13 / 38
11 レッツクッキング!
しおりを挟む『……』
「……」
『……』
「……」
え、なにこの沈黙。
どうしてゴンちゃんはそんなに困ったような顔をしているのかな?
いつもの無表情はどうしたの??
『.......主、何を拾い食いした?』
「え、なんで?
特に何も食べてないけど」
『いきなり変なことを言い出すから、おかしなきのこでも食ったのかと。
拾い食いじゃないのなら.......』
ゴンちゃんが私の額にぶに、と肉球を押し付けた。
うーん、少し犬の肉球より硬い気がする。
『.......熱もないな。
いいか、主。森には色々なものが生えている。毒を持ったものも少なくない。食う前に必ず私に確認をとること。わかったな』
「ちょっと待って。
なんで私が何でも拾い食いする食いしん坊さんみたいになってるの!?」
『自分の先程のおかしな台詞を思い出せ。
主の頭が狂ったのかと思ったぞ』
「おかしな台詞じゃないよ!
ご〇ぎつねの有名なラストシーンだよ!
衝撃の結末に全日本人が涙する名作の名場面だよ!
ゴンちゃんにも関係ありありのお話だよ!」
なんてこった!
まさかゴンちゃんにご〇ぎつねが通じないなんて!
私は地面に手を打ち付けた。全く痛くなかった。
『.......主の奇行に少しでも早く慣れるよう精進しよう』
「ごめんなさい、私が悪うございました」
薄々気づいてたよ。
ゲームの世界にご〇ぎつねネタは通じないんじゃないか、って。
でもね、そう思ったのあの台詞言った後だったんだよ!
ドヤ顔で言った手前引き返せないじゃん!!
「うぅぅ.......ゴンちゃんのばかあ.......」
『何故私が馬鹿と言われなければならんのだ。
もう肉取ってきてやらんぞ』
「冗談です。ゴンちゃん様流石です。ひたすら尊敬しております」
『手のひらを返したように態度が変わったな。
それで、これからどうするんだ?』
「【料理】スキルをあげようかなと。
他のプレーヤーの迷惑にならないよう、なるべく人がいないところがいいんだけど」
『それなら向こうだな』
歩くことおおよそ5分。澄んだ水が流れる川のほとりに着いた。
水面が太陽の光を反射してキラキラと輝いている。水は透き通り、のびのび泳ぐ魚が見えた。
「空気が綺麗だねぇ」
『そうだな』
私の隣に座ったゴンちゃんが気持ちよさそうに尻尾を揺らす。
平和だなあ。
「よし、ご飯にしよう!」
アイテムボックスから、バーベキューコンロと折りたたみ式のテーブルやイスなどを出す。
いやあ、ついついキャンプ用品揃えたくなって気づいたら残金231Gになってしまいました。
虹色の角レイちゃんに売りつけよう。
ゴンちゃんが取ってきた肉を次々と焼いていく。いい具合で焼けてきたら街で買った塩胡椒を振りかける。
ハーブ類は高くて買えませんでした。
他の街から運んでくる分高くなるんだって。
《ウサギ肉の丸焼き
RANK E スタミナ10%回復 》
ふぉ!紙皿に置いたお肉の上にウィンドウが出てきた!
《ウサギ肉の丸焼き
RANK E スタミナ10%回復》
《ウサギ肉の丸焼き
RANK E スタミナ10%回復》
《ウサギ肉の丸焼き
RANK E スタミナ10%回復》
《ウサギ肉の丸焼き
RANK D スタミナ20%回復》
《ウサギ肉の丸焼き
RANK E スタミナ10%回復》
目が目がああああああ
ウィンドウ次々に出てきて目がチカチカなするよう!
『主、大丈夫か?』
違うんだ、ゴンちゃん。
私が求めていた反応はそれじゃないんだ.......!
「な、何でもないよ!
それよりもご飯食べよっか」
手を繋いで呪文を唱える少年少女を頭から追い出し、食事の準備を進める。
焼いた肉の他にレイちゃんに貰ったサラダもお皿に盛り付け、テーブルの上に置く。
少し値段は高かったけれど、脚が伸縮自在のものを買ったから、ゴンちゃんがキツネ型でも人型になったときも一緒に食べられるよ。
「いただきます!」
『?いただきます』
地面に座ったゴンちゃんが私の真似をして前足を合わせたのには笑ってしまった。
食べた感想はと言いますと.......なんか微妙。
不味くはないけど特別美味しくもないという、表現し難い味だった。
RANK Dの方が少し美味しく感じたから、RANKが上がるほど美味しいんだと思う。
早くレベルを上げて、上手に作れるようになりたいな。
買ったサラダは十分美味しかったです。
RANK Dのを食べた時よりもスタミナの回復量が多かったから、既製品の方がRANKは高いとみた。
2人にしてはちょっと量が多いかなと思っていたお肉はゴンちゃんの胃の中に見事に収まりました。本人曰く、まだ入るそうです。
ゴンちゃんの胃袋ブラックホール。
そう言えば、現実もお昼過ぎなんだよなあ。ここにいたら時間感覚が狂いそう。
1回ログアウトしてご飯食べなきゃ。
ゲームで食べたばっかりなのに変な感じ。
あれ?今更だけど私がログアウトしたらゴンちゃんはどうなるんだろう。
困った時はメニュー画面のヘルプを見ろ、ってカイが言ってたっけ。
ウィンドウを開いてヘルプのアイコンをタップすれば、項目ごとに質問と答えが並んでいた。
その中から『テイムについて』をタップする。
あ、これだ。
『Q ログアウトした場合テイムモンスターはどうなりますか?
A 別空間に移動されます。また、プレーヤーがログインした5秒後に現れます』
私がログイン出来ない間、1人でこの場所に留まるわけじゃないんだ。これなら安心だね。
ウィンドウを閉じようとした時、プロフィール上のレベルが上がっているのが見えたので、×を押す指を止めて、ステータスを開く。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前 ソラ
種族 鬼っ娘
Lv 10
HP 1000/1000
MP 1000/1000
攻撃 0
防御 0(+100)
速さ 0(+100)
知力 0(+100)
運 20
スキル【羅刹化 lv2 5min】【雷魔法lv2】【打撃 lv3】【料理 lv2】【テイムlv1】【ヒール(小)※】
AP 90
SP 20
装備:狐神の加護を受けた巫女服一式
アクセサリー:身代わりの指輪、白狐の御守り
ーーーーーーーーーーーーーー
ー【雷魔法】がlv2になりました。これより【サンダーアロー】が解放されます。ー
おぉ!レベルが10に到達した!
とりあえず、レイちゃんに言われた通り【鑑定】を取ろう。
他は、またいる時取ればいいかな。
レベルが10になってAPがどちゃっと入ってきたから、そろそろ振り分けよう。
巫女服の最強補正があるからAPは全部運でいいよね!運補正のアイテム持ってないし。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前 ソラ
種族 鬼っ娘
Lv 10
HP 1000/1000
MP 1000/1000
攻撃 0
防御 0(+100)
速さ 0(+100)
知力 0(+100)
運 110
スキル【羅刹化 lv2 5min】【雷魔法lv2】【打撃 lv3】【料理 lv2】【テイムlv1】【ヒール(小)※】【鑑定】
AP 0
SP 17
装備:狐神の加護を受けた巫女服一式
アクセサリー:身代わりの指輪、白狐の御守り
ーーーーーーーーーーーーーー
【鑑定:ものの詳細を見ることが出来る。尚、プレーヤーやその仲魔のステータスの閲覧は不可】
【鑑定】にはレベルはないみたい。
さっそく近くに生えている草をちぎって【鑑定】をかける。
《草》
う、うーん。確かに草だけど。
続いてゴンちゃんに向けて【鑑定】をかける。
《白狐:プレーヤーソラの仲魔》
私の仲魔って出るんだ。
なんか嬉しいね。
ゴンちゃんのステータスも確認しようっと。どれだけレベルが上がったかな?
ーーーーーーーーーーーーーーー
名前 ゴン
種族 白狐
Lv 6
HP 750/750
MP 730/750
攻撃 54
防御 32
速さ 48
知力 40
運 10
スキル【狐火】【紅牙】
AP 25
ーーーーーーーーーーーーーーー
うん、HPとMPがえげつないね。
「ゴンちゃん。
APどれに振り分けたい?」
ゴンちゃんを膝に乗せて一緒にウィンドウを眺める。
『攻撃に10、速さに15だな』
「りょーかい」
決定のアイコンはゴンちゃんと一緒に押しました。
えへへ、共同作業でーす!
ーーーーーーーーーーーーーーー
名前 ゴン
種族 白狐
Lv 6
HP 750/750
MP 730/750
攻撃 64
防御 32
速さ 63
知力 40
運 10
スキル【狐火】【紅牙】
ーーーーーーーーーーーーーーー
ゴンちゃんが満足そうに頷いた。
「今から私はログアウトするね。
また来るからいい子で待ってるんだよ」
『私は子供じゃない。
言われなくてもわかっているぞ』
「それじゃあまた後でね、ゴンちゃん」
ちゅっ、とゴンちゃんの頭にキスを落として私はログアウトした。
21
お気に入りに追加
3,898
あなたにおすすめの小説
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。

私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

てめぇの所為だよ
章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。


あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる