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第三章 使い方
目的が増えた
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原因は分からないが、今後の参考のためにいつ頃に症状に気付いたのか、どういう順に出たのか。黒斑はいつ頃出たのかと質問を重ねていくと、半年くらいに体に黒いアザを見付けて、そこから体調が悪化していったらしい。
もっともその前から何だか調子が良くないなとずっと思ってたので、正確な時期は分からなかった。
「これからどうするの?」
カリアが訊ねる。
それにグレイダンは「うーん」と少し考えた。
「まだ飛べるだけの体力が戻ってないからな。しばらくは此処に留まり獣人達と交流を持ちたいと思う!!それに…」
グレイダンがすまなさそうに長を見た。
「苦しかったとはいえ、森や村を焼き、遺跡を焦がしてしまったからな!出来ることならば復旧作業を手伝いたい!火も風も好きなだけ起こそう!!」
「それは助かる。あなたみたいな力持ちがいてくれたら、復旧作業が捗(はかど)りそうです」
「うむ!よろしく頼む!!寝床はあの木の根元で良い!!」
「それは流石に良くないので、村の空き家を使ってください」
そうしてグレイダンはジュノにしばらく留まることになった。
その後、オレ達は昨日できなかったお祝いをするために獣人(ガラージャ)達と共に森へ出掛け、果実や肉、水、魚を取りに行った。
ネコ?ネコは気持ちが悪いと駄々をこねたので置いてきた。たまには良いだろう。
ジュノはど真ん中に樹があるためにそこそこの広さしかない。それでも一年中果実が採れ、水が豊富で魚も鳥も必ず獲れるのは楽園のような国だった。
「ライハ、ヒトなのに森の移動上手い。私達の様」
獣人達と鳥を獲るために森を獣人達と同じ速度で移動していたらトルテに褒められた。山式シャトルランと獣の時の記憶で体をどう動かした方が早く進めるかを研究している最中だったので嬉しかった。
皆オレより早いし上手いからな。
獣人の動きを真似したらもっと早くなるかもしれない。
鳥を獲るために木を登る。
その頃になるともうオレをヒト扱いではなく獣人と同じ扱いをされ始め、木とかも蔦がある所を登っていく。
気分はターザン。
そうして木の上の方まで行くと、空を見上げる。上を通る鳥を射ち落として鳥をたくさん手に入れると住み処に戻った。
木の上での宴会はとても楽しかった。こういうめでたい日用に住み処の木々の幹の部分に布を複数張ってテントのようにして、夕方の雨の中でも家に戻らずに騒ぎ続けた。
途中長が獣人特性のお酒とか出してきてカリアのテンションが最高潮に上がったり、何故かターザンの様に幹滑りしてみたくてやったら案の定落下したりしたけどとても楽しかった。
その次の日。
オレ達は次の地へ向かう為に出発する。
「色々世話になりました」
「こちらこそ。大した被害も出ず、竜も無事でとても良かった」
「これから先、何か困ったことがあったら言ってくれ!!できる限りの手助けをする!!」
長、カリア、グレイダンの三人が挨拶を交わす隣でオレは獣人の子供達に揉みくちゃにされていた。
物凄い勢いで喋られているがネコが恐がって遠くにいってしまったので詳しいことは分からないが、アウソ曰く「物語のおに~ちゃんもう行っちゃうの!?もっと話して欲しかった!」らしい。前日のおとぎ話がそんなに面白かったのかそうなのか。
「アウソごめん翻訳して!!」
「はい」
「また来た時にもっと面白い話を仕入れて話しに来るから。約束!って」
「わかった」
アウソが翻訳してくれてようやく子供達が離れてくれた。
口々にシラと言っているから、多分約束って意味なんだろう。
「シラ」
なのでオレもそう言うと皆頷いてくれた。
さて、此処にまた来るときまでに獣人語を習得しておかないとな。
「では、トルテ。案内を」
「ん!わかった」
食べ物をたくさんもらって、お世話になった獣人(ガラージャ)達に挨拶をしてオレ達は世界樹を背に歩き出した。
森の中に現れた赤い門が、ジュノの国が終わることを示していた。
「たくさん助けて貰った。感謝する。また何かあったり、助けが欲しいとき、遠慮なく言う。喜んで我々、助け行く」
トルテが寂しそうに言った。
「ありがとう、お元気で」
