上 下
150 / 152
第三章 使い方

ハンター試験.1

しおりを挟む
翌日。

紙に書いてあったのは今日の試験内容と、持ち物だった。
基本、手ぶらで来ること。

なので。

『えー、ネコ留守番?』

「留守番。死ぬほどヤバイわけじゃないから怪我の肩代わりも大丈夫」

『ブー!』

ややチート染みているネコをカリアに預けた。
今回は自分の力のみでやってみたいって言うのもあるからだ。

「無理は厳禁よ」

「わかってますよ」

「楽しんで来なさい」

「どんなやつ相手でも怯んだら敗けだから気を付けろよ」

「はーい。行ってきまーす」

ギルドに到着すると試験官らしき人が既にいた。試験官だと分かったのは、その人の被っている被り物に『審』とデカデカ書かれていたからだ。
それにしても試験官の人、目が細すぎて見えているのか心配だ。ちゃんと審査してくれるのか。

「キミ、今なんか失礼なこと考えなかったかね!?」

「いえいえ!考えてません!」

「そうか、そりゃ失礼したね!」

勘が鋭い人らしい。気を付けなければ。

「ワタシが今回の試験の審査をさせていただく試験官のジウです。ライハ様は今回の試験が初めてだとお伺いしましたが間違いございませんか?」

「ありません」

「本来ならギルドの依頼達成数か挑戦で低ランクからの試験ですが、今回は高ランクハンターのカリア様からの推薦ということで、Eランクからの試験となります。それぞれのランクに合わせて対戦相手がおりまして、それを余裕を持って倒せれば合格となります。倒せても満身創痍だったり余裕がない場合は合格になりませんのでお気をつけください。つか、試験でギリギリの戦いだと、実戦ではだいたい死にますのでご理解いただくようお願いします」

試験官の目が一瞬カッと見開かれた。

この人、目を閉じてた方が良いかもしれない。
凄く恐かった。

「獲物は短剣でお間違いありませんか?」

「間違いないです」

「こちらが試験で使う短剣になります」

手渡された短剣はごくごく普通の短剣だった。違うところといえば華宝国とギルドの紋章が入っているところくらいか。

「それでは移動いたします」

到着した所は闘技場だった。
建物のなかに闘技場とは、しかも天井が硝子で出来ているのか空が見えた。

「!」

壁の一部が大きい窓になっていて、そこにはカリア達の姿があった。

試験官がフワリと浮き上がる。

試験官さん、魔法使いだったのか。

「えー、ではこれより狩人試験を始めます!」

最初の試験の相手は鎌猪カマイノシシ五匹であった。
見た目猪なのだが、こいつは目が三つあり、頭は固い鱗に覆われ、しかも前肢がカマキリの鎌のようになっている。蹄が鎌のように大きく鋭くなっているようで、立ち上がりからの鎌の振り下ろしは怖い。あとはすれ違い様の切りつけかな。

まぁ、あれだ。
それ以外の特徴は凄く美味いことくらいだ。

『プギーーーッッ!!』

一匹の鎌猪が突進してくる。

こいつは首回りも胴回りも固い毛と肉に覆われているので短剣の刃が通りにくい。
なので。

「よいしょっと」

すれ違い様に切りつけてこようとする鎌猪を跳び箱の要領で飛び越える。その際、掌にスタンガンマックスにしておく。

『ブカッ!』

ーードサン

そうすると、鎌猪は呆気なく倒れた。
普段コイツらは十~五匹程の群れで行動するからな。一匹一匹に時間を掛けてたら瞬く間に轢かれる。

『キイーーッ!!』

怒った別の鎌猪が突進してきて、もつ一匹が上から切りかかろうと立ち上がった。
短剣を突進してきた猪の真ん中の目に投げ付け、横に大きく飛んで切り付けを回避。別の鎌猪がやって来たのでそれは雷の矢で頭を射抜く。

短剣が真ん中の目に刺さって、あまりの痛みに暴れる鎌猪にも雷の矢を射ち、別の鎌猪の突進を軽く回避。短剣を回収すると、切り付けをしてきた鎌猪の突進を踏みつけて回避している最中、大きくUターンをしていた鎌猪の後ろ脚を狙って短剣を投げる。
そして振り返ってさっき回避した鎌猪に雷の矢を射つ。そして短剣が後ろ脚に刺さり転がって暴れていた最後の鎌猪に向かって雷の矢をつがえ、射った。

はい終了。
これで1週間分の干し肉が手に入ったよやったぜ!

「鎌猪の討伐成功、Eランク合格です。次のランクに挑戦しますか?」

「挑戦します」

「ただいま準備をいたしますので少々お待ちください」

さて、次のやつは何だろう。
楽しみだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。 この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。 これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。

処理中です...