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第三章 使い方

猫耳少女

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岩の裂け目のような道の先に入口と同じような門があった。その下でこっちを見ている人がいる。少女だった。見た目10才前後のボブカットの少女で、頭からは先端が丸みを帯びた猫の耳。頬やや首裏、腕や脚には獣毛が生え、猫にしては太めの尻尾がある。模様はベンガルに近い気もする。

頬に生えた猫のヒゲが動き、寄りかかっていた柱から身を離した。

随分獣と人が綺麗に混じった獣人ガラージャだ。

「アウソ、行け」

「へい」

カリアに背中を押されて前に出る。
アウソは少し深呼吸すると「ノー」と言いながら右手の甲を差し出した。

少女はそれを手に取り顔を近付け、ついでアウソに向かって「ハイタイ」と言いながら右手の甲を差し出した。

ルキオ語の女言葉の挨拶だ。

「ようこそジュノに。わたしはトルテ。あなた達を案内します。わたし、話すの上手くない。でも、よろしく。ジュノの言葉話せる、誰?」

つたない共通語で話してくれたトルテという少女はオレ達を見回した。

「フ。フミィエ ティ ノーヒシュヒ、レ クティ。ダツァ、ビャケ キャ ギャ ビャニォ エヘ リア アディ ラレ レ ツ レシュグ ヅォニェ」

「ホミョ。感謝します」

すげぇー、何言ってるのか全然分からない。ガラエーの少女並みに分からない。

「こちらです」

少女、トルテが森の中に入っていく。オレ達はその後を付いていった。
獣道を進みながらネコがこんなことを言い出した。

『通訳しよーか?』

「分かるん?」

『なんか知らんけどわかる』

同じ猫同士、通じるものがあるのか。いや、待てよ、そういやこいつは灰馬の言葉も理解してたよな。じゃあもしかして動物の間で通じるものがあるのかもしれない。

「何て言ってた?」

『えっとな、アウソの方は簡単のなら分かるから少しだったら意見交換出来るって。女の子は感謝するって』

「だいぶ話し削っているだろう」

じゃなかったらどんだけ短い言葉を長く言っているんだ。

後でちゃんとアウソに聞いておかないと。












木の幹なのか枝なのか、それとも根っこなのか分からないがとても歩きにくい。地面が全体的にデコボコしていて、土が少ない。踏むところがフカフカの苔ばかりだ。

「ルキョーン?」
「ルキョン?ニュヅォニェ。シャジュゴロ ホウキ」
「ウニュネ」

あちらこちらから声が聞こえる。
でも姿が見えない。

「みんな、珍しい思ってる。あまりヒト来ないから」

「一部の人は交流があるっていうのは?」

おさと、上の位のガラージャが、会ってる。下の子達、あまり無い」

話す出来るないし、とトルテは締め括る。
確かに会話できないと交流は難しいわな。

「住み処、もうすぐ」

しばらく進んでいくと、トルテは止まった。

着いたのかと思って辺りを見回すが、何もない。

「住み処、上。登る」

トルテが上を指すと、木の上にたくさんの家が建っていた。
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