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第二章 動き出す
鳥狩り
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山を降りている途中、オレはふとザラキの言葉を思い出した。
(あれ、そういえば狩の準備とか言ってなかった?まじで?これから狩りに行くの!?)
思い出すのはアウソ入院中時のカリアとの狩り修行。
ビッグサイズのマヌムンを見付けては問答無用でゴーサインを出されて戦って倒し、またはマヌムン同士の縄張り争いの中に放り込まれ、またある時は鬼ごっこ修行で食べるものがなくて、草食獣を狙う肉食獣を襲って倒して食べた。
「………、ろくな思いでねーな」
まぁ、そのおかげで足腰強くなったしお腹も強くなり、更に言えば獣になっていた時の野生の勘が少し戻った。勘といっても些細なもので、この方向にはヤバイのがいる、または、どんな獲物がいそう、みたいなのがボヤッと分かる程度である。
そういえば、前々から思ってたんだけど、アウソも強いんだよな。足はオレより遅いけど、何より体力も、力もあるし、その時の状況や攻撃に応じての判断力が早い。
「…頑張ろ」
どういう形式で狩るのかは分からないけど、まともなものでありますように。
山を降りると何故か灰馬が勝手に裏の小屋から出て走り回ってた。脱走したのか。それとも出されたのか。
しばらく見て、灰馬は遠くに行くでもなく庭をグルグル走り回ってただけなので放置することにした。楽しそうだし、邪魔しちゃ可哀想だ。
家に入るとザラキが弓矢を渡してきた。
「弓は出来るか??」
「一応は、上手くはありませんが」
ほぼボウガンだったけど。
弓も一応ホールデンの兵士訓練で習った。懐かしいな、兵士の皆は元気だろうか。
「はい、じゃそれもって屋根に登るぞ」
家の屋根をザラキの後について登る。
不思議なことに山の崖よりも登りやすく思った。指を引っ掛ける所が多いからか。
『あー、いいきもちー』
そして一足先に屋根に到着したネコが風に吹かれて気持ち良さそうに目を細めていた。屋根登りは十八番だもんな。
それにしても弓矢を持って屋根に登るなんて何するんだ?
「お、いるいる」
ザラキが上空を見上げてそんなことを言った。釣られて見るとはるか上空を鳥が飛んでいる。それもたくさん。
「大きいですね」
「これからアレを猟る」
「マジですかー」
そんな気はしてたけど、本当にできるのか?
なんせ上を飛ぶ鳥は複雑な風を利用するプロフェッショナルだぞ。
それに矢は風に流されやすい。
当たらない確率の方が高い気がする。
「まずは見本を見せよう。あの鳥達はこの時間帯になると山の上空で旋回して風の向きが変わるのを待っている奴らだ。飛んでる鳥は、他の鳥以外には警戒心が薄いから、当たりさえすれば楽な獲物だ。当たりさえすれば、だけどな」
オレから手渡された弓に矢をつがえる。
そして上に向けると、弓引き、簡単に射った。
カンッと軽い音を立てて飛んでいった矢は風によって微妙に角度を変えながら上昇し、見事鳥に命中。鳥は森のなかに落下していった。
なんで当たる。
「と、うまく風を読みながらやると比較的簡単に狩りをすることができる。…もう一羽落としとくか…」
もう一度弓を引いて、射る。鳥は落ちる。
なにこの流れ作業。
「はい」
そしてバトンタッチされた。
「頑張って日が暮れる前に一羽は仕留めること。普通の修行じゃ楽しくなくなるからな。これも一応修行な、風を読む修行だ」
ザラキが屋根から飛び降り、鳥が落ちた森へと歩いていく。
「そうだ、助言なんだが、昨日やった純粋の魔力を見るつもりで風を観察するといい。じゃ、頑張れー」
手を振りザラキは森の中へ消えていった。
色無しの魔力を見るつもりで、か。
「よーし、やってみるか!」
(あれ、そういえば狩の準備とか言ってなかった?まじで?これから狩りに行くの!?)
思い出すのはアウソ入院中時のカリアとの狩り修行。
ビッグサイズのマヌムンを見付けては問答無用でゴーサインを出されて戦って倒し、またはマヌムン同士の縄張り争いの中に放り込まれ、またある時は鬼ごっこ修行で食べるものがなくて、草食獣を狙う肉食獣を襲って倒して食べた。
「………、ろくな思いでねーな」
まぁ、そのおかげで足腰強くなったしお腹も強くなり、更に言えば獣になっていた時の野生の勘が少し戻った。勘といっても些細なもので、この方向にはヤバイのがいる、または、どんな獲物がいそう、みたいなのがボヤッと分かる程度である。
そういえば、前々から思ってたんだけど、アウソも強いんだよな。足はオレより遅いけど、何より体力も、力もあるし、その時の状況や攻撃に応じての判断力が早い。
「…頑張ろ」
どういう形式で狩るのかは分からないけど、まともなものでありますように。
山を降りると何故か灰馬が勝手に裏の小屋から出て走り回ってた。脱走したのか。それとも出されたのか。
しばらく見て、灰馬は遠くに行くでもなく庭をグルグル走り回ってただけなので放置することにした。楽しそうだし、邪魔しちゃ可哀想だ。
家に入るとザラキが弓矢を渡してきた。
「弓は出来るか??」
「一応は、上手くはありませんが」
ほぼボウガンだったけど。
弓も一応ホールデンの兵士訓練で習った。懐かしいな、兵士の皆は元気だろうか。
「はい、じゃそれもって屋根に登るぞ」
家の屋根をザラキの後について登る。
不思議なことに山の崖よりも登りやすく思った。指を引っ掛ける所が多いからか。
『あー、いいきもちー』
そして一足先に屋根に到着したネコが風に吹かれて気持ち良さそうに目を細めていた。屋根登りは十八番だもんな。
それにしても弓矢を持って屋根に登るなんて何するんだ?
「お、いるいる」
ザラキが上空を見上げてそんなことを言った。釣られて見るとはるか上空を鳥が飛んでいる。それもたくさん。
「大きいですね」
「これからアレを猟る」
「マジですかー」
そんな気はしてたけど、本当にできるのか?
なんせ上を飛ぶ鳥は複雑な風を利用するプロフェッショナルだぞ。
それに矢は風に流されやすい。
当たらない確率の方が高い気がする。
「まずは見本を見せよう。あの鳥達はこの時間帯になると山の上空で旋回して風の向きが変わるのを待っている奴らだ。飛んでる鳥は、他の鳥以外には警戒心が薄いから、当たりさえすれば楽な獲物だ。当たりさえすれば、だけどな」
オレから手渡された弓に矢をつがえる。
そして上に向けると、弓引き、簡単に射った。
カンッと軽い音を立てて飛んでいった矢は風によって微妙に角度を変えながら上昇し、見事鳥に命中。鳥は森のなかに落下していった。
なんで当たる。
「と、うまく風を読みながらやると比較的簡単に狩りをすることができる。…もう一羽落としとくか…」
もう一度弓を引いて、射る。鳥は落ちる。
なにこの流れ作業。
「はい」
そしてバトンタッチされた。
「頑張って日が暮れる前に一羽は仕留めること。普通の修行じゃ楽しくなくなるからな。これも一応修行な、風を読む修行だ」
ザラキが屋根から飛び降り、鳥が落ちた森へと歩いていく。
「そうだ、助言なんだが、昨日やった純粋の魔力を見るつもりで風を観察するといい。じゃ、頑張れー」
手を振りザラキは森の中へ消えていった。
色無しの魔力を見るつもりで、か。
「よーし、やってみるか!」
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