セイレーンの家

まへばらよし

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第一章 桐島柊子

第七話 待つだけ

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 卓朗の依頼の椅子を確認する日になった。現物確認から修理の必要な箇所とかかる費用を説明し、合意が取れれば修理のために持ち帰る。柊子は三柴のバンを借りて、卓朗の指定した場所へ向かった。彼は例の椅子を自宅には置かずレンタルの倉庫に保管しているという。倉庫の備えの駐車場で卓朗は待っていた。
「おはようございます」
 卓朗はミリタリーコートにシャツとジーンズという、ごくカジュアルな格好をしていた。今まで会った二度、いや三度とも彼は比較的フォーマルな格好をしていた。いつもと異なる印象に柊子は少し戸惑った。卓朗の方も柊子の全身に視線をさらりと滑らせた。柊子も今日は力仕事になるので、あらかじめ了解を取った上でシャツとジーンズというラフな格好をしている。
「いつもと」
 二人して同じ言葉をいいかけ止めた。お互い言いたいことを察し、それが面白くて吹き出した。
「済みません。俺の方はお電話の時点で伺っていたのに」
 卓朗は笑いながら、柊子を倉庫の方へ手招いた。
「でもやっぱりバンから、エレガントな女性が作業着を着て出てくるのは驚きますね。ギャップというか」
 柊子は苦笑してしまう。
「エレガントだなんて、初めて言われました。嬉しいです」
「初めて?」
 卓朗は振り返り不思議そうな顔をした。
「それは今までの男たちの語彙が足りなかっただけじゃないですかね」
 戸惑ってしまった柊子に彼は笑いかけたあと、正面を向き倉庫の鍵を開けて中へ入った。
「これです」
 倉庫の中には、フィン・ユールの椅子だけがあった。お見合い初回のときに見せてもらった写真そのままだ。あれはここで撮影したのだ。
「失礼します」
 柊子は一礼し、手袋をして椅子の確認作業に入った。
 機能的で、なのにユニークなデザインの椅子は、それなりの年数を使用したもののようだ。背もたれの布部分がはげて破れていた。
 でもずっと手元に置きたいという気持ちが分かる。美しい椅子。
 フィン・ユールの椅子が高価であるのも理由の一つだろうが、慣れた椅子は修理して長く使いたいものだ。卓朗は譲られたというが、元の持ち主も断腸の思いで手放したのではなかろうか。
「前の方は、何故、これを手放されたのですか?」
 柊子は卓朗を振り返った。彼は少し驚いたような顔をしていた。
「ごめんなさい。ただの興味本位です。とても大切に扱われていたようだから」
「亡くなられたんです」
 柊子はえっと軽く声を上げてしまった。
「俺の恩師の、愛用の椅子だったんです。俺の大学時代の、卒研と修論の担当教員でした。懇意にして頂いて、何度か家にお邪魔したときもあったんです。そのときに見て、いいなあってずっと言っていたら、それを奥様が覚えていて下さって」
 なら、椅子は彼女が使ってもよかったのではと、柊子は思ってしまった。その疑問を読んだように卓朗は話を続けた。
