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軍事編
第2話 航海
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首都シュヴェリーンを出て今日で7日目、報告ではそろそろ島が見えて来る頃だ。
俺は、クレアとイレーナ、それとSHSのメンバー数百名と研究部漁業部門の半数を連れて西へ西へと船を進めていた。
今回の航海に参加したのは、黒船級1番艦『テンペスト』と同4番艦『ストーム』、それと木造の輸送船が2隻だ。
ちなみに木造の輸送船というのは、文字通り人や武器ではなく、物資を運ぶための船だ。
この2つ船にはマストはあるものの、蒸気機関は積んでいないので、前方の2隻に引っ張ってもらう形で海を進んでいた。
「あ~あ、流石に疲れたわ。」
「レオルド、もっとシャキッとしなさいよ。」
「いいんだよ、どうせ上陸するまでは暇なんだしさ。」
「あんたがそんなんだと余計にみんなに迷惑がかかるでしょ?軍師はいつでも立派でいるように心がけるものよ。」
「・・・」
「何か言いなさいよ!」
「いや~ごめん。何て答えればいいか分からんかったわ。」
「全くもうっ!」
何というか、最近ヘレナとの距離が縮まった代わりにイレーナとの距離が広まった気がする。
こうなった原因として、イレーナが監督を務めるFCTではなく、俺が監督をやっているRSWが去年優勝した事や、長い間蒸気船の事を秘密にしておいた事が挙げられる。
確かに怒りたくなる気持ちもわからなくはないが、後者に関しては『アイ』による緻密な設計とSHSの努力が合わさってやっとできる物で、真似しようとしてもまず不可能である。
ほぼ自動で動く、何やら凄いものがあるという情報は既に流れているかもしれないが、その製造方法などは知る由もないだろう。
それはともかく、イレーナが何で怒っているのか本当にわからない。強いて挙げるとしたら・・・・・・
「だいたいこの服は何なの?私の趣味じゃないんだけどっ!」
「メ・イ・ド・ふ・く、だよ、覚えて。」
そういえばそうだった、イレーナ用のメイド服を作り、プレゼントしたのだ。
【正確には、クレアさんに作らせた物ですけどね。】
いいんだよ、そういう細かいところは。
「名前何てどうだっていいのよ!」
「そう言いながら着てるじゃん。似合っているよ。」
「あんたが着ろって言ったんでしょ!」
「そうだったっけ?」
【マスターは、『イレーナのために作った』としか言っておりません。口では文句を言っていますが、十中八九気に入っています。】
馬鹿め、『アイ』という最高の相棒がいる俺に、嘘などが通じるわけないだろ。
っと『アイ』の存在を知らないなら仕方がないか。
「暇ならトランプでもやるか?」
「あんたね・・・・・・そんなにやりたいならやってあげなくもないわよ?」
「はいはい、ババ抜きでいいか?」
「いいわ、相手してあげる、クレアも参加しなさい。」
「は、はい。わかりました。」
先日、ついでにトランプも作った。少し硬めの紙に、スタンプを押しただけであったが、カードの裏側にRSWとFCTのマークを描いたらめっちゃ売れた。
俺が知っている遊び方もいくつか公表した。早速、領民の間で流行っているらしい。
しかし、この俺にトランプで勝負を挑むなど愚の骨頂としか言いようがない。
【マスター、ズルはいけませんよ?】
え?ちょっと待てよ。
まさかのヘルプなし?
まぁいいだろう、意識が覚醒してから生まれるまでの1年間ひたすらトランプとしりとりを極めた俺を舐めるなよ?
久しぶりに、本気を見せてやろう。
✳︎
・・・・・・負けた。
あれ?あれあれ?
