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軍事編
第17話 交渉
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「サラージア王国軍、上級将校のベルダルスだ。」
「ハーンブルク軍総大将代理、レオルド・フォン・ハーンブルクです。」
SHSの仮拠点に案内されたサラージア王国軍の別働隊のリーダーの男は、特に疑う様子もなく、席に着いた。
そして、俺と目を合わせると、驚いた顔をした。
「驚いたな。お隣のハーンブルク家に『紫の麒麟児』が誕生したという噂を聞いた事があったが、本当にいたとは・・・・・・それに、こちらの状況をよくわかっている。」
「そのように呼ばれているという話は初耳です。」
『紫の麒麟児』って何だよそれっ!
そんな呼ばれ方してんの?俺。
せめてRSWの監督とかにして欲しいんだけど
【・・・・・・】
「まぁ無理もない。噂と言っても、信憑性が薄いという事で多くの人はその噂を信じていなかったからな。」
「そうだったのですか。では無駄話はここら辺にして、本題といきましょう。」
「わかりました。」
俺はさっさと話を終わらせたかったので、強引に本題に移った。年齢の事を変な目で見られるのはもう飽きたからだ。まぁ実際変な年齢ではあるが・・・
「ハーンブルク軍からの要求は、別働隊およそ2万の即時降伏です。このまま戦っても我が軍の本隊と戦うよりも早く別働隊の食料は底を尽きます。2万人が食料不足で無駄死にするぐらいなら、降伏して命だけは助けませんかという提案です。」
「なるほど、見抜かれていたか。だがそちらに何の得がある。」
ベルダルスは、隠すような事もせずに食料不足である事を認めた。
それ以上に、何故このような提案をしたかの方が気になったようだ。確かに、捕虜というのは面倒な面も多い。当然、2万人分の食料を負担しなければならないし、寝床も用意しなければならない。
だが、それ以上にこのベルダルスという男に利用価値があると考えたのだ。
「2万の兵隊を捕虜として扱う代わりに、あなたにはサラージア王国軍との橋渡し役になってもらいます。」
「橋渡し役、ですか?」
「はい、ハーンブルク軍としては、即時講和を求めていますが、兵力が劣っている今では、彼らは応じないでしょう。ですが、別働隊およそ2万がこちらに加われば、サラージア本隊を兵力で上回り、講和を行う事ができるかもしれないのです。」
「なるほど、即時講和ですか。ですが我が国の王がそれを受けるとは・・・・・」
「そこは、食料の供給を条件にする予定です。あなた方が捨て駒として突撃させられたという事は、本隊の方も食料が残りわずかという事でしょう。ならば応じざるを得ない状況に持っていきます。」
「・・・・・・そこまで読まれているのか。確かに我々は捨て駒にされたのだろうな・・・・・・わかった、我々は降伏する事にする。」
というのはもちろん建前だ。
正直このまま新兵器を装備したハーンブルクで攻撃すれば、敵の王を捕らえつつ敵部隊を全滅させる事も出来ない事もない。
だが・・・・・・
【王が死に軍部が崩壊した結果、サラージア王国が全く別の国から侵攻されれば、それはそれで厄介です。ハーンブルク軍だけでは数が足りなく、サラージア王国全土で戦うのは不可能ですから。そこで、サラージア王国内に存在する平民派を利用します。】
了解、ならさっさと種まきを行いますかね。
俺は鞭を捨て、飴を渡す事にした。
「ありがとうございます、では我々からもお礼としてあなたが推し進めている平民優遇政策について1つアドバイスさせていただきます。あなたが行なっているような、貴族や王を納得させるという方法では不可能です。ですので、あなたが本当に平民優遇政策を行いたいのならば、建国するのが1番手っ取り早いと思います。」
「建国、ですか?」
「はい、そして王がいない政治体制の国、共和制国家を建国するのです。サラージア王国は王制派と共和制派の2つに分裂するでしょう。そうなった時、我々サーマルディア王国があなた方を支援させていただきます。」
「そんな方法がっ!確かにそれならば上手くいくかも知れん。私に味方する貴族は少ないが、全体の3割に登る。そこに、サーマルディア王国という後ろ盾を得れば・・・・・・」
要するに傀儡政権を作って統治してしまおうという作戦だ。内乱に介入し、貸しを作っておく事で、戦後に大量の利権が期待できるだろう。
【その上、ハワフ島のように不平等条約を押し付け、サラージア王国を輸出相手国にします。】
はっはっは~
これでまたもやハーンブルク家は丸儲けっ!
俺って天才~
【私の意見です。】
すんまへん。
と、夢物語はこの辺にして、まずはやるべき事をやらなければならない。
「未来の話は後でゆっくり行うとしましょう。まずはあなた方の食料を用意させますね。」
「よろしくお願いいたします。」
こうして、1人の犠牲者も出さずにサラージア王国軍の別働隊およそ2万は全面的に降伏した。
そして別働隊のリーダーであるベルダルスと一部の指揮官は SHSの仮拠点に留まり、それ以外の全ての兵士は一時的にハーンブルク軍の指揮下に入った。
また、サラージア王国軍本隊へすぐに話し合いの場を設けたいという書状を送り、 SHSの仮拠点とサラージア王国軍本隊の間辺りで3日後に講和会議か行われる事となった。
___________________________________________________
どうでもいい話
楽しんでいただけると嬉しいです
「ハーンブルク軍総大将代理、レオルド・フォン・ハーンブルクです。」
SHSの仮拠点に案内されたサラージア王国軍の別働隊のリーダーの男は、特に疑う様子もなく、席に着いた。
そして、俺と目を合わせると、驚いた顔をした。
「驚いたな。お隣のハーンブルク家に『紫の麒麟児』が誕生したという噂を聞いた事があったが、本当にいたとは・・・・・・それに、こちらの状況をよくわかっている。」
「そのように呼ばれているという話は初耳です。」
『紫の麒麟児』って何だよそれっ!
そんな呼ばれ方してんの?俺。
せめてRSWの監督とかにして欲しいんだけど
【・・・・・・】
「まぁ無理もない。噂と言っても、信憑性が薄いという事で多くの人はその噂を信じていなかったからな。」
「そうだったのですか。では無駄話はここら辺にして、本題といきましょう。」
「わかりました。」
俺はさっさと話を終わらせたかったので、強引に本題に移った。年齢の事を変な目で見られるのはもう飽きたからだ。まぁ実際変な年齢ではあるが・・・
「ハーンブルク軍からの要求は、別働隊およそ2万の即時降伏です。このまま戦っても我が軍の本隊と戦うよりも早く別働隊の食料は底を尽きます。2万人が食料不足で無駄死にするぐらいなら、降伏して命だけは助けませんかという提案です。」
「なるほど、見抜かれていたか。だがそちらに何の得がある。」
ベルダルスは、隠すような事もせずに食料不足である事を認めた。
それ以上に、何故このような提案をしたかの方が気になったようだ。確かに、捕虜というのは面倒な面も多い。当然、2万人分の食料を負担しなければならないし、寝床も用意しなければならない。
だが、それ以上にこのベルダルスという男に利用価値があると考えたのだ。
「2万の兵隊を捕虜として扱う代わりに、あなたにはサラージア王国軍との橋渡し役になってもらいます。」
「橋渡し役、ですか?」
「はい、ハーンブルク軍としては、即時講和を求めていますが、兵力が劣っている今では、彼らは応じないでしょう。ですが、別働隊およそ2万がこちらに加われば、サラージア本隊を兵力で上回り、講和を行う事ができるかもしれないのです。」
「なるほど、即時講和ですか。ですが我が国の王がそれを受けるとは・・・・・」
「そこは、食料の供給を条件にする予定です。あなた方が捨て駒として突撃させられたという事は、本隊の方も食料が残りわずかという事でしょう。ならば応じざるを得ない状況に持っていきます。」
「・・・・・・そこまで読まれているのか。確かに我々は捨て駒にされたのだろうな・・・・・・わかった、我々は降伏する事にする。」
というのはもちろん建前だ。
正直このまま新兵器を装備したハーンブルクで攻撃すれば、敵の王を捕らえつつ敵部隊を全滅させる事も出来ない事もない。
だが・・・・・・
【王が死に軍部が崩壊した結果、サラージア王国が全く別の国から侵攻されれば、それはそれで厄介です。ハーンブルク軍だけでは数が足りなく、サラージア王国全土で戦うのは不可能ですから。そこで、サラージア王国内に存在する平民派を利用します。】
了解、ならさっさと種まきを行いますかね。
俺は鞭を捨て、飴を渡す事にした。
「ありがとうございます、では我々からもお礼としてあなたが推し進めている平民優遇政策について1つアドバイスさせていただきます。あなたが行なっているような、貴族や王を納得させるという方法では不可能です。ですので、あなたが本当に平民優遇政策を行いたいのならば、建国するのが1番手っ取り早いと思います。」
「建国、ですか?」
「はい、そして王がいない政治体制の国、共和制国家を建国するのです。サラージア王国は王制派と共和制派の2つに分裂するでしょう。そうなった時、我々サーマルディア王国があなた方を支援させていただきます。」
「そんな方法がっ!確かにそれならば上手くいくかも知れん。私に味方する貴族は少ないが、全体の3割に登る。そこに、サーマルディア王国という後ろ盾を得れば・・・・・・」
要するに傀儡政権を作って統治してしまおうという作戦だ。内乱に介入し、貸しを作っておく事で、戦後に大量の利権が期待できるだろう。
【その上、ハワフ島のように不平等条約を押し付け、サラージア王国を輸出相手国にします。】
はっはっは~
これでまたもやハーンブルク家は丸儲けっ!
俺って天才~
【私の意見です。】
すんまへん。
と、夢物語はこの辺にして、まずはやるべき事をやらなければならない。
「未来の話は後でゆっくり行うとしましょう。まずはあなた方の食料を用意させますね。」
「よろしくお願いいたします。」
こうして、1人の犠牲者も出さずにサラージア王国軍の別働隊およそ2万は全面的に降伏した。
そして別働隊のリーダーであるベルダルスと一部の指揮官は SHSの仮拠点に留まり、それ以外の全ての兵士は一時的にハーンブルク軍の指揮下に入った。
また、サラージア王国軍本隊へすぐに話し合いの場を設けたいという書状を送り、 SHSの仮拠点とサラージア王国軍本隊の間辺りで3日後に講和会議か行われる事となった。
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