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第三章 使い方
港街
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目の前に広がるのは鮮やかな赤瓦の屋根に煉瓦造りの建物が立ち並び、街のあちらこちらからカラカラと木琴に似た音が聞こえてくる。
その先には青い海が広がり、海にはたくさんの帆が浮かんでいた。
馬を引きながら街の中を歩きながら観察すると、マテラとはまた違った賑やかさだった。マテラは活気が溢れてあちらこちらから人の声が絶えず聞こえる感じだったのに、ここでは実に穏やかで、時間がゆっくりと進んでいく中で人々が楽しそうに笑いながら歩いている。
服装は日本の着物とはまた違うが、それに似ていて、腰帯や腕に鮮やかな布を巻いている。ウルマの服装に似ていた。
中にはアウソの様に上着を黒地のタートルネックの様な服装に肩から布を前後に垂らして腰布で纏めている者もいる。
「!」
カラカラとした音が聞こえて見上げると、家と家を繋ぐ紐から竹でできた風鈴の様な物が見える。それが風が服度に揺らされて音が鳴っていた。
「護音風鈴。一種の厄払いの道具さ」
詳しく訊くと、あの竹風鈴の鳴らす音と風の音が合わさると、風龍の言葉で『守護』の意味になるらしい。その音を聴いた龍が降りてきて面白がって音を鳴らしたり、ついでに守ってくれるのだそうだ。
緩やかな下り坂を下りていくと、次第に酒屋と宿屋が目立つようになり、道行く人の格好も変わってくる。
中国系の着物が多数だが、日本風の着物を着た人もちらほらいた。
「じゃあ、手続きしてきます」
「宿はコッチに任せるよ!」
今回、船の手続きはオレとアウソで行うことになった。練習とはいえ緊張するな。馬も乗せるってちゃんと忘れないように言わないと。
馬が連れていかれたので小さな猫に形を変えてフードの中に収まっているネコが起き出して、オレの肩に頭をのせた。
『ねぇねぇ、フネってさ、でかいの?』
「さぁ?オレも帆船見るの初めてだし」
「でかいぞ!竜姿のグレイダンよりもでかい!」
それにアウソが興奮気味に答えてくれた。
『おおー!!』
それにネコが目を輝きだした。
「楽しみだな!」
「手続き終わったら見に行こうぜ!多分今港に出航してないのいるはずだからな!」
その先には青い海が広がり、海にはたくさんの帆が浮かんでいた。
馬を引きながら街の中を歩きながら観察すると、マテラとはまた違った賑やかさだった。マテラは活気が溢れてあちらこちらから人の声が絶えず聞こえる感じだったのに、ここでは実に穏やかで、時間がゆっくりと進んでいく中で人々が楽しそうに笑いながら歩いている。
服装は日本の着物とはまた違うが、それに似ていて、腰帯や腕に鮮やかな布を巻いている。ウルマの服装に似ていた。
中にはアウソの様に上着を黒地のタートルネックの様な服装に肩から布を前後に垂らして腰布で纏めている者もいる。
「!」
カラカラとした音が聞こえて見上げると、家と家を繋ぐ紐から竹でできた風鈴の様な物が見える。それが風が服度に揺らされて音が鳴っていた。
「護音風鈴。一種の厄払いの道具さ」
詳しく訊くと、あの竹風鈴の鳴らす音と風の音が合わさると、風龍の言葉で『守護』の意味になるらしい。その音を聴いた龍が降りてきて面白がって音を鳴らしたり、ついでに守ってくれるのだそうだ。
緩やかな下り坂を下りていくと、次第に酒屋と宿屋が目立つようになり、道行く人の格好も変わってくる。
中国系の着物が多数だが、日本風の着物を着た人もちらほらいた。
「じゃあ、手続きしてきます」
「宿はコッチに任せるよ!」
今回、船の手続きはオレとアウソで行うことになった。練習とはいえ緊張するな。馬も乗せるってちゃんと忘れないように言わないと。
馬が連れていかれたので小さな猫に形を変えてフードの中に収まっているネコが起き出して、オレの肩に頭をのせた。
『ねぇねぇ、フネってさ、でかいの?』
「さぁ?オレも帆船見るの初めてだし」
「でかいぞ!竜姿のグレイダンよりもでかい!」
それにアウソが興奮気味に答えてくれた。
『おおー!!』
それにネコが目を輝きだした。
「楽しみだな!」
「手続き終わったら見に行こうぜ!多分今港に出航してないのいるはずだからな!」
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