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家族編
第19話 side イレーナ3
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「イレーナ、今日は何か用事がありますか?」
「今日は特に用事は無いわ。」
私は、今日のスケジュールを思い出しながら答えた。
今日は仕事もなく暇なので、文官の仕事を手伝うか、最近よく行われている民事裁判を傍聴しに行こうかと、考えていたがその予定を全て放棄した。
「それで?今度はどこに行きたいの?」
「ど、どうしてそれがわかったのっ!」
「ふふっ、ヘレナはわかりやすいのよ。顔に遊びに行きたいですって書いてあるわ。」
「うぅ~~」
私とヘレナは仲が良い。幼い頃から王女と宰相の娘という事でよく一緒に遊ぶ事が許可された。
遊ぶといっても、基本的に王女であるヘレナは部屋から出る事はできないので、私が本などを持ち込んで2人で楽しんだ。
お互い両親の関係で友達がほぼゼロの状態だったので、私達はすぐに打ち解けた。
これは後から聞いた話だが、当時の彼女は友達という存在にとても憧れており、私が話し相手になってくれた事がすごく嬉しかったそうだ。
幼い頃に育まれた友情というのは長続きするもので、私たちは今でも仲良しだ。たまにあのバカレオルドとの惚気話を聞かされたり、自慢されたりする事はあるが、それでも一緒にいるほど仲が良い。
「それで?結局どこに行きたいのよ。」
「『ウィートン』に行ってみたいです。」
「え?あそこ?あ~なるほどそういう事ね。わかったわ、早速行きましょ。」
「はい、よろしくお願いしますっ!」
『シュヴェリーン』と『テラトスタ』を結ぶ鉄道、『ハーンブルク鉄道』には、7つの駅が存在する。
およそ60kmの道のりに、10kmずつ駅があると考えればわかりやすい。
『ウィートン』はシュヴェリーンを出発してから4つ目の駅で、駅を中心に開発された新都市だ。
鉄道の恩恵もあり、現在進行形で急速に発展している都市で、近いうちにプロサッカーチームができてもおかしくない都市の1つだ。
「そろそろ着くわよ。」
「わかりました、準備します。」
ヘレナとイレーナは、例の女騎士を連れて3人で『ハーンブルク鉄道』に乗っていた。
最近では、『ハーンブルク鉄道』の存在が生活をする上で必須になり始めている。3人は、専用車両である2号車に乗って『ウィートン』へとやってきた。
汽車を降り、ホームに足を付けると、この都市を象徴する音が聴こえてきた。
~~♪
「早速聴こえて来ました~~」
今日、初めて『ウィートン』を訪れたヘレナは、無邪気にはしゃいだ。
シュヴェリーンで何度も噂を聞いていたので、いつか行ってみたいと思っていた場所だったからだ。
「これはレオルド様が考案した『交響曲第5番の運命』でしょうか・・・・・・」
「少しアレンジが加えられているけど間違いなく『交響曲第5番の運命』ね。結構上手な方だわ、聴きに行きましょ。」
「はい♪」
音楽の都『ウィートン』
世界一の音楽都市で、世界中からあらゆる音楽が集まっている都市だ。
元々は、サッカーの応援を行うための弦楽器や管楽器の作成を行う場所であったが、次々と新しい楽器が開発され、多くの作曲家や演奏家が誕生した。
メインストリートである『リング通り』では、色々な音楽家がそれぞれの音楽を披露し合う場所となっている。
また、ハーンブルク家に仕える家臣達やジア連邦の貴族達に大人気で、色々な観光客がそれぞれ楽器を買ったりしていた。
ちなみに、サーマルディア王国の貴族がハーンブルク領に来る事はあまり多くない。
今が戦争中というのもあるが、お母様と仲が良くないと、そもそも入れてもらえないからだ。
私達3人は、自然と路上で演奏している人の所へ足を運んだ。
大勢の観客が、全く音を立てずに演奏を聴き入っていた。平日の真っ昼間なのにもかかわらず、観客は数百人以上いる。
私は音楽の事はあまりよくわからないけど、この演奏の素晴らしさは理解できる・・・・・・
観客を別の世界に引き込むような演奏は、多くの観客の心を掴んだ。
やがて、演奏が終わると路上は、拍手に包まれた。
「とても素晴らしい演奏でした・・・・・」
「そうね、流石音楽の都『ウィートン』だわ。レベルが高い・・・・・・」
シュヴェリーンでも、たまに路上で演奏している人はいるが、ここはレベルが段違いだ。
そしてここでは日々、様々な音楽家が日々研鑽している。
「それにレオルド様が作曲なさった『運命』も素晴らしかったです。何度も聴いた事がある曲ですが、いつ聴いても素晴らしいです。」
「確かにレオルドの曲は素晴らしいけど少し意外でもあるわ、どう考えてもレオルドに音楽的なセンスがあると思えないもの。」
レオルドは、よく新曲の楽譜を無料で公開している。そもそも楽譜という概念を生み出したのもレオルドで、音楽家の間では『音楽の父』と呼ばれている。
ちなみに『ミドール』に行けば『科学の父』だったり『発明の神』だったりと呼ばれている。
「ふふふ、レオルド様のピアノの演奏は凄いんですよ?私も何度か聴かせていただいた事がありますが、素晴らしかったです・・・・・・」
「私ももちろんあるわ。」
思い出すように言ったヘレナの発言に対して、イレーナは自慢するように言った。
新しい曲ができたりすると、レオルドがよく弾いてくれるので、大抵の曲は全てリサーチ済みだ。
まぁ実は、ピアノを弾いているのはレオルドではなくアイだった、というオチを当然2人は知らない。
そんな事を話していると、次の演奏が始まった。
「今度の曲は第6番でしょうか・・・・・」
「正解よ。せっかくだから最後まで聴いていきましょうか。」
「はいっ!」
その後も2人は、色々な音楽に触れ、音楽の都を満喫した。
____________________
どうでもいい話
小説を書く時1番面倒なのは、固有名詞を考える事です。
私はよく再利用しています。
「今日は特に用事は無いわ。」
私は、今日のスケジュールを思い出しながら答えた。
今日は仕事もなく暇なので、文官の仕事を手伝うか、最近よく行われている民事裁判を傍聴しに行こうかと、考えていたがその予定を全て放棄した。
「それで?今度はどこに行きたいの?」
「ど、どうしてそれがわかったのっ!」
「ふふっ、ヘレナはわかりやすいのよ。顔に遊びに行きたいですって書いてあるわ。」
「うぅ~~」
私とヘレナは仲が良い。幼い頃から王女と宰相の娘という事でよく一緒に遊ぶ事が許可された。
遊ぶといっても、基本的に王女であるヘレナは部屋から出る事はできないので、私が本などを持ち込んで2人で楽しんだ。
お互い両親の関係で友達がほぼゼロの状態だったので、私達はすぐに打ち解けた。
これは後から聞いた話だが、当時の彼女は友達という存在にとても憧れており、私が話し相手になってくれた事がすごく嬉しかったそうだ。
幼い頃に育まれた友情というのは長続きするもので、私たちは今でも仲良しだ。たまにあのバカレオルドとの惚気話を聞かされたり、自慢されたりする事はあるが、それでも一緒にいるほど仲が良い。
「それで?結局どこに行きたいのよ。」
「『ウィートン』に行ってみたいです。」
「え?あそこ?あ~なるほどそういう事ね。わかったわ、早速行きましょ。」
「はい、よろしくお願いしますっ!」
『シュヴェリーン』と『テラトスタ』を結ぶ鉄道、『ハーンブルク鉄道』には、7つの駅が存在する。
およそ60kmの道のりに、10kmずつ駅があると考えればわかりやすい。
『ウィートン』はシュヴェリーンを出発してから4つ目の駅で、駅を中心に開発された新都市だ。
鉄道の恩恵もあり、現在進行形で急速に発展している都市で、近いうちにプロサッカーチームができてもおかしくない都市の1つだ。
「そろそろ着くわよ。」
「わかりました、準備します。」
