22 / 90
国内編
第22話 side ヘレナ2
しおりを挟む
その日、私はいつもより早く起き、いつもより早く朝ごはんを食べ、いつもより早く部屋を飛び出した。
私は、専属の使用人達を引き連れて、目的地へと急ぐ。
私が支度を整えて、兵舎の前にやって来た時にはすでに出発の準備が出ていた。
「おはようございます、皆さん。」
「「「おはようございます、姫さま。」」」
私がやって来た事に気づくと、みんなは一斉に頭を下げた。
「か、顔を上げて下さい、ジルバート様。私はあなたの娘になるのですから、敬意を示さなくてもいいですよ。」
「いえ、そういうわけにもいかないのでして・・・・・・」
今回の旅の護衛として、国防軍幹部ジルバート・フォン・ハーンブルクとその部下500名が選ばれた。
将来的に私はレオルド様の妻になるわけだから、彼の娘になるという事だ。
私自身は、敬意を払われるような事をしているつもりはないが、一応王族の端くれなので仕方がない。
「ふふふ、わかっていますわ。今日はよろしくお願いします。」
「この命に代えても姫さまをお守りいたします。」
「期待していますね。」
私は、そう言ってから馬車に乗り込んだ。私はまだ馬に乗ることができないので移動は基本的に馬車だ。
そして私は、王都を出発し、王都の西にある港町リバスタへと向かった。
✳︎
レオルド様との婚約が決まってからというもの、私の生活は大きく変わった。
まず、私の下に色々な人が集まるようになった。どこかの貴族や商人、その子供達など数えたらキリがない。
私は、レオルド様がどんな人なのか気になった。一応、手紙を送ったりしたが、私の手紙が彼の手に届くまで早くても1週間ほどかかるのであまり話せない。
そこで私は城内にいる、彼の家族に印象を聞く事にした。
まず最初に聞いたのは、サルラックお兄様の婚約者となったスワンナ様だ。
彼女は、たいてい兵士に混じって訓練をしている事が多いので、すぐに見つけられた。
「レオルドの印象?」
「はい、あまりお話をした事がなかったので、どんな方なのかなと・・・・・・」
「ん~一言で表すなら『天才』かな。」
「天才・・・・・・」
スワンナは、少し遠くを見ながらそんな事を呟いた。
「あいつはとにかく早かった。5歳も年上の俺より早く暗算ができるようになっていたし、魔力の扱いも上だった。はっきり言って悔しかったな、俺は女だし家督を継げないのはわかっていたが、何か一つでもあいつに勝ちたいって思った。」
スワンナは、素振りをしながら吐き捨てるように言った。
「結局、追い抜かれちまったけどな。まあ、俺はあんまり詳しくないからさ、お父様に聞きなよ。親目線だが、いい話が聞けると思うぞ。」
「わかりました、ありがとうございました。」
スワンナ様と別れた私は、次はレオルド様のお父様であるジルバート様の下へとかけつけた。
ジルバート様は、今まではハーンブルク領で暮らしていたが、レオルド様やユリウス様が大きくなったので、数年前に王都に戻って来たお方だ。おそらく王都で1番、レオルド様について詳しい。
「こんにちはヘレナ様、いかがいたしましたか?」
「本日は、レオルド様についてお聞きしたくて来ました。」
「レオルドですか?」
「はい、私はどのような方なのか知らなかったので、気になって・・・・・・」
私がそう尋ねると、ジルバートは少し考えてから答えた。
「そうですな、レオルドはすごいヤツですよ。俺はこの人生でこいつには敵わないと思った人は3人しかいません。その内の1人があいつです。」
「敵わない?」
「何と言ったらいいのでしょうか、あいつを見ていると遥か高みにいるような感覚に包まれるのです。自由で脅威的な発想力とどこまでも用意周到な実行力を持っていて、とても子供と同列に扱っていい人間ではありません。ヘレナ様も、現在ハーンブルク領が急速に発展しているのをご存知ですか?」
「はい、噂には何度か聞きました・・・・・・」
「その最大の原因がレオルドなのです。ハーンブルク領内に抱えていたいくつもの問題を解決して、その圧倒的な才覚の片鱗を見せました。親の私からすると将来が楽しみでなりませんな。」
「そうですか・・・・・・」
私はその後も、色々な人に聞いて回った。ハーンブルク領に最近行った事がある者たちは決まってこう言うのだ。
『ハーンブルク領はすごい』と、人口の方も急激に増加しているのを聞いた。
私は政治の事などよくわからないので何をしたのかは知らないが、多くの人が笑顔になった、とも聞いた。
✳︎
休憩を何度か挟みながら、馬車に揺られること2日間、ついに目的地である港町が見えて来た。
そこで私は、海に浮かぶ奇妙な黒い塊を見つけた。
「あれは何でしょうか・・・・・・船なのでしょうか。ですが船だとしたら大き過ぎます・・・」
私はそれが何なのかわからなかった。
丘を下り、だんだんと港の方に近づくとそれは鮮明になった。
船自体もまだ数回ほどしか見た事がなかったが、おそらく船と呼ばれるものだ。しかし、私の知っている船の数倍ほどの大きさがある。
やがて、私を乗せた馬車はその船の前に止まった。そして、扉が開く。
「長旅お疲れ様でした、ヘレナ様」
すると、ずっと聞きたかった、優しい声が聞こえた。
思わずわたしは乗っていた馬車を飛び出した。
「ご機嫌よう、レオルド様。」
__________________________________________
どうでもいい話
既にお気付きだと思いますが、『テンペスト』は黒船を参考にしています。
私は、専属の使用人達を引き連れて、目的地へと急ぐ。
私が支度を整えて、兵舎の前にやって来た時にはすでに出発の準備が出ていた。
「おはようございます、皆さん。」
「「「おはようございます、姫さま。」」」
私がやって来た事に気づくと、みんなは一斉に頭を下げた。
「か、顔を上げて下さい、ジルバート様。私はあなたの娘になるのですから、敬意を示さなくてもいいですよ。」
「いえ、そういうわけにもいかないのでして・・・・・・」
今回の旅の護衛として、国防軍幹部ジルバート・フォン・ハーンブルクとその部下500名が選ばれた。
将来的に私はレオルド様の妻になるわけだから、彼の娘になるという事だ。
私自身は、敬意を払われるような事をしているつもりはないが、一応王族の端くれなので仕方がない。
「ふふふ、わかっていますわ。今日はよろしくお願いします。」
「この命に代えても姫さまをお守りいたします。」
「期待していますね。」
私は、そう言ってから馬車に乗り込んだ。私はまだ馬に乗ることができないので移動は基本的に馬車だ。
そして私は、王都を出発し、王都の西にある港町リバスタへと向かった。
✳︎
レオルド様との婚約が決まってからというもの、私の生活は大きく変わった。
まず、私の下に色々な人が集まるようになった。どこかの貴族や商人、その子供達など数えたらキリがない。
私は、レオルド様がどんな人なのか気になった。一応、手紙を送ったりしたが、私の手紙が彼の手に届くまで早くても1週間ほどかかるのであまり話せない。
そこで私は城内にいる、彼の家族に印象を聞く事にした。
まず最初に聞いたのは、サルラックお兄様の婚約者となったスワンナ様だ。
彼女は、たいてい兵士に混じって訓練をしている事が多いので、すぐに見つけられた。
「レオルドの印象?」
「はい、あまりお話をした事がなかったので、どんな方なのかなと・・・・・・」
「ん~一言で表すなら『天才』かな。」
「天才・・・・・・」
スワンナは、少し遠くを見ながらそんな事を呟いた。
「あいつはとにかく早かった。5歳も年上の俺より早く暗算ができるようになっていたし、魔力の扱いも上だった。はっきり言って悔しかったな、俺は女だし家督を継げないのはわかっていたが、何か一つでもあいつに勝ちたいって思った。」
スワンナは、素振りをしながら吐き捨てるように言った。
「結局、追い抜かれちまったけどな。まあ、俺はあんまり詳しくないからさ、お父様に聞きなよ。親目線だが、いい話が聞けると思うぞ。」
「わかりました、ありがとうございました。」
スワンナ様と別れた私は、次はレオルド様のお父様であるジルバート様の下へとかけつけた。
ジルバート様は、今まではハーンブルク領で暮らしていたが、レオルド様やユリウス様が大きくなったので、数年前に王都に戻って来たお方だ。おそらく王都で1番、レオルド様について詳しい。
「こんにちはヘレナ様、いかがいたしましたか?」
「本日は、レオルド様についてお聞きしたくて来ました。」
「レオルドですか?」
「はい、私はどのような方なのか知らなかったので、気になって・・・・・・」
私がそう尋ねると、ジルバートは少し考えてから答えた。
「そうですな、レオルドはすごいヤツですよ。俺はこの人生でこいつには敵わないと思った人は3人しかいません。その内の1人があいつです。」
「敵わない?」
「何と言ったらいいのでしょうか、あいつを見ていると遥か高みにいるような感覚に包まれるのです。自由で脅威的な発想力とどこまでも用意周到な実行力を持っていて、とても子供と同列に扱っていい人間ではありません。ヘレナ様も、現在ハーンブルク領が急速に発展しているのをご存知ですか?」
「はい、噂には何度か聞きました・・・・・・」
「その最大の原因がレオルドなのです。ハーンブルク領内に抱えていたいくつもの問題を解決して、その圧倒的な才覚の片鱗を見せました。親の私からすると将来が楽しみでなりませんな。」
「そうですか・・・・・・」
私はその後も、色々な人に聞いて回った。ハーンブルク領に最近行った事がある者たちは決まってこう言うのだ。
『ハーンブルク領はすごい』と、人口の方も急激に増加しているのを聞いた。
私は政治の事などよくわからないので何をしたのかは知らないが、多くの人が笑顔になった、とも聞いた。
✳︎
休憩を何度か挟みながら、馬車に揺られること2日間、ついに目的地である港町が見えて来た。
そこで私は、海に浮かぶ奇妙な黒い塊を見つけた。
「あれは何でしょうか・・・・・・船なのでしょうか。ですが船だとしたら大き過ぎます・・・」
私はそれが何なのかわからなかった。
丘を下り、だんだんと港の方に近づくとそれは鮮明になった。
船自体もまだ数回ほどしか見た事がなかったが、おそらく船と呼ばれるものだ。しかし、私の知っている船の数倍ほどの大きさがある。
やがて、私を乗せた馬車はその船の前に止まった。そして、扉が開く。
「長旅お疲れ様でした、ヘレナ様」
すると、ずっと聞きたかった、優しい声が聞こえた。
思わずわたしは乗っていた馬車を飛び出した。
「ご機嫌よう、レオルド様。」
__________________________________________
どうでもいい話
既にお気付きだと思いますが、『テンペスト』は黒船を参考にしています。
3
お気に入りに追加
942
あなたにおすすめの小説
異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。
ファンタスティック小説家
ファンタジー
科学者・伊介天成(いかい てんせい)はある日、自分の勤める巨大企業『イセカイテック』が、転移装置開発プロジェクトの遅延を世間にたいして隠蔽していたことを知る。モルモットですら実験をしてないのに「有人転移成功!」とうそぶいていたのだ。急進的にすすむ異世界開発事業において、優位性を保つために、『イセカイテック』は計画を無理に進めようとしていた。たとえ、試験段階の転移装置にいきなり人間を乗せようとも──。
実験の無謀さを指摘した伊介天成は『イセカイテック』に邪魔者とみなされ、転移装置の実験という名目でこの世界から追放されてしまう。
無茶すぎる転移をさせられ死を覚悟する伊介天成。だが、次に目が覚めた時──彼は剣と魔法の異世界に転生していた。
辺境貴族アルドレア家の長男アーカムとして生まれかわった伊介天成は、異世界での二度目の人生をゼロからスタートさせる。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
天職が『盗賊』という理由で追放されました。盗みを極めし男はやがて魔王と呼ばれる
こたろう文庫
ファンタジー
王国の勇者召喚により異世界に連れてこられた中学生30人。
その中の1人である石川真央の天職は『盗賊』だった。
盗賊は処刑だという理不尽な王国の法により、真央は追放という名目で凶悪な魔物が棲まう樹海へと転移させられてしまう。
そこで出会った真っ黒なスライム。
真央が使える唯一のスキルである『盗む』を使って盗んだのはまさかの・・・
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる