ。承知しました。」
俺が返事を告げると、シェリングさんはやって来た時と同じように静かに消えていった。
「兄さんならてっきり断ると思っていましたが、結局受けるのですね。」
不思議そうな顔をしたユリウスに対して、これまで沈黙を貫いていたお母様が口を開いた。
「ユリウス、いい事を教えてあげましょう。物事を考える時は、決して一つの方向から考えてはなりません。常に色々な方向から考えるのです。」
「というと?」
「交渉によって、ある制度を認めてもらおうと思います。それは、今後のハーンブルク家を更に発展させるための大切な布石です。」
「なるほど、それは楽しみですね。」
「今は政治の事なんて忘れて、釣りを楽しもう。こうして落ち着いていれば、何か名案が浮かんでくるかもしれないし。」
「それじゃあ矛盾してますよ、兄さん」
「バレたか。」
その後も、俺たちは釣りを楽しんだ。ちなみに釣った魚はフライにして美味しくいただきました。
✳︎
「君が?」
「はい、お噂は聞いております、レオルド・フォン・ハーンブルク殿。私が、トリアス教国元騎士団長の娘、セリカです。」
「私は妹のアキネです。」
家族で釣りを楽しんだ数日後、2人の金髪美少女がやって来た。ちなみに年齢は8歳上の18歳で双子らしい。
もちろん予想通り、な、わけ無いじゃん。
朝SHSから、妙な姉妹と思われる2人を保護(拘束)しましたって報告が来た時はめっちゃ驚いた。
【確かに予想外ですね。多少恨まれる事は予想できましたが、ここに来るのは計算外でした。】
たしか騎士団長は懲役5年になったんだよね。
【はい、処刑もしくは終身刑が妥当でしたが、我々の工作によって反乱を起こした『プロス派』のリーダーに仕立て上げたので、助命や減刑を求める声が多かったようです。】
まぁそこは仕方ない。ある程度能力がある人をリーダーにしないと、誰もついてこないからな。
「それで?君たちは何の用があってここに来たのかな?」
「はい、私たちをハーンブルク家で雇っていただきたく思います。」
しかもまさかの仕官希望だし。
何なんだよ。
「ま?」
「はい?」
おっと、現代語じゃ通じないか。
ちなみにハーンブルク領の領民ならある程度通じる。俺が癖でよく使っていた所、部下や領民に広まったのだ。
「どうしてハーンブルク家に?」
「はい、父上が今回の戦争における真の勝者であるハーンブルク家に雇ってもらえ、とおっしゃっていましたのでここに参りました。」
「ハーンブルク領にはトリアス教の信者も教会もないぞ?」
「父上や母上は信者ですが、私たち2人は父上の方針で入会しておりません。」
「おそらく、戦争に負けても私たちだけは助かるようにしてくれたのだと思います。」
やばっ、結構優秀じゃん。
まぁ実際ハーンブルク家が無かったら王国は負けていただろうし。
どうする?
【多少リスクはありますが、メリットもあるので雇って大丈夫だと思います。】
わかった。
「わかった、じゃあ1週間ハーンブルク領で暮らしてみて、慣れたら雇うか決めるよ。それまではお試しって事で。」
「「ありがとうございます」」
そして、2人の部下が加わった。
「うん、ご苦労様。で?どうだった?」
「はい、全てレオルド様とエリナ様の計画通りに事が進みました。無事、教皇の助命と優秀な軍人の投獄が完了しました。」
シュヴェリーン付近のベール河で釣りをしていた俺達の所に、トリアス教国から帰って来たシェリングがやって来た。
今日は日曜日という事でお休みをもらい、俺とお母様とユリウスの3人で釣りを楽しんでいた。
ちなみにベール河は、『黒船』が通れるほど大きな河なだけあり、領民の間でも釣りは人気で、結構釣れる。
釣った魚はフライにして食べたら美味しいだろうなぁ~
ブナとかアユとか?釣れるかな~
【・・・・・・話が脱線しすぎです。】
あ、はい、すみません。
「そうなったか・・・・・・じゃあギュスターさんから何か言われなかった?例えば戦争にかかった費用について相談したい、とか。」
「っ!!!はい、言われました。宰相殿から戦費の支払いについて話し合いたいという連絡がありました。教国の併合が終わり次第、シュヴェリーンへと向かうとの事です。」