ヘレナとイレーナは、例の女騎士を連れて3人で『ハーンブルク鉄道』に乗っていた。
最近では、『ハーンブルク鉄道』の存在が生活をする上で必須になり始めている。3人は、専用車両である2号車に乗って『ウィートン』へとやってきた。
汽車を降り、ホームに足を付けると、この都市を象徴する音が聴こえてきた。
~~♪
「早速聴こえて来ました~~」
今日、初めて『ウィートン』を訪れたヘレナは、無邪気にはしゃいだ。
シュヴェリーンで何度も噂を聞いていたので、いつか行ってみたいと思っていた場所だったからだ。
「これはレオルド様が考案した『交響曲第5番の運命』でしょうか・・・・・・」
「少しアレンジが加えられているけど間違いなく『交響曲第5番の運命』ね。結構上手な方だわ、聴きに行きましょ。」
「はい♪」
音楽の都『ウィートン』
世界一の音楽都市で、世界中からあらゆる音楽が集まっている都市だ。
元々は、サッカーの応援を行うための弦楽器や管楽器の作成を行う場所であったが、次々と新しい楽器が開発され、多くの作曲家や演奏家が誕生した。
メインストリートである『リング通り』では、色々な音楽家がそれぞれの音楽を披露し合う場所となっている。
また、ハーンブルク家に仕える家臣達やジア連邦の貴族達に大人気で、色々な観光客がそれぞれ楽器を買ったりしていた。
ちなみに、サーマルディア王国の貴族がハーンブルク領に来る事はあまり多くない。
今が戦争中というのもあるが、お母様と仲が良くないと、そもそも入れてもらえないからだ。
私達3人は、自然と路上で演奏している人の所へ足を運んだ。
大勢の観客が、全く音を立てずに演奏を聴き入っていた。平日の真っ昼間なのにもかかわらず、観客は数百人以上いる。
私は音楽の事はあまりよくわからないけど、この演奏の素晴らしさは理解できる・・・・・・
観客を別の世界に引き込むような演奏は、多くの観客の心を掴んだ。
やがて、演奏が終わると路上は、拍手に包まれた。
「とても素晴らしい演奏でした・・・・・」
「そうね、流石音楽の都『ウィートン』だわ。レベルが高い・・・・・・」
シュヴェリーンでも、たまに路上で演奏している人はいるが、ここはレベルが段違いだ。
そしてここでは日々、様々な音楽家が日々研鑽している。
「それにレオルド様が作曲なさった『運命』も素晴らしかったです。何度も聴いた事がある曲ですが、いつ聴いても素晴らしいです。」
「確かにレオルドの曲は素晴らしいけど少し意外でもあるわ、どう考えてもレオルドに音楽的なセンスがあると思えないもの。」
レオルドは、よく新曲の楽譜を無料で公開している。そもそも楽譜という概念を生み出したのもレオルドで、音楽家の間では『音楽の父』と呼ばれている。
ちなみに『ミドール』に行けば『科学の父』だったり『発明の神』だったりと呼ばれている。
「ふふふ、レオルド様のピアノの演奏は凄いんですよ?私も何度か聴かせていただいた事がありますが、素晴らしかったです・・・・・・」
「私ももちろんあるわ。」
思い出すように言ったヘレナの発言に対して、イレーナは自慢するように言った。
新しい曲ができたりすると、レオルドがよく弾いてくれるので、大抵の曲は全てリサーチ済みだ。
まぁ実は、ピアノを弾いているのはレオルドではなくアイだった、というオチを当然2人は知らない。
そんな事を話していると、次の演奏が始まった。
「今度の曲は第6番でしょうか・・・・・」
「正解よ。せっかくだから最後まで聴いていきましょうか。」
「はいっ!」
その後も2人は、色々な音楽に触れ、音楽の都を満喫した。
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小説を書く時1番面倒なのは、固有名詞を考える事です。
私はよく再利用しています。
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