「また来るわ!」
「お土産ありがとう!」
「楽しい話をしに来ます!」
『肉たべにきます』
子供達と約束したからな。
凄い話を仕入れないと。
旅の目的が増えたなと嬉しく思いながら、オレ達はトルテに手を振り門を潜った。
もっともその前から何だか調子が良くないなとずっと思ってたので、正確な時期は分からなかった。
「これからどうするの?」
カリアが訊ねる。
それにグレイダンは「うーん」と少し考えた。
「まだ飛べるだけの体力が戻ってないからな。しばらくは此処に留まり獣人達と交流を持ちたいと思う!!それに…」
グレイダンがすまなさそうに長を見た。
「苦しかったとはいえ、森や村を焼き、遺跡を焦がしてしまったからな!出来ることならば復旧作業を手伝いたい!火も風も好きなだけ起こそう!!」
「それは助かる。あなたみたいな力持ちがいてくれたら、復旧作業が捗(はかど)りそうです」
「うむ!よろしく頼む!!寝床はあの木の根元で良い!!」
「それは流石に良くないので、村の空き家を使ってください」
そうしてグレイダンはジュノにしばらく留まることになった。
その後、オレ達は昨日できなかったお祝いをするために獣人(ガラージャ)達と共に森へ出掛け、果実や肉、水、魚を取りに行った。
ネコ?ネコは気持ちが悪いと駄々をこねたので置いてきた。たまには良いだろう。
ジュノはど真ん中に樹があるためにそこそこの広さしかない。それでも一年中果実が採れ、水が豊富で魚も鳥も必ず獲れるのは楽園のような国だった。
「ライハ、ヒトなのに森の移動上手い。私達の様」
獣人達と鳥を獲るために森を獣人達と同じ速度で移動していたらトルテに褒められた。山式シャトルランと獣の時の記憶で体をどう動かした方が早く進めるかを研究している最中だったので嬉しかった。
皆オレより早いし上手いからな。
獣人の動きを真似したらもっと早くなるかもしれない。
鳥を獲るために木を登る。
その頃になるともうオレをヒト扱いではなく獣人と同じ扱いをされ始め、木とかも蔦がある所を登っていく。
気分はターザン。
そうして木の上の方まで行くと、空を見上げる。上を通る鳥を射ち落として鳥をたくさん手に入れると住み処に戻った。
木の上での宴会はとても楽しかった。こういうめでたい日用に住み処の木々の幹の部分に布を複数張ってテントのようにして、夕方の雨の中でも家に戻らずに騒ぎ続けた。
途中長が獣人特性のお酒とか出してきてカリアのテンションが最高潮に上がったり、何故かターザンの様に幹滑りしてみたくてやったら案の定落下したりしたけどとても楽しかった。
その次の日。
オレ達は次の地へ向かう為に出発する。
「色々世話になりました」
「こちらこそ。大した被害も出ず、竜も無事でとても良かった」
「これから先、何か困ったことがあったら言ってくれ!!できる限りの手助けをする!!」
長、カリア、グレイダンの三人が挨拶を交わす隣でオレは獣人の子供達に揉みくちゃにされていた。
物凄い勢いで喋られているがネコが恐がって遠くにいってしまったので詳しいことは分からないが、アウソ曰く「物語のおに~ちゃんもう行っちゃうの!?もっと話して欲しかった!」らしい。前日のおとぎ話がそんなに面白かったのかそうなのか。
「アウソごめん翻訳して!!」
「はい」
「また来た時にもっと面白い話を仕入れて話しに来るから。約束!って」
「わかった」
アウソが翻訳してくれてようやく子供達が離れてくれた。
口々にシラと言っているから、多分約束って意味なんだろう。
「シラ」
なのでオレもそう言うと皆頷いてくれた。
さて、此処にまた来るときまでに獣人語を習得しておかないとな。
「では、トルテ。案内を」
「ん!わかった」
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トルテが寂しそうに言った。
「ありがとう、お元気で」
「また来るわ!」
「お土産ありがとう!」
「楽しい話をしに来ます!」
『肉たべにきます』
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旅の目的が増えたなと嬉しく思いながら、オレ達はトルテに手を振り門を潜った。
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