146 / 152
第三章 使い方
久し振りの狩り
しおりを挟む
馬をジャンケンで負け、不貞腐れたキリコに預けて森に入っていく時にネコがこんなことを言い出した。
『ネコも狩りしたい』
最近ずっと移動ばかりで体を動かしたいのかね。
「じゃあ小物探さないとね」
カリアがそう言うと、ネコは首を横に振る。
すると、突然ネコが巨大化し一気に虎サイズに。
『今日はこれでデカイの倒す!』
「オマエの万能さは何なんだよ」
この分だとその内像サイズにでもなりそうだ。
しばらく行くと猪型の魔物がいた。ネコよりも一回り大きい。
雑食性で牙が八本生えていて、二重猪という。主に華宝国、煌和国、ビャッカ諸国、あとマテラの北部によくいる。美味いらしい。
「ネコ、あれ倒す?」
『うん』
頷きながら尻尾の先を小さく振っている。すでにやる気マンマンな模様。
「いってらー」
手を振って見送る。
ネコが姿勢を低くしながら近付いていく。ゆっくりゆっくり、思わずこちらも固唾を飲む。ネコは二重猪のすぐ側まで近付き、次の瞬間。
『ガァアアッ!!』
ネコは低い位置から飛び出し、驚いた二重猪の首に食らい付いた。逃げようと二重猪は暴れようとするが、ネコは両前肢の爪をしっかり立てて逃げられないように固定している。
そして。
『獲ってきたよー!!』
ネコが嬉しそうに二重猪を銜えて持ってきた。余裕だったな。
「じゃあそれはキリコの所に持っていって、次いくよ」
次に見付けたのは魔狼の群れだ。
魔狼は良い。何処にでもいるし一回の狩りで五~六頭は獲れる上に何より全てが素材になる。肉は干さないと食べれないけど、味は悪くない。
今回、カリアとネコは待機し、オレとアウソで狩る。
「じゃあオレ援護するから、陽動よろしく」
「任せろ」
近くの木に登り気配を消していく。
獣時期の記憶が戻ったときに出来ることが一気に増えた。気配を薄くするのはその一つだ。
視線の先には十六頭程の群れ。アウソはそこに近付き、茂みのなかに身を潜めてこちらに合図を送ってきた。
深く息を吐いて集中力を上げ、魔法を発動させる。オレの唯一使える遠方攻撃魔法。雷の矢。
矢をつがえる動作をすると雷で出来た弓と矢が構成される。バチバチと光が弾ぜる矢で狙いを定め、射つ。
ーーチッ!
軽い音と共にオレの手から魔狼の群れの中心に光が走り、まるで雷が落ちたような轟音を響かせた。着弾した近くにいた魔狼二頭が倒れた。
突然の落雷に驚く魔狼達の前にアウソが現れた。雷で気が立っている若い雄魔狼が四頭、アウソ目掛けて襲い掛かってきた。
『ネコも狩りしたい』
最近ずっと移動ばかりで体を動かしたいのかね。
「じゃあ小物探さないとね」
カリアがそう言うと、ネコは首を横に振る。
すると、突然ネコが巨大化し一気に虎サイズに。
『今日はこれでデカイの倒す!』
「オマエの万能さは何なんだよ」
この分だとその内像サイズにでもなりそうだ。
しばらく行くと猪型の魔物がいた。ネコよりも一回り大きい。
雑食性で牙が八本生えていて、二重猪という。主に華宝国、煌和国、ビャッカ諸国、あとマテラの北部によくいる。美味いらしい。
「ネコ、あれ倒す?」
『うん』
頷きながら尻尾の先を小さく振っている。すでにやる気マンマンな模様。
「いってらー」
手を振って見送る。
ネコが姿勢を低くしながら近付いていく。ゆっくりゆっくり、思わずこちらも固唾を飲む。ネコは二重猪のすぐ側まで近付き、次の瞬間。
『ガァアアッ!!』
ネコは低い位置から飛び出し、驚いた二重猪の首に食らい付いた。逃げようと二重猪は暴れようとするが、ネコは両前肢の爪をしっかり立てて逃げられないように固定している。
そして。
『獲ってきたよー!!』
ネコが嬉しそうに二重猪を銜えて持ってきた。余裕だったな。
「じゃあそれはキリコの所に持っていって、次いくよ」
次に見付けたのは魔狼の群れだ。
魔狼は良い。何処にでもいるし一回の狩りで五~六頭は獲れる上に何より全てが素材になる。肉は干さないと食べれないけど、味は悪くない。
今回、カリアとネコは待機し、オレとアウソで狩る。
「じゃあオレ援護するから、陽動よろしく」
「任せろ」
近くの木に登り気配を消していく。
獣時期の記憶が戻ったときに出来ることが一気に増えた。気配を薄くするのはその一つだ。
視線の先には十六頭程の群れ。アウソはそこに近付き、茂みのなかに身を潜めてこちらに合図を送ってきた。
深く息を吐いて集中力を上げ、魔法を発動させる。オレの唯一使える遠方攻撃魔法。雷の矢。
矢をつがえる動作をすると雷で出来た弓と矢が構成される。バチバチと光が弾ぜる矢で狙いを定め、射つ。
ーーチッ!
軽い音と共にオレの手から魔狼の群れの中心に光が走り、まるで雷が落ちたような轟音を響かせた。着弾した近くにいた魔狼二頭が倒れた。
突然の落雷に驚く魔狼達の前にアウソが現れた。雷で気が立っている若い雄魔狼が四頭、アウソ目掛けて襲い掛かってきた。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる
グリゴリ
ファンタジー
『旧タイトル』万能者、Sランクパーティーを追放されて、職業が進化したので、新たな仲間と共に無双する。
『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる』【書籍化決定!!】書籍版とWEB版では設定が少し異なっていますがどちらも楽しめる作品となっています。どうぞ書籍版とWEB版どちらもよろしくお願いします。
2023年7月18日『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる2』発売しました。
主人公のクロードは、勇者パーティー候補のSランクパーティー『銀狼の牙』を器用貧乏な職業の万能者で弱く役に立たないという理由で、追放されてしまう。しかしその後、クロードの職業である万能者が進化して、強くなった。そして、新たな仲間や従魔と無双の旅を始める。クロードと仲間達は、様々な問題や苦難を乗り越えて、英雄へと成り上がって行く。※2021年12月25日HOTランキング1位、2021年12月26日ハイファンタジーランキング1位頂きました。お読み頂き有難う御座います。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる