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その24 村ができてました
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村ができていた。
使いどころのないひたすら草原が広がる、日向ぼっこするだけの休憩階層を隔離して、オレツの親族を匿っていたのだが、ほんの一~二週間ほど訪れていないだけで立派な村が出来上がっていたのだ。
といっても家は六つほどだが、倉とかも出来てる。
「ていうか、今まで住んでた家より立派じゃないか」
まぁ、あの国は見栄とかで税を決めたりするからあえてボロくしてたってのもあるけど、明らかにオレツが村にいたときに一番立派だった家よりも上等だった。
「?」
その村の一番近くの家の影で見知らぬ子供がこっちを見ている。
ええ…?誰?
記憶力は良い方だと思ってたんとけど、どんなに記憶を漁っていても出てこない。
とするならば可能性はただひとつだけだけど。
いや、まさかそんな。ね?
「うう!」
「あ!」
子供が慌てたように逃げていった。
俺はこの村では余所者みたいな感じ(ほとんどいない)だから仕方ないとはいえ、地味に傷付いた。
「まーいいや。ねーちゃんに会いに行こう」
じゃらじゃらと音を立てる袋を手に、伝えられた家に向かう。
「ねーちゃん。この前頼んでた…、ええ…?」
逃げた子がガンマねーちゃんの後ろに隠れていた。
は!!もしかして!!
「あんたの考えていることは分かってるけど、違うわよ」
「ですよねー!!」
聞くところによると、どっかから迷い混んだ子供だという。
しかし此処は魔王城。
どこからどうやって迷い混んだのか。
と、考え。
「あれか…」
思い当たることひとつ。
確かにあの鍵は逃亡後に安全なところまで案内する機能付きだが。
あー、なるほど。
確かに奴隷階級にとっては絶好な逃げ場だ。しかも。
「グーーーモ!」
「もも!」
頭の上に黒い毛玉。
毎度お馴染みクロマリモさんがなついていた。
「よいしょっと」
驚かさないようにしゃがみこんで、子供と背丈を合わせた。
ガンマねーちゃんの服を握り締めてはいるが逃げる様子はない。
「お名前は?」
「………んー」
ちらりと子供はガンマねーちゃんを見上げる。
「この子喋れないみたいなのよぉー。名前も分からないから、ルゥって呼んでるわ」
「ルゥ」
子供を見る。
「くん?ちゃん?」
「ルゥくんね」
「ルゥくん」
呼んでみた。
「う」
返事が返ってきた。
自分の事だとも分かるようだ。
しかし、そうかー。
これはツマさんに報告しないとな。
追放なんてないとは思うけど。
もし、こんな感じで“不適合者”の人間を集めて“魔界側に人間の村を作り、調和を見せ付ければ”。
心のなかでほくそえんだ。
まぁ、焦ることはない。
ゆっくりいこう。
「でー、話は戻るけど約束のあれの事なんだけど」
「ええ。ちゃーんと出来てるわよ。ささ、おやつもあるからこっち来なさい」
「へーい」
「という事がありましてー」
バラバラと書類がツマさんの手から書類が落ちていく。
それを拾いながらツマさんが再起動したのを待つと、はっ!と起動した。
「ぜ、全然…気が付かなかった………」
「だよねー。普通気が付くもんね。ツマさんの結界高性能だし」
侵入してきた勇者一行の武器どころか荷物の中身も丸分かりである。そんなツマさんが気付けなかったのはヤバイ。
「どうしようどうしよう。どうやって解決すれば」
「取り敢えずクロマリモさんの所は俺が請け負うよ。俺の責任だし、結界も張れるからなんとかなると思う」
要は侵入者を把握して、危険だと判断すれば即排除できれば良いんだ。
「本当に任せて良いの?忙しくない?」
「ツマさんに比べたらぜーんぜん」
むしろ暇。
「そう?じゃあお願いするわね」
と、ツマさんの許可が降りたので改めてクロマリモゲートへと直行。
クロマリモさんの行き先全てに結界を張り、すべての穴をふさいだ。
さーてと。
とんだ予定狂わせだったけど、当初の計画通りに進めますかね。
全ての結界が作動するのを確認してから、凍結層へと急いだ。
使いどころのないひたすら草原が広がる、日向ぼっこするだけの休憩階層を隔離して、オレツの親族を匿っていたのだが、ほんの一~二週間ほど訪れていないだけで立派な村が出来上がっていたのだ。
といっても家は六つほどだが、倉とかも出来てる。
「ていうか、今まで住んでた家より立派じゃないか」
まぁ、あの国は見栄とかで税を決めたりするからあえてボロくしてたってのもあるけど、明らかにオレツが村にいたときに一番立派だった家よりも上等だった。
「?」
その村の一番近くの家の影で見知らぬ子供がこっちを見ている。
ええ…?誰?
