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21 仲間の実力
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ログインする前に、インと同時に仲魔が召喚されないように設定する。
かぐやが人に慣れるまではしばらくこのままかな。
冒険の開始場所は街の祠から。よし、コランさんのところに行って早く2人(1人と1匹)に会おう。
見慣れた狸の信楽焼におはよう、と一言挨拶。玄関に《不在。用があるなら作業場に》と書かれた紙がぶら下がっていたので、そちらに向かう。
「こんにちは、ソラです。
コランさんいらっしゃいま…」
私はドアからひょこっと顔を覗かせたものの、その後の言葉を続けることが出来なかった。部屋のいたるところにある木屑の山のあまりの高さに声が引っ込んだからだ。
きっと今の私の頬は引きつっていると思う。
その山のひとつがもぞもぞと動き、中から見慣れた熊さ…コランさんがでてきた。
「あ''ー、もう朝か。」
「どちらかと言うと昼ですかね。
こんにちは、コランさん。今から大丈夫ですか?」
「おー。」
コランさんが覇気のない声を上げながらのそっと立ち上がろうとしたその時、ギュルルルルと獣の唸り声のような音が室内に響いた。発生源はコランさんのお腹だ。
「そういえば昨日の晩から何も食べてないような…」
「駄目じゃないですか!
仕事にのめり込むのもいいですがご飯をおろそかにしないでください!
これどうぞ。食べられない以外にコランさんに拒否権はありませんからね!」
私はアイテムボックスからたこ焼きの包みを2つ取りだし、有無も言わせずコランさんに押し付けた。来る前にゴンちゃん達用に買ってきたのだ。多めに買っておいてよかった。
「すまん。感謝する。」
「…ちょっとコランさん。何してるんですか?」
「何ってたこ焼きを食べようとしてるんだが?」
「こんな木屑だらけのところで食べたら、木屑が鰹節と手を取り合ってフォークダンス始めるに決まっているじゃないですか!
外で食べてくださいっ!」
「おい、押すな。
病人を労れ。」
「私が身体の心配をするのは早いと言ったのはどこのどなたですか!」
私はぐいぐいと(一応)優しくコランさんを小屋の外に押し出し、近くにおいてあった箒を手に取った。掃除の許可はとってある。
作業台の上の木屑も気になるが、もし必要なものが混ざっていたらいけないので床だけ掃く。ゴミは木屑しかないのでそのまま外に掃き出した。
「終わったか?」
「床だけ。」
「じゃあ、ちゃっちゃっと始めんぞ。」
「よろしくお願いします!」
「切る道具は?」
「なぎな「たこ焼きの礼だ、俺のをやる。」…ありがとうございます。」
コランさんから説明を一通り聞くと【細工】スキルを取得した旨のアナウンスが流れた。そこからは単純な繰り返し作業だ。
竹の表面に現れた点線に刃物を当てるとその通りに切れ、『蜘蛛の糸』を印が描かれた所に通せば竹と竹がしっかりと固定される。
「創造神の加護はやはり便利だな。
それはそうとこの筏小さすぎねぇか?」
「立てればいいので問題ないです!」
私が作っている筏は通常のサイズよりだいぶ小さい。大体人2人が立てるぐらいの大きさだ。
「もうお前の行動を理解するのは諦めたわ。それと、固定に使う『蜘蛛の糸』はここら辺の木に生息する《ウッドスパイダー》から取れるからな。」
「わかりました。
お忙しいとこありがとうございました!」
「あ、そうだ。
これガロンから預かってたんだわ。」
そう言ってコランさんが手に取ったのは釣竿だった。
「これで是非釣りを楽しんでくれってさ。」
「ガロンさん…。」
今度会ったらお礼言わなきゃ。
「俺は仕事に戻るがお前はどうする?
別に近くで作業してても構わないが。」
「そうしたいのは山々なんですけど、ゴンちゃん達が待っているので帰ります。
色々お世話になりました。」
「そうか。
こちらこそ何かとお前には助けてもらったな。ありがとよ。」
そう言ってコランさんは私の頭を少し乱暴にかき混ぜた。おぅふ、頭がグラグラする。
「それじゃあ、また!
ご飯ちゃんと食べてくださいね!」
「あぁ、また遊びに来い。」
コランさんに手を振って小屋を出る。外の竹の山が結構減っていたので、追加で出しておく。
そして少し歩くと、昨日の竹薮についた。そこで2人を呼び出す。
ゴンちゃんはいつも通りの悟り顔。一方かぐやは寝起きなのか、くしくしと眠気眼を手で擦っていた。
「かぐや眠いの?」
「んぅ…らいじょーぶなのじゃ。」
「今からかぐやの実力を見せてもらいたいんだけど大丈夫?」
「!!
任せるのじゃ!それで妾は何奴を倒せば良いのじゃ?」
くるりくるり、と空中で回り始めたかぐやの頬をむに、っと両手で挟む。
「それは後で教えるね。
とりあえずご飯にしよっか!」
私はニコッと笑ってアイテムボックスから椅子とたこ焼きを取り出し、それぞれに渡した。
「お代わりもあるからね。」
「あ、熱っ、はふはふ
む、何か変な食感がするのじゃ。」
「タコだよ。この食べ物の主役。」
「ふむ、美味なのじゃ!」
満足気に頷きながらたこ焼きを咀嚼するかぐやと、一心不乱にそれらを消化するゴンちゃん。
結局ゴンちゃんが4パック、かぐやが3パック食べた。たこ焼き10個買うのは多すぎたかと思ったけど杞憂だったみたい。
「それじゃ魔物退治といきますか!」
2人が食べ終わったのを確認して立ち上がる。
「今回狩るのは《ウッドスパイダー》。木に住んでいる蜘蛛らしい。」
『それはあれか?』
ゴンちゃんの視線を辿れば、大きな巣を張っているこれまた大きな蜘蛛がいた。【鑑定】もそれだと示している。
「うん、そうみたい。
かぐやいける?」
「もちろんじゃ!
【メテオール】!!」
かぐやがスキルを詠唱すると、額の宝石がキラリと輝き、宙からソフトボールほどの大きさの隕石が魔物目掛けて落ちてきた。
「【ゼロ・グラビティ】!」
石が当たった魔物はその衝撃で上空に飛ぶ。そこにかぐやの【ゼロ・グラビティ】が発動し、空中で一時停止している。
「これで終わりなのじゃ!」
かぐやが両手を上にあげた状態から勢いよく振り下ろすと、それに合わせるように魔物が猛スピードで地面に落下した。もちろん魔物はキラキラなお星様になりました。反撃の余地すら与えないかぐやさん、さすがっす。
「すごいよ、かぐや!
あっという間だったね!」
「ふふん。
これが妾の実力なのじゃ!」
えへん、と腰に手を当て胸をはるかぐや。あまりの可愛さににやける顔を抑えるのが大変だった。ゴンちゃんからの視線の温度が十度ぐらい下がった気がする。
『主、援軍がいるみたいだぞ。』
「え?」
ゴンちゃんが袴の裾をくいくいと引くので何事かと振り返れば、地面に大きな蜘蛛が所狭しと並んでいた。その数およそ20匹。これは流石に蜘蛛がトラウマになるレベルなんですけど…。
『さっき倒した奴がこいつらのボスだったようだ。』
「ボスにしては弱っちかったぞ。
妾はもっと骨のあるやつと戦いたかったのじゃ。」
「そうだ!
かぐや、これ使ってみて。」
私はアイテムボックスから扇子を取り出し、かぐやに渡した。確かこれは星魔法との相性が良かったはず。
「おぉ、とても手に馴染むのじゃ!
【メテオール】!」
扇の骨が宝石と同様金色に煌めく。
そこからは一瞬の出来事だった。
かぐやの詠唱。
↓
バレーボールほどの大きさの隕石が数十個ほど猛スピードで蜘蛛がいる場所に落下。
↓
言わずもがな、彼ら滅亡。
この間わずか5秒。
なんてこった!!
「にょほほほほ
愉快なのじゃ!」
くるりくるりと扇子を持って舞い始めたかぐやが可愛いからまぁいっか。
主バカ?なんとでも言いなさい。うちの子まじ天使。
「その扇かぐやとの相性いいみたいだね。
これからも大切に使ってあげてね。」
「もらっても良いのか?」
「うん!
