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軍事編

第1話 占領

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世界初のサッカーの試合が行われてからというもの、俺の生活とハーンブルク領は大きく変わった。

まず、俺の姉でありハーンブルク家の次女であるファリアが12歳になったので、王都にある王国学校に通う事となった。そのため、2人の姉とは当分会えない事が決定した。

そして俺も今年で7歳となり、身体も結構大きくなった。とは言えまだ前世で言うところの小学1年生なので、まだまだ子供である事に変わりはない。

俺はこの半年で、ハーンブルク領の科学力向上に全力を注いだ。先日増強されたSHSの中に、科学研究所を新設し、俺はそこで日々研究を行った。

新兵器の開発に成功し、またもやお母様を驚かせたのは、別の話。



次に、サッカーについてである。先日初めて、サッカー選手の年収が公表された。理由はもちろん領民達に夢を見させるためだ。選手達の年俸は全て税金から支払われ、領民達の間で大きな話題となった。

現在のハーンブルクにおける平均年収はおよそ150万マルク(日本で言うところの150万円ほど)である。このようになっている原因は、農家の収入が極端に少ないからで農家を除いた平均年収は200万マルクほどだ。

ちなみに他の貴族の領地ではさらに酷く、平均年収は100万マルクを切っている。



そして、気になる選手達の年俸はというと、平均で2000万マルクとなっている。これは中規模な商会の年商レベルである。

さらに、選手達の中で最高年俸を得ているアンの年俸は約4000万マルク+MVP賞で、有名な商会の年商レベルの収入を得ている。

MVPというのは、毎年シーズン終わりにその年で最も活躍した選手に送られる賞で、最高級の名誉と1000万マルクの賞金が与えられた。



結果として、将来の夢がサッカー選手という子供達がとても増えた。今や、子供達の憧れの的である。

それに応えるように、各商会は少年サッカーチームを作り、領内のあらゆるところでサッカーの練習試合が行われるようになった。

また、サッカーの人気は領内だけでなく王国中に広がりつつあるという。最近では、サッカーボールの売れ行きがさらに伸びた。

そしてもちろん、プロチームへの加入を希望する選手達も増えた。募集をしていないにもかかわらず、500人以上の選手が入団を希望し、シーズンが終わる冬の終わりに入団テストを行う事となった。



集まった約1000名の入団希望者の中から、それぞれのキャプテンが選んだ8名をRSWとFCTに入団させ、選ばれなかった者の中から36名を追加で選び、新たに2つのプロサッカーチームを新設した。



『M・シュヴェリーン』通称・・・MSW

本拠地・・・ハーンブルク領首都シュヴェリーン

チームカラー・・・水色



『B・ミドール』通称・・・BML

本拠地・・・ハーンブルク領工業都市ミドール

チームカラー・・・赤



こちらも、それぞれイギリスとドイツから有名なチームの名前をもらっている。ちなみに、BMLの方はハーンブルク家が運営しているが、MSWの方は複数の大きな商会が共同で運営している。

サッカー管理部と選手達に多額のお金を払う代わりに、MSWの名前やロゴを使った商品を販売する許可をもらうというシステムだ。

お母様の予想では、これでも十分な利益が見込めるとの事だ。



両チームとも、本拠地となるスタジアムはまだ完成していないが、今季からリーグ戦に加わる予定だ。

本来ならば、3番目に人口が多い都市であるリバスタか、5番目に多い城塞都市ドレスデンにサッカーチームを作る予定であったが、どちらも移動に時間がかかり過ぎるのでミドールとシュヴェリーンに作られる事となった。

ちなみに各都市の人口はというと、



首都シュヴェリーン・・・25万人+兵士3千人

湾岸都市テラトスタ・・・10万人強

湾岸都市リバスタ・・・10万人弱

工業都市ミドール・・・5万人

城塞都市ドレスデン・・・3万人+兵士4千



となっている。新たな領地としてリバスタが加わった事や、外国や他領から数万人単位で移民が行われたため、ハーンブルク領の人口は数年前の2倍である60万人を超えていた。

特に、首都があるシュヴェリーンは千客万来、出稼ぎでシュヴェリーンを訪れて、そのまま移り住むというパターンが増えた。

このままいけば、近いうちに王都の人口を抜かすだろう。




✳︎




夕方頃、そろそろ食堂に向かおうと思った俺の下にある報告が届いた。



「なんだとっ!それは本当かっ!」



「はい!間違いございませんっ!上陸はまだしていないので詳しい事は分かっておりませんが、間違いなく島を発見しましたっ!しかも1つではございません、周囲を旋回したところ、同じような島を4つ発見いたしましたっ!」



【マスター、すぐに向かいましょう。肝心のアレが手に入るかもしれません。それに、原住民と交流ができるかもしれません。】



俺は『アイ』の提案に全面的同意し、部下に命令を飛ばす。



「よし、すぐに向かう事にする。シュヴェリーンに極秘で停泊中のと、テラトスタに停泊中の一隻に旅の準備をさせろ。」



「了解っ!」



男は敬礼しながら答えると、走り去っていった。



「レオルド様、行ってしまわれるのですか?」



俺と部下の会話を聞いていたヘレナは、心配そうに俺に尋ねる。

ヘレナがハーンブルク領に滞在し始めてから約半年が経過した。その間に、俺たちはだいぶ仲良くなり、婚約者同士の生活にも慣れ始めた。少しずつ距離を縮めている。



「ごめんなさい、ヘレナ様。今回の計画は、今後のハーンブルク家に関わる重要な事なのでどうしても行かなければならないのです。」



「そうですか・・・お体に気をつけて、無事に帰って来て下さいね。」



「はい、約束します。」



「クレア、旅の支度をした後、イレーナを呼んで来てくれ。」



「かしこまりました。」



7歳となった春の始め、俺たちは早速報告のあった島に向かう事にした。




__________________________



どうでもいい話



第2章もよろしくお願いします!

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