記憶力は良い方だと思ってたんとけど、どんなに記憶を漁っていても出てこない。
とするならば可能性はただひとつだけだけど。
いや、まさかそんな。ね?
「うう!」
「あ!」
子供が慌てたように逃げていった。
俺はこの村では余所者みたいな感じ(ほとんどいない)だから仕方ないとはいえ、地味に傷付いた。
「まーいいや。ねーちゃんに会いに行こう」
じゃらじゃらと音を立てる袋を手に、伝えられた家に向かう。
「ねーちゃん。この前頼んでた…、ええ…?」
逃げた子がガンマねーちゃんの後ろに隠れていた。
は!!もしかして!!
「あんたの考えていることは分かってるけど、違うわよ」
「ですよねー!!」
聞くところによると、どっかから迷い混んだ子供だという。
しかし此処は魔王城。
どこからどうやって迷い混んだのか。
と、考え。
「あれか…」
思い当たることひとつ。
確かにあの鍵は逃亡後に安全なところまで案内する機能付きだが。
あー、なるほど。
確かに奴隷階級にとっては絶好な逃げ場だ。しかも。
「グーーーモ!」
「もも!」
頭の上に黒い毛玉。
毎度お馴染みクロマリモさんがなついていた。
「よいしょっと」
驚かさないようにしゃがみこんで、子供と背丈を合わせた。
ガンマねーちゃんの服を握り締めてはいるが逃げる様子はない。
「お名前は?」
「………んー」
ちらりと子供はガンマねーちゃんを見上げる。
「この子喋れないみたいなのよぉー。名前も分からないから、ルゥって呼んでるわ」
「ルゥ」
子供を見る。
「くん?ちゃん?」
「ルゥくんね」
「ルゥくん」
呼んでみた。
「う」
返事が返ってきた。
自分の事だとも分かるようだ。
しかし、そうかー。
これはツマさんに報告しないとな。
追放なんてないとは思うけど。
もし、こんな感じで“不適合者”の人間を集めて“魔界側に人間の村を作り、調和を見せ付ければ”。
心のなかでほくそえんだ。
まぁ、焦ることはない。
ゆっくりいこう。
「でー、話は戻るけど約束のあれの事なんだけど」
「ええ。ちゃーんと出来てるわよ。ささ、おやつもあるからこっち来なさい」
「へーい」
「という事がありましてー」
バラバラと書類がツマさんの手から書類が落ちていく。
それを拾いながらツマさんが再起動したのを待つと、はっ!と起動した。
「ぜ、全然…気が付かなかった………」
「だよねー。普通気が付くもんね。ツマさんの結界高性能だし」
侵入してきた勇者一行の武器どころか荷物の中身も丸分かりである。そんなツマさんが気付けなかったのはヤバイ。
「どうしようどうしよう。どうやって解決すれば」
「取り敢えずクロマリモさんの所は俺が請け負うよ。俺の責任だし、結界も張れるからなんとかなると思う」
要は侵入者を把握して、危険だと判断すれば即排除できれば良いんだ。
「本当に任せて良いの?忙しくない?」
「ツマさんに比べたらぜーんぜん」
むしろ暇。
「そう?じゃあお願いするわね」
と、ツマさんの許可が降りたので改めてクロマリモゲートへと直行。
クロマリモさんの行き先全てに結界を張り、すべての穴をふさいだ。
さーてと。
とんだ予定狂わせだったけど、当初の計画通りに進めますかね。
全ての結界が作動するのを確認してから、凍結層へと急いだ。
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