「俺も、先生の愛用の椅子だったし、そんな簡単に他人にあげていいものではないのではと、奥様にお伝えもしたんです」
「ええ」
「ただ、奥様は、これが視界にあると辛いと仰って」
 ああ、と柊子は心の中で嘆息した。
「分かるような気がします。先生がくつろいでおられる、お姿込みの椅子だったんでしょうね」
 柊子の返事に、卓朗は少し瞼を伏せた。
「そうなんですね。俺にはその感情がいまいち理解できなかったんです」
 意外な言葉だった。卓朗が、柊子の病気と母の死が重なったと知ったときの、彼の柊子への労りを聞いたあとでは、彼にそぐわない言葉な気がした。
「先生は事故ではないんですが、倒れられてからすぐにお亡くなりになりました。遺族の皆さんの、心の準備もままならなかったと思うんです。喪失感で余計に手元に置きたくないと仰ったかもしれません。なのでもし、考えを変えられ、奥様が椅子を返してほしいと仰ったら、お返ししたいとも思っているんです」
 卓朗は椅子の傍らにやってきて、背もたれの部分を指さした。
「ここは張り替えになりますよね」
「そうですね」
「可能でしたら、似た色や素材でお願いしたいんです」
「分かりました」
 柊子はメモにそれを書き足した。
 卓朗の家族構成はまだ知らない。今後知る機会があるかは分からないが、まだ彼は近しい肉親を誰も亡くしていないのかもしれない。それなら彼の恩師の、妻の心情も完全に理解できないことも仕方がないだろう。
 柊子は母を子宮頸がんで亡くした。
 柊子は同じ時期に、癌ではないが子宮の病を患っていた。腹痛があったが、母の病気を知っていて、余計に恐ろしく言い出せなかった。自分は違うと言い聞かせ、発覚したときには手遅れになっていた。
 母の死に目に会えず、葬儀にすら出られなかった。全てが終えた家で、母の不在が酷く堪えた。母の持ち物は全て残っているのに。
 柊子は顔を上げた。
「お見積もりと納期についてご説明致します」
 柊子の説明に卓朗は口をはさまず、黙って聞いていた。一通りの説明のあとで卓朗の合意が取れ、契約を進めることとなった。
「ありがとうございます」
「こちらこそ。よろしくお願いします。修理の場所は桐島先生のご自宅ですか?」
「いいえ。叔母の知人で私の家具修理の師匠でもある方が、今はお仕事を減らされていて、そこをお借りしているんです」
 柊子は、なるほどと納得している卓朗の前で椅子を梱包する用意を始めた。バンに積むときだけ、手伝いを申し出てくれた卓朗の手を借りた。
「依頼できたのがあなたでよかったです」
 バンから降りただしぬけに、柊子は卓朗にそう言われた。
「最初にビジネスとして認識され、見積もりを出しますって仰ったでしょう。自分のお仕事に誇りを持っておられるんだなって。少なくとも俺は、柊子さんは信頼できる人だなって思いました」
「ありがとうございます」
「いや、ごめんなさい。なんだか偉そうな言い方ですよね」
 卓朗は口元に手を当て、実に気まずそうな顔をした。柊子は笑って手を振った。
「お気になさらず。嬉しかったです。では二週間後に」
「椅子は二週間後に」
 柊子は一度表情を改めてから、再びはにかんだ。
「はい」
「明日、よろしくお願いします」
「楽しみにしています」
 柊子は一礼し、バンに乗り込んで倉庫を後にした。