最初から最後までずっと俺の手元にジョーカーが存在し続け、敗北した。
いわゆる、どうしようもないやつだ。
「弱過ぎでしょ!」
「うるせーな。たまたま運が悪かったんだよ。」
「ご、ごめんなさいレオルド様、勝ってしまいました。」
「い、いいんだよクレア。トランプは勝ってなんぼだし・・・・・・」
メイドの2人が交互に俺を煽った。クレアの方は煽ったつもりはないと思うが、完全に嫌味である。
するとタイミング良く、出入り口の扉が開いた。
「レオルド様、正面に報告にあった島を発見しました!あと1時間ほどで到着いたします!」
「わかった、上陸の準備を進めてくれ。それと、座礁には十分気をつけてくれよ。船に穴が空いたとかになったら洒落にならん。」
「了解っ!『ストーム』の方にも伝えます!」
船の中にいたから分からなかったが、どうやら目的地に着いたようだ。
俺は、部下の後を追うように甲板に出る。
あれか・・・・・・
報告の通り、正面に大きな島が見えた。俺はてっきり小さな島ぐらいの感覚であったが、結構でかい。
【想像していたよりもずっと大きいですね。早速上陸して、水と拠点を確保しましょう。】
了解だ。それにしてもでかいな、前世で言うところの沖縄ぐらいあるぞ。
先住民がいるかもしれない・・・・・・
【先住民と会ったら、とりあえず交流を図りましょう。殲滅するのではなく、利用するのが得策です。】
そうだな。
やがて、湾になっている所に2隻の黒船が停泊した。その後ろにくっついている輸送船から、小型の船を取り出し上陸をする。
俺の後に続いて、調査隊のメンバーも次々と上陸した。俺は、メンバー達に指示を飛ばす。
「まずは水の確保からだ。川や池を見つけ出し、情報を共有しよう。また、原住民と接触した場合は、交戦をせずに撤退し、報告するようにっ!」
「「「了解っ!」」」
「では、小隊ごと散開っ!」
俺の指示に応え、メンバー達は小隊ごとにまとまって森へと入っていった。
小隊というのは、SHS内に作った小さなチームの事である。基本的に4人1組で小隊を作り、小隊ごとに任務を行っている。
ちなみにその上には、中隊、大隊と続きその上に俺がいるという仕組みだ。
国防軍にはない、階級制度を取り入れており、円滑に指示が通るように工夫してある。
そして、先行した小隊の一つが、森の奥で1人の少女発見した。続いて別の小隊が大きな集落を発見した。
どうやら、先住民がいたようだ。
__________________________________________
どうでもいい話
楽しんでいただけると嬉しいです
俺は、クレアとイレーナ、それとSHSのメンバー数百名と研究部漁業部門の半数を連れて西へ西へと船を進めていた。
今回の航海に参加したのは、黒船級1番艦『テンペスト』と同4番艦『ストーム』、それと木造の輸送船が2隻だ。
ちなみに木造の輸送船というのは、文字通り人や武器ではなく、物資を運ぶための船だ。
この2つ船にはマストはあるものの、蒸気機関は積んでいないので、前方の2隻に引っ張ってもらう形で海を進んでいた。
「あ~あ、流石に疲れたわ。」
「レオルド、もっとシャキッとしなさいよ。」
「いいんだよ、どうせ上陸するまでは暇なんだしさ。」
「あんたがそんなんだと余計にみんなに迷惑がかかるでしょ?軍師はいつでも立派でいるように心がけるものよ。」
「・・・」
「何か言いなさいよ!」
「いや~ごめん。何て答えればいいか分からんかったわ。」
「全くもうっ!」
何というか、最近ヘレナとの距離が縮まった代わりにイレーナとの距離が広まった気がする。
こうなった原因として、イレーナが監督を務めるFCTではなく、俺が監督をやっているRSWが去年優勝した事や、長い間蒸気船の事を秘密にしておいた事が挙げられる。
確かに怒りたくなる気持ちもわからなくはないが、後者に関しては『アイ』による緻密な設計とSHSの努力が合わさってやっとできる物で、真似しようとしてもまず不可能である。
ほぼ自動で動く、何やら凄いものがあるという情報は既に流れているかもしれないが、その製造方法などは知る由もないだろう。
それはともかく、イレーナが何で怒っているのか本当にわからない。強いて挙げるとしたら・・・・・・
「だいたいこの服は何なの?私の趣味じゃないんだけどっ!」
「メ・イ・ド・ふ・く、だよ、覚えて。」
そういえばそうだった、イレーナ用のメイド服を作り、プレゼントしたのだ。
【正確には、クレアさんに作らせた物ですけどね。】
いいんだよ、そういう細かいところは。
「名前何てどうだっていいのよ!」
「そう言いながら着てるじゃん。似合っているよ。」
「あんたが着ろって言ったんでしょ!」
「そうだったっけ?」
【マスターは、『イレーナのために作った』としか言っておりません。口では文句を言っていますが、十中八九気に入っています。】
馬鹿め、『アイ』という最高の相棒がいる俺に、嘘などが通じるわけないだろ。
っと『アイ』の存在を知らないなら仕方がないか。
「暇ならトランプでもやるか?」
「あんたね・・・・・・そんなにやりたいならやってあげなくもないわよ?」
「はいはい、ババ抜きでいいか?」
「いいわ、相手してあげる、クレアも参加しなさい。」
「は、はい。わかりました。」
先日、ついでにトランプも作った。少し硬めの紙に、スタンプを押しただけであったが、カードの裏側にRSWとFCTのマークを描いたらめっちゃ売れた。
俺が知っている遊び方もいくつか公表した。早速、領民の間で流行っているらしい。
しかし、この俺にトランプで勝負を挑むなど愚の骨頂としか言いようがない。
【マスター、ズルはいけませんよ?】
え?ちょっと待てよ。
まさかのヘルプなし?
まぁいいだろう、意識が覚醒してから生まれるまでの1年間ひたすらトランプとしりとりを極めた俺を舐めるなよ?
久しぶりに、本気を見せてやろう。
✳︎
・・・・・・負けた。
あれ?あれあれ?
最初から最後までずっと俺の手元にジョーカーが存在し続け、敗北した。
いわゆる、どうしようもないやつだ。
「弱過ぎでしょ!」
「うるせーな。たまたま運が悪かったんだよ。」
「ご、ごめんなさいレオルド様、勝ってしまいました。」
「い、いいんだよクレア。トランプは勝ってなんぼだし・・・・・・」
メイドの2人が交互に俺を煽った。クレアの方は煽ったつもりはないと思うが、完全に嫌味である。
するとタイミング良く、出入り口の扉が開いた。
「レオルド様、正面に報告にあった島を発見しました!あと1時間ほどで到着いたします!」
「わかった、上陸の準備を進めてくれ。それと、座礁には十分気をつけてくれよ。船に穴が空いたとかになったら洒落にならん。」
「了解っ!『ストーム』の方にも伝えます!」
船の中にいたから分からなかったが、どうやら目的地に着いたようだ。
俺は、部下の後を追うように甲板に出る。
あれか・・・・・・
報告の通り、正面に大きな島が見えた。俺はてっきり小さな島ぐらいの感覚であったが、結構でかい。
【想像していたよりもずっと大きいですね。早速上陸して、水と拠点を確保しましょう。】
了解だ。それにしてもでかいな、前世で言うところの沖縄ぐらいあるぞ。
先住民がいるかもしれない・・・・・・
【先住民と会ったら、とりあえず交流を図りましょう。殲滅するのではなく、利用するのが得策です。】
そうだな。
やがて、湾になっている所に2隻の黒船が停泊した。その後ろにくっついている輸送船から、小型の船を取り出し上陸をする。
俺の後に続いて、調査隊のメンバーも次々と上陸した。俺は、メンバー達に指示を飛ばす。
「まずは水の確保からだ。川や池を見つけ出し、情報を共有しよう。また、原住民と接触した場合は、交戦をせずに撤退し、報告するようにっ!」
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「では、小隊ごと散開っ!」
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そして、先行した小隊の一つが、森の奥で1人の少女発見した。続いて別の小隊が大きな集落を発見した。
どうやら、先住民がいたようだ。
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