かぐやの能力をもっと引き出せるなら、使わない手はないよ!」
「ありがとうなのじゃ。」
そう言ってかぐやは笑顔で私に抱きついてきた。そう、笑顔で。まだ少しぎこちない感じはするが、花が綻んだような可憐な笑みを浮かべたかぐやに、私の方が嬉しくて泣きそうになった。これから冒険を続けていくうちにもっと笑顔が増えてくれたらいいな。
私もその小さな背中に手を回し優しく抱きとめた。
「この調子で私たちも倒してみようか、ゴンちゃん!」
『了解』
それから私とゴンちゃんもそれぞれ《ウッドスパイダー》を倒してみた。
私の場合ドロップアイテムが全部『蜘蛛の銀糸』だった。レア度は『虹の角』と一緒。試しに使って見たら、めちゃくちゃ伸びた。これは使える。
「私はこれから筏作りをするけど、2人はどうする?レベル上げでもする?」
『レベルはあげたいが主の傍を離れるのはな。』
「大丈夫だよ。2人の目が届く範囲で作業するから。飽きたら私も魔物退治に混ざるし。それに筏作りに『蜘蛛の糸』が必須だから、2人がとってきてくれると助かるんだけど。」
「妾に任せるのじゃ!
おい、犬。妾と勝負ぞ!」
かぐやがはいはい!と手を挙げる。
『私は狐だ。何度言えばわかるのだ。
まぁ、良い。その勝負乗った。』
2人は我先にと駆け出して行った。
勝負するって言ってたけど、【テイム】のレベルが上がったおかげで仲魔が倒した魔物のドロップアイテムも私のアイテムボックスに直接送り込まれるようになったんですが。これ私が数えとかないといけないの?
それともうひとつ獲得した【付与】スキル。これは私のSPを消費して仲魔にスキルを付与できるというスキル。
これは2人が戻ってきた時でいいかな。
さて、私も筏作り頑張ろう。
それから現実世界での何日間、私はミニ筏とレベル上げにひたすら勤しんだ。
【付与:テイムスキル。プレーヤーのSPを消費して仲魔にスキルを付与する。】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここでソラさんの出番は暫しおやすみ。
次回は掲示板です。
かぐやが人に慣れるまではしばらくこのままかな。
冒険の開始場所は街の祠から。よし、コランさんのところに行って早く2人(1人と1匹)に会おう。
見慣れた狸の信楽焼におはよう、と一言挨拶。玄関に《不在。用があるなら作業場に》と書かれた紙がぶら下がっていたので、そちらに向かう。
「こんにちは、ソラです。
コランさんいらっしゃいま…」
私はドアからひょこっと顔を覗かせたものの、その後の言葉を続けることが出来なかった。部屋のいたるところにある木屑の山のあまりの高さに声が引っ込んだからだ。
きっと今の私の頬は引きつっていると思う。
その山のひとつがもぞもぞと動き、中から見慣れた熊さ…コランさんがでてきた。
「あ''ー、もう朝か。」
「どちらかと言うと昼ですかね。
こんにちは、コランさん。今から大丈夫ですか?」
「おー。」
コランさんが覇気のない声を上げながらのそっと立ち上がろうとしたその時、ギュルルルルと獣の唸り声のような音が室内に響いた。発生源はコランさんのお腹だ。
「そういえば昨日の晩から何も食べてないような…」
「駄目じゃないですか!
仕事にのめり込むのもいいですがご飯をおろそかにしないでください!
これどうぞ。食べられない以外にコランさんに拒否権はありませんからね!」
私はアイテムボックスからたこ焼きの包みを2つ取りだし、有無も言わせずコランさんに押し付けた。来る前にゴンちゃん達用に買ってきたのだ。多めに買っておいてよかった。
「すまん。感謝する。」
「…ちょっとコランさん。何してるんですか?」
「何ってたこ焼きを食べようとしてるんだが?」
「こんな木屑だらけのところで食べたら、木屑が鰹節と手を取り合ってフォークダンス始めるに決まっているじゃないですか!
外で食べてくださいっ!」
「おい、押すな。
病人を労れ。」
「私が身体の心配をするのは早いと言ったのはどこのどなたですか!」
私はぐいぐいと(一応)優しくコランさんを小屋の外に押し出し、近くにおいてあった箒を手に取った。掃除の許可はとってある。
作業台の上の木屑も気になるが、もし必要なものが混ざっていたらいけないので床だけ掃く。ゴミは木屑しかないのでそのまま外に掃き出した。
「終わったか?」
「床だけ。」
「じゃあ、ちゃっちゃっと始めんぞ。」
「よろしくお願いします!」
「切る道具は?」
「なぎな「たこ焼きの礼だ、俺のをやる。」…ありがとうございます。」
コランさんから説明を一通り聞くと【細工】スキルを取得した旨のアナウンスが流れた。そこからは単純な繰り返し作業だ。
竹の表面に現れた点線に刃物を当てるとその通りに切れ、『蜘蛛の糸』を印が描かれた所に通せば竹と竹がしっかりと固定される。
「創造神の加護はやはり便利だな。
それはそうとこの筏小さすぎねぇか?」
「立てればいいので問題ないです!」
私が作っている筏は通常のサイズよりだいぶ小さい。大体人2人が立てるぐらいの大きさだ。
「もうお前の行動を理解するのは諦めたわ。それと、固定に使う『蜘蛛の糸』はここら辺の木に生息する《ウッドスパイダー》から取れるからな。」
「わかりました。
お忙しいとこありがとうございました!」
「あ、そうだ。
これガロンから預かってたんだわ。」
そう言ってコランさんが手に取ったのは釣竿だった。
「これで是非釣りを楽しんでくれってさ。」
「ガロンさん…。」
今度会ったらお礼言わなきゃ。
「俺は仕事に戻るがお前はどうする?
別に近くで作業してても構わないが。」
「そうしたいのは山々なんですけど、ゴンちゃん達が待っているので帰ります。
色々お世話になりました。」
「そうか。
こちらこそ何かとお前には助けてもらったな。ありがとよ。」
そう言ってコランさんは私の頭を少し乱暴にかき混ぜた。おぅふ、頭がグラグラする。
「それじゃあ、また!
ご飯ちゃんと食べてくださいね!」
「あぁ、また遊びに来い。」
コランさんに手を振って小屋を出る。外の竹の山が結構減っていたので、追加で出しておく。
そして少し歩くと、昨日の竹薮についた。そこで2人を呼び出す。
ゴンちゃんはいつも通りの悟り顔。一方かぐやは寝起きなのか、くしくしと眠気眼を手で擦っていた。
「かぐや眠いの?」
「んぅ…らいじょーぶなのじゃ。」
「今からかぐやの実力を見せてもらいたいんだけど大丈夫?」
「!!
任せるのじゃ!それで妾は何奴を倒せば良いのじゃ?」
くるりくるり、と空中で回り始めたかぐやの頬をむに、っと両手で挟む。
「それは後で教えるね。
とりあえずご飯にしよっか!」
私はニコッと笑ってアイテムボックスから椅子とたこ焼きを取り出し、それぞれに渡した。
「お代わりもあるからね。」
「あ、熱っ、はふはふ
む、何か変な食感がするのじゃ。」
「タコだよ。この食べ物の主役。」
「ふむ、美味なのじゃ!」
満足気に頷きながらたこ焼きを咀嚼するかぐやと、一心不乱にそれらを消化するゴンちゃん。
結局ゴンちゃんが4パック、かぐやが3パック食べた。たこ焼き10個買うのは多すぎたかと思ったけど杞憂だったみたい。
「それじゃ魔物退治といきますか!」
2人が食べ終わったのを確認して立ち上がる。
「今回狩るのは《ウッドスパイダー》。木に住んでいる蜘蛛らしい。」
『それはあれか?』
ゴンちゃんの視線を辿れば、大きな巣を張っているこれまた大きな蜘蛛がいた。【鑑定】もそれだと示している。
「うん、そうみたい。
かぐやいける?」
「もちろんじゃ!
【メテオール】!!」
かぐやがスキルを詠唱すると、額の宝石がキラリと輝き、宙からソフトボールほどの大きさの隕石が魔物目掛けて落ちてきた。
「【ゼロ・グラビティ】!」
石が当たった魔物はその衝撃で上空に飛ぶ。そこにかぐやの【ゼロ・グラビティ】が発動し、空中で一時停止している。
「これで終わりなのじゃ!」
かぐやが両手を上にあげた状態から勢いよく振り下ろすと、それに合わせるように魔物が猛スピードで地面に落下した。もちろん魔物はキラキラなお星様になりました。反撃の余地すら与えないかぐやさん、さすがっす。
「すごいよ、かぐや!