 ところが同日の夜、柊子が自宅でくつろいでいるときに卓朗から電話があった。
『柊子さん、申し訳ないですが、明日はキャンセルさせて下さい』
「……え、は、はい」
 挨拶もそこそこに告げられた。柊子は気圧されて、深く考える前に同意してしまった。
『本当にすみません。めどがついたら俺の方からご連絡します』
 彼は電話も早々に切った。仕事かプライベートか、何かしらトラブルでもあったのだろうかと柊子は心配もしたが、彼が何も言わないので知ることができない。電話も切られ、改めてかけ直し何があったのかと聞けるほど、まだ仲は進んでいない。
 しかも「めどがついたら連絡する」とは、遠回しに連絡をしてくれるなという意味ではないだろうか。
 柊子には恋愛の経験がない。ただしネットの時代、情報はいくらでも入ってくる。こんなふうにあっけなく男女の関係が終えることもあると何かで読んだ、ような気がする。そこまで考え柊子は苦笑いをした。そもそも付き合ってすらない。まだ前段階ではないか。


 フレームだけになった椅子のアーム部分を、柊子は注視した。外側は二ないし三ミリの厚さになる。薄く繊細な部分で、扱いにとりわけ注意が必要な部分だった。
 オイルを塗り込み、乾いた布で拭き取る作業を三度繰り返したのち、完全に乾燥させた。布の張り替えも済み、修復は完成した。
 柊子は立ち上がり息を吐いた。近くに立っていた、柊子の師匠の久司がお疲れさんと声をかけてきた。
「いい仕上がりだ」
「ありがとうございます。今回は久司さんの指示が本当に心強かったです」
「アームがシビアな幅だったね」
 美しく仕上がったフィン・ユールのNo.45は、納品の日までしばらく風通しのよい場所に保管される。
 柊子は作業場を出て、持参のペットボトルのお茶を飲んだ。
 あれから十日、卓朗からは一切連絡がなかった。柊子も柊子で、連絡しますという彼の言葉を律儀に守っている。意固地になっている部分も無きにしもあらずだが、柊子は彼の依頼をまだ保持している状態だ。その連絡をしてからでもいいではないかと自分に言い聞かせている。
 椅子の納品まであと四日ある。もしかしたら、その四日後が最後に会う日かもしれない。
 卓朗に会うまで、忘れていた感情──忘れたと、もうなくても構わないと信じ込んでいた感情──それを柊子は持て余している。
 会いたいと思った。独りがこんなにも辛いとは思わなかった。
 帰宅してから柊子はノートパソコンを起動させた。メールが一通入っていた。件名に「松井です」とあって驚く。
 本文には「昨日、街でみかけました」とだけあり、写真が添付されていた。大きなクリスマスツリーが画面いっぱいに写されている。ほぼ真下から撮影したのだろう。随分迫力がある構図だ。屋外のようで、ツリーの後ろに映っている空は薄いグレー色。昼なのか夕暮れなのか分かりにくい。しかもこんな立派なツリーなら、ニュースなどで話題になっていそうだがと思ったが、光景に少し違和感もあった。写真の端に小さく写る街の看板を見て、柊子はあらと声を出した。
 彼は今、日本にいないのだ。
 柊子はしばし、そのクリスマスツリーを眺めていた。


 卓朗から電話があったのは、椅子を届ける前日の夜だった。
『ご連絡できず申し訳ありませんでした』
「いえ、ツリーのお写真を送って下さってありがとうございます。迫力があって、とてもいい写真ですね」
 柊子が礼を言うと、ありがとうございますと彼もお礼を言った。
「明日は予定通り、午前の到着で問題ないでしょうか?」
『はい、大丈夫です』
「ではまた明日、よろしくお願いします」
『待って』
 そのまま電話を切ろうとしたのが伝わったのか、卓朗は慌てた声で柊子を止めた。
『済みません。待って下さい。もう少し』
 懇願され、柊子は黙って卓朗が続きを話し出すのを待った。しかし彼は待てと言ったくせに無言を通している。
「椅子の件で不明な点などありましたか?」
『椅子の件は問題ありません。あの……み、お見合いの件ですが』
「はい」
 また卓朗は黙ってしまった。さすがに声をかけようかと思うほどに待ったときに、卓朗が絞るような声を出した。
『私は柊子さんに会いたいのですが、会って頂けますか』
 一人称が「私」に戻っている。柊子は電話では見えないだろうのにうなずいてしまい、それから声で返事をした。
「はい。喜んで」
『……あ』
「嬉しいです」
 電話の向こうで間があった。
『本当に、今回は申し訳ありませんでした』
「お仕事が大変なのでは?」
『俺、い、いや私は、言い訳にしかならないんですが、仕事に集中すると他に何も耳に入らなくなるというか』
「分かりますよ。叔母がそうなので」
 柊子の肯定に卓朗はすぐ反応しなかった。
「叔母も仕事で佳境に入ると、声をかけるなって私に言ってきます。だから卓朗さんも、クリエイターの方ってそうなのかなって」
 卓朗は本日何度目か、弱い声で申し訳ありませんと述べた。
『海外にいる社の者が急病で、急遽、現地の言葉がある程度分かる人間が出向く必要がありまして、俺が行くことに』
「大変でしたね。その同僚さんは、もう?」
 回復しましたと教えてもらい、柊子も、それはよかったですと返した。
『会うお約束をしていたあの、日曜の朝には飛行機に乗る必要があって』
「ご出張は欧州の方だったんです?」
 はいと返事があって、柊子は頭で計算した。
「卓朗さん、今は時差ボケがお辛いのでは?」
 ふっと笑った声がした。
『その通りです』
「椅子の配達は大丈夫です?」
『大丈夫ですよ。今朝に空港に着いて、家でさっきまで寝ていました。今晩は少し遅くまで起きていようと思っています。明日の午前、十時くらいに来て下さる予定じゃないですか。その時間には起きて日本時間に戻したいので、それもあって来て下さったほうが目的があって起きられるのでいいんです』
「なるほど」
『その明日のことなんですが、俺の住んでいるマンションの一角で、一時駐車なら可能な場所があるんです。そこに車を駐めてもらえればと思うので、明日はその時間に外にいますね』
「ありがたいです。助かります」
 それから会話が途切れた。
『では明日。よろしくお願いします』
「はい、こちらこそ」
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