INTEGRATE!~召喚されたら呪われてた件~

古嶺こいし

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第二章 動き出す

体はずっと頑張ってたらしい

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目が覚める。
慌てて起き上がると全身に痛みと痺れが襲い掛かり悶え苦しんだ。

「いたたたたた!!?」

全身に正座をしたあとのあの痺れが襲っているのだ。すぐさまベッドへ倒れ込むがまだまだ痺れが残っている。

意味がわからない。

おかしいな、オレは普通に魔法を発動させたつもりだったのだが、覚えているのは一瞬で視界が白に染まったのと体を爆発させられたような衝撃と、あとは三途の川らしきものが見えたような気がした。一瞬だったけど。

まあそれだけでもオレが何かやらかしたんだということは手に取るように分かるが。

天井を見ながら体の痺れが去るのを待っていると、ドアがばたんと開いて、あちこち火傷を治療したらしい痕跡を残したザラキがネコを抱えてやって来た。

そして目が合う。

『ライハー!』

「起きたか。てか、お前は限度と言うものを知らんのか」

どういうことですか?












「ほぁー、そんなことが…」

ザラキの話を聞くに、昨日の夜オレはテンション高く魔法を発動させた。しかし、オレはそこで忘れていたのだ。外に出す魔法が出来ないだけであって、魔力の総量自体は決して少ないわけでは無かったのを。

「いつもならあの力の入れぐらいでどのくらいの威力だった?」

「さわった相手が痛くて悲鳴をあげるくらいの静電気レベルです」

「………そうか、お前いっつも魔法発動を全力で頑張ってたのか…」

「なんでザラキさん泣いてるんですか」

それが人並みに外に出せるようになりネコの負担分が魔法生成に回り、なおかつ純粋の魔力を吸収することによって魔法の威力が増加。

そして、これは知らなかったことだが、長期間魔力欠乏で過労死ラインギリギリで頑張り続けた結果、体が何とかせねばとそれに適応。通常よりも魔力を濃く溜めようと体が変化。悪魔融合によりコントロール能力向上で少ない量で威力を上げる様になり、極めつけは魔力だけでは死んでしまうと思ったのか体が氣を大量生成してそれだけで生きられるようになった。
そして魔力を全て魔法の為に使うことが出来るようになっていたので今回のような大事故が発生した。

庭を見たらオレが立っていたところ中心にミステリーサークルできてますよ笑えますね。

「結界が間に合って良かったけど、危うく大規模無理心中に巻き込まれるところだった」

「自爆テロみたいな言い方止めてください、不本意です」

『ネコさ、ビックリしすぎて意識飛んだんだけど』

「それは謝る。ごめん」

『許す』

ちなみにザラキは至近距離にいたせいで巻き込まれたとのこと。体が頑丈で助かったと溢していた。






山式シャトルランでコツを掴んだ為ザラキ並みにスイスイ登り、前を見ると昨日言っていた山でやりたい実験を止めようかどうしようかみたいな顔をザラキがしている。

オレ的には(流石に昨日の暴発は反省しているが)強くなるのは嬉しいし、もっと強くなれるのならなりたいと考えている。いつも弱くて足を引っ張っていたからな。

強くなればどうしようもなくて諦めていた事も減るだろうし、心配を掛けることも減ると思う。

この世界で生きるためにはやはりある程度の強さがどうしても必要になってくる。オレはここの世界の出身じゃないからコネはほとんどない。生きる術は今のところ狩人ハンターのみで、狩人で生きる為にも、強くなければ死んでしまう。

あとは、そうだな。

出来るだけ長く生きて、この世界を知りたくなったというのが本音な気がする。
あちらでは出来なかっただろう経験をして本気で楽しむ。せっかくの人生、異世界に来たからには本気で生きようと思っている。

だから、努力は惜しまないつもりだ。

「ザラキさん。オレ頑張りますよ」

「……」

オレを振り返り、ザラキがフッと笑って前を向いた。

なんでオレ笑われたの。





「さて、実験を行う。ぶっちゃけ昨日みたいな事にならないように俺は初めから結界の準備をしているから安心しておけ。万が一なんかあっても何とかしよう!」

「おー!頼もしい!!」

『あーにきー!』

「なので、協力しろ。いいか?とりあえず本気でやるなよ?分かったか?」

「へい」

感覚が全然掴めてないし加減のしかたも分からないけど頑張ります。

「さて、今回はいよいよ待ちに待った俺の技を教えようと思う。本当は昨日の件も踏まえて魔法の制御修行に切り替えようとも思ったが、それは別に後日でも出来るからな。さあ、ライハ、この山頂で純粋の魔力を集めろ」

「呼べるだけ?」

「昨日みたいにヤバそうなら止めるから出来るだけ呼んでみろ」

「うっす!」

ピントを合わせて集中力を上げて粒子に命令する。
すると何にもなかった空間からポツリポツリと粒子が現れてきたではありませんか。何故なにもない所から現れるのか、疑問に思い観察すると、粒子はなにもない所から現れたのではなく、目で追えないほどのスピードで上昇していたものが命令によって軌道を変えて集まってきただけなのだと判明した。

そこで初日のザラキの言葉を思い出す。

山頂には目に見えるほどの魔力はない。
だがそれは間違いだ。魔力はあるのだ。しかし、それは目に見えないほどのスピードで空へと飛んでいっているので目で見えないし、実質頑張って呼ばないと集まってこないので無いものと同じだ。

「…留めるの辛い」

「そりゃ流れから離脱させてるんだから大変なのは当たり前だ。頑張れ」

激流に手を突っ込んで流れてくる物を必死に掴んで止めておく感じに似ていた。油断するとあっという間に粒子は流に乗って消えてしまう。

それをザラキはなんでもない顔でやっているのか。恐ろしいなこの人。

「よし、それらを氣を使って巻き込んでいけ」
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