まぁそう来るだろうな。
今回の戦争にかかった費用、つまりハーンブルク家への借金はおそよ2兆5000億マルク、最近増えたハーンブルク領の領内予算1年分とほぼ同じ金額だ。
戦争によって領土を割譲する事はできたが、賠償金などをぶん取っていないので、現在サーマルディア王国にその金額を用意する余裕はないだろう。
王国としては、一生懸命戦ってくれた兵士や他の貴族に給料や恩賞を支払わなければならない。
「兄さん、やはり王国には戦費を支払うだけの能力は無いのですか?」
「多分ね。王国としては、爵位とか領地とか渡してチャラにしたいはずだ。まぁこっちが頷くとは向こうも思っていないだろうけど。」
弟、ユリウスの問いに、俺は振り返らずに答えた。そちらの方が絵的にカッコいいからだ。
「じゃあシェリングさん、"用事が落ち着いたらお越し下さい、お待ちしております。"っと伝えといて下さい。」
「はっ。承知しました。」
俺が返事を告げると、シェリングさんはやって来た時と同じように静かに消えていった。
「兄さんならてっきり断ると思っていましたが、結局受けるのですね。」
不思議そうな顔をしたユリウスに対して、これまで沈黙を貫いていたお母様が口を開いた。
「ユリウス、いい事を教えてあげましょう。物事を考える時は、決して一つの方向から考えてはなりません。常に色々な方向から考えるのです。」
「というと?」
「交渉によって、ある制度を認めてもらおうと思います。それは、今後のハーンブルク家を更に発展させるための大切な布石です。」
「なるほど、それは楽しみですね。」
「今は政治の事なんて忘れて、釣りを楽しもう。こうして落ち着いていれば、何か名案が浮かんでくるかもしれないし。」
「それじゃあ矛盾してますよ、兄さん」
「バレたか。」
その後も、俺たちは釣りを楽しんだ。ちなみに釣った魚はフライにして美味しくいただきました。
✳︎
「君が?」
「はい、お噂は聞いております、レオルド・フォン・ハーンブルク殿。私が、トリアス教国元騎士団長の娘、セリカです。」
「私は妹のアキネです。」
家族で釣りを楽しんだ数日後、2人の金髪美少女がやって来た。ちなみに年齢は8歳上の18歳で双子らしい。
もちろん予想通り、な、わけ無いじゃん。
朝SHSから、妙な姉妹と思われる2人を保護(拘束)しましたって報告が来た時はめっちゃ驚いた。
【確かに予想外ですね。多少恨まれる事は予想できましたが、ここに来るのは計算外でした。】
たしか騎士団長は懲役5年になったんだよね。
【はい、処刑もしくは終身刑が妥当でしたが、我々の工作によって反乱を起こした『プロス派』のリーダーに仕立て上げたので、助命や減刑を求める声が多かったようです。】
まぁそこは仕方ない。ある程度能力がある人をリーダーにしないと、誰もついてこないからな。
「それで?君たちは何の用があってここに来たのかな?」
「はい、私たちをハーンブルク家で雇っていただきたく思います。」
しかもまさかの仕官希望だし。
何なんだよ。
「ま?」
「はい?」
おっと、現代語じゃ通じないか。
ちなみにハーンブルク領の領民ならある程度通じる。俺が癖でよく使っていた所、部下や領民に広まったのだ。
「どうしてハーンブルク家に?」
「はい、父上が今回の戦争における真の勝者であるハーンブルク家に雇ってもらえ、とおっしゃっていましたのでここに参りました。」
「ハーンブルク領にはトリアス教の信者も教会もないぞ?」
「父上や母上は信者ですが、私たち2人は父上の方針で入会しておりません。」
「おそらく、戦争に負けても私たちだけは助かるようにしてくれたのだと思います。」
やばっ、結構優秀じゃん。
まぁ実際ハーンブルク家が無かったら王国は負けていただろうし。
どうする?
【多少リスクはありますが、メリットもあるので雇って大丈夫だと思います。】
わかった。
「わかった、じゃあ1週間ハーンブルク領で暮らしてみて、慣れたら雇うか決めるよ。それまではお試しって事で。」
「「ありがとうございます」」
そして、2人の部下が加わった。
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