あっという間だったね!」
「ふふん。
これが妾の実力なのじゃ!」
えへん、と腰に手を当て胸をはるかぐや。あまりの可愛さににやける顔を抑えるのが大変だった。ゴンちゃんからの視線の温度が十度ぐらい下がった気がする。
『主、援軍がいるみたいだぞ。』
「え?」
ゴンちゃんが袴の裾をくいくいと引くので何事かと振り返れば、地面に大きな蜘蛛が所狭しと並んでいた。その数およそ20匹。これは流石に蜘蛛がトラウマになるレベルなんですけど…。
『さっき倒した奴がこいつらのボスだったようだ。』
「ボスにしては弱っちかったぞ。
妾はもっと骨のあるやつと戦いたかったのじゃ。」
「そうだ!
かぐや、これ使ってみて。」
私はアイテムボックスから扇子を取り出し、かぐやに渡した。確かこれは星魔法との相性が良かったはず。
「おぉ、とても手に馴染むのじゃ!
【メテオール】!」
扇の骨が宝石と同様金色に煌めく。
そこからは一瞬の出来事だった。
かぐやの詠唱。
↓
バレーボールほどの大きさの隕石が数十個ほど猛スピードで蜘蛛がいる場所に落下。
↓
言わずもがな、彼ら滅亡。
この間わずか5秒。
なんてこった!!
「にょほほほほ
愉快なのじゃ!」
くるりくるりと扇子を持って舞い始めたかぐやが可愛いからまぁいっか。
主バカ?なんとでも言いなさい。うちの子まじ天使。
「その扇かぐやとの相性いいみたいだね。
これからも大切に使ってあげてね。」
「もらっても良いのか?」
「うん!
かぐやの能力をもっと引き出せるなら、使わない手はないよ!」
「ありがとうなのじゃ。」
そう言ってかぐやは笑顔で私に抱きついてきた。そう、笑顔で。まだ少しぎこちない感じはするが、花が綻んだような可憐な笑みを浮かべたかぐやに、私の方が嬉しくて泣きそうになった。これから冒険を続けていくうちにもっと笑顔が増えてくれたらいいな。
私もその小さな背中に手を回し優しく抱きとめた。
「この調子で私たちも倒してみようか、ゴンちゃん!」
『了解』
それから私とゴンちゃんもそれぞれ《ウッドスパイダー》を倒してみた。
私の場合ドロップアイテムが全部『蜘蛛の銀糸』だった。レア度は『虹の角』と一緒。試しに使って見たら、めちゃくちゃ伸びた。これは使える。
「私はこれから筏作りをするけど、2人はどうする?レベル上げでもする?」
『レベルはあげたいが主の傍を離れるのはな。』
「大丈夫だよ。2人の目が届く範囲で作業するから。飽きたら私も魔物退治に混ざるし。それに筏作りに『蜘蛛の糸』が必須だから、2人がとってきてくれると助かるんだけど。」
「妾に任せるのじゃ!
おい、犬。妾と勝負ぞ!」
かぐやがはいはい!と手を挙げる。
『私は狐だ。何度言えばわかるのだ。
まぁ、良い。その勝負乗った。』
2人は我先にと駆け出して行った。
勝負するって言ってたけど、【テイム】のレベルが上がったおかげで仲魔が倒した魔物のドロップアイテムも私のアイテムボックスに直接送り込まれるようになったんですが。これ私が数えとかないといけないの?
それともうひとつ獲得した【付与】スキル。これは私のSPを消費して仲魔にスキルを付与できるというスキル。
これは2人が戻ってきた時でいいかな。
さて、私も筏作り頑張ろう。
それから現実世界での何日間、私はミニ筏とレベル上げにひたすら勤しんだ。
【付与:テイムスキル。プレーヤーのSPを消費して仲魔にスキルを付与する。】
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ここでソラさんの出番は暫しおやすみ。
次回は掲示板です。
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