INTEGRATE!~召喚されたら呪われてた件~

古嶺こいし

文字の大きさ
上 下
131 / 152
第三章 使い方

ドラゴン戦

しおりを挟む
竜は目測(丸まった状態)では体長約10mだが、こちらに気付いた竜が立ち上がることによりその大きさは2倍以上になった。首から尾までが約25m、首までの高さ、約3m、体高約2.5m、それに巨大な翼を広げられたことにより威圧感が半端ない。

竜は尻尾側にいるこちらを睨み付け、いくつもの弦楽器を乱暴に弾き鳴らしたような鳴き声を上げた。そして、首筋がぐぐっと太くなり、喉元から細かくカカカカという音が鳴り始めた。

竜が火焔魔法を使うときの予備動作だ。

「来るよ、散れ!!」

カリアの合図で皆竜の斜め前方向へと駆け出す。

四方に散らばるオレ達に視線を滑らせ、初めに狙われたのは竜の顔側に走り出したカリアだった。

一際大きくカンッと音が鳴ると同時に竜が大きく口を開く。その口から炎の塊がカリアに向かって放たれた。

カリアはそれをスルリと回避して、竜に向かって挑発的な笑みを浮かべた。カリアは竜の攻撃を全てこちらに引き付けようとしている。

竜はとても機嫌が悪く、すぐに魔法を使ってきたからもしかしたら話し合いは出来ないかもしれない。その為作戦を変え、一旦竜の動きを止める事にする。

また竜がカリアに向かって3発巨大な火の玉を放つが、カリアはそれも簡単に避けて見せた。

オレ達はその間に竜の背後に回り込み、どこか一ヶ所にオレが触れて電気で痺れさせる、もしくはキリコが竜に辿り着いて話し掛けて説得できれば成功だ。

しかし竜も馬鹿ではない。

突然竜が回転し、長い尾がしなりながら迫ってくる。それも地面スレスレで。これでは跳んでも伏せても轢かれる。

思わず血の気が下がったとき、アウソが今まで練習棒のみで使う機会がなかった槍(本当の愛武器)を取り出し、叫んだ。

「伏せろ!!」

言われた通りに伏せると、アウソは深く身を低くし、槍を尾に対して斜めに構えた。

「ハアッ!!」

そして気合いを入れると迫り来る尾に向かってアウソは槍を下から円を描くように大きく振った。

ーーガンッ!!

槍と尾がぶつかり、金属同士がぶつかったのような鈍い音を立てると、アウソは再び気合いの声を発し、下から体全体で跳ね上げるようにして尾の軌道を上向きに矯正的に変更させた。

伏せたオレとキリコの頭上を竜の尾が低い風切り音を纏いながら通過する。

「ゼハァーッ!!ゼハァーッ!!」

アウソが槍を地面に立て、座り込んだまま酷い息切れを起こしている。

「大丈夫か!?」

アウソが顔を上げずに無理無理と無言で手を振った。

先程の受け流しで全体力を使ったらしい。まぁ、勢いを付けた竜の尾をよく受け流せたと思うよ。そんなわけで体力が回復するまでアウソは一時離脱。

「今のうちだ!!突っ込むわよ!!」

「はい!!」

アウソ、君の犠牲は忘れない!!








ライハ達とは反対側にいるカリアはアウソの勇姿に口笛を吹いた。

「弟子がこんなに頑張ってるなら、師匠も頑張らんとね!」

少し高い位置になった尾が迫ってくる。
カリアは思い切り、地面に足を突き刺す勢いで踏み込むと、その尾をガッシリと腕全体で掴まえた。体全体に衝撃が走るが、巨人の血が流れているカリアは普通の人間よりも力が強い。おまけにアウソが行った矯正軌道変更によって勢いが衰えていたこともあってカリアは吹っ飛ばされることなく、踏み留まる事ができた。

尾が止められた事に竜は驚き、意識がカリアへと向かう。

そのすぐ近くまで来ていたライハとキリコの気配を見逃すほどには竜は衝撃を受けていた。











「ライハ!本当に良いのね!!」

「大丈夫です!!任せてください!!」

オレは身体能力を上昇させ、キリコを追い抜く。そして意識がカリアに向き動きが悪くなっている竜の首の真下まで来ると、クルリと向きを変え、キリコと対峙する。

そして手を組んで下に垂らし、オレは衝撃に備えられるように膝を曲げて体制を低くした。

「行くよ!!」

「はい!! いち!に!さんっっ!!」

いち、でキリコがこちらに跳び、に、でオレの組んだ手に足を乗せ、さん、でキリコを持てる力で竜の首へと投げ飛ばした。

キリコの跳び上がる力が強くて肩が抜けそうになった。良かった、山式シャトルランで肩も鍛えてて。

キリコは見事竜の首の高さまで跳び上がった。そしてそのまま跳び移ろうとしたとき、竜がキリコに気付いた。

大きく口を開けようとした竜の上顎を踏みつけ、宙返りをしつつ方向を変えたキリコは竜の角をガッシリと掴むと大きく息を吸った。


聞け!!ロゴセドラ!!誇り高きオラィヨジン火の竜よ!!ビゾン!!


ビリビリとキリコの声で空気が振動する。


私たちはケフラガお前をラブセラ助けにサツー来たゾンんだ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

人見知り転生させられて魔法薬作りはじめました…

雪見だいふく
ファンタジー
 私は大学からの帰り道に突然意識を失ってしまったらしい。  目覚めると 「異世界に行って楽しんできて!」と言われ訳も分からないまま強制的に転生させられる。 ちょっと待って下さい。私重度の人見知りですよ?あだ名失神姫だったんですよ??そんな奴には無理です!!     しかし神様は人でなし…もう戻れないそうです…私これからどうなるんでしょう?  頑張って生きていこうと思ったのに…色んなことに巻き込まれるんですが…新手の呪いかなにかですか?   これは3歩進んで4歩下がりたい主人公が騒動に巻き込まれ、時には自ら首を突っ込んでいく3歩進んで2歩下がる物語。 ♪♪   注意!最初は主人公に対して憤りを感じられるかもしれませんが、主人公がそうなってしまっている理由も、投稿で明らかになっていきますので、是非ご覧下さいませ。 ♪♪ 小説初投稿です。 この小説を見つけて下さり、本当にありがとうございます。 至らないところだらけですが、楽しんで頂けると嬉しいです。 完結目指して頑張って参ります

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...