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一章

3話 ゴブリンとの戦闘

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森林の中をカチャカチャと鎧どうしが当たる音を立てながら進んでいくシュベルツ 
 (どこまで歩くんだろう、シュベルツさんの家かな?)
 堺はすっかりと気が緩み、ふんふん、ふーんと鼻歌を歌っている
 堺の前を歩いているシュベルツはゆっくりと歩くのをやめた
「では、最初の試験です、奥にいるゴブリンを倒してください」
 (え、ゴブリン!?急に!?)
 戸惑いながらも何とかなるだろうと思う
「あの、能力、とかってどうすれば、、」
 助けてオーラ全開で質問をする、今の目はチワワのようにクリクリしていたに違いない
「能力は戦闘の中で開花し成長するものです、この試験は堺さんの能力を確かめるためにあります、ですので頑張ってください!」
 シュベルツは両手にグッと力を入れて、応援してくれている
 熱意に押されながら、なんとかなるだろう思い、森林の奥にいる濃い緑色のゴブリンに近づく
 枝がパキパキとならないように慎重に近づく
 どうやらゴブリンは背を向けて食事をしているようだ
 順調に近づいていたが急に不安に襲われる
 (能力ってなんだよ、、どうやって出すんだよ、ちょっとやってみるか)
 とりあえず木の裏に身を潜める
 ムシャムシャと何かを食べているゴブリンに右腕を向けて、小声でファイヤーボールと唱えるが、何も出ない、すかさずアイスボールやサンダーボルトと唱えるが一向に変化がない
「キャルッ!」
 ゴブリンは何かを感じたのか、周りをクンクンと匂い始めた
 (気づかれた!?)
 体制を低くしてその場からそーっと逃げる
 ノロノロと歩き、鳥の声が止んだことをきっかけに恐る恐る後ろを振り返ると、ゴブリンが蹴れば当たる位置にいた
 羊のような目が堺の目と合う、途端にゴブリンはキェー!と叫び、飛びかかってきた
 直立しても私の胸くらいまでしかないだろうゴブリンは、今では顔より上にいる
「こ、殺されるぅ!!」
 堺はびっくりして後ろに倒れてしまう、ゴブリンは堺の胸で馬乗り状態になり、右腕を頭の上まで振りあげた、と思いきや振りかぶった腕を躊躇なく堺の顔に向けて振り下げる
 堺はすかさず顔を腕で守ろうとするが、ゴブリンの鋭い爪が左腕をえぐり、痛みと熱が同時に走る
 完全に頭に血が上り、「この猿がぁ!!」と叫びながら全力の右フックをゴブリンの脇腹めがけて放った
 ゴブリンはまた顔を引っかこうとしていたが、フックが当たる方が早かったため、力が弱まりほっぺたを少し傷つける程だった
 フックが効いたおかげでゴブリンの両足が緩み、馬乗りが不安定になる
 ゴブリンはヘタレて顔が少し下がった
 緩んだ力を確認したと同時に、ゴブリンの首鷲づかみにして、渾身の力で握りしめる
 ビェギャッ!と言う声と共にその場から逃げようと勢いよくもがくゴブリン
 激しく抵抗していたが、堺は掴んでいる手を緩めなかった
 しかし、首を握りしめている両手が引っかかれたことをきっかけに、首締めでは倒しきれないと思い、両手で首を絞めている状態で自分の体重を左側に傾けた
 ゴブリンの踏ん張りがおろそかになっていた事と、ゴブリンの体重自体が軽かった為に、クルリと左側に回転する
 ボールを地面に叩きつける容量で、左腕を離して右腕にゴブリンの体重を乗せてそのまま勢いよく地面に叩きつけた
 ブゲッ!と言う声がしたがそこまでの決定打にはならなかった
 すかさず堺は横向きに寝ているゴブリンの上に覆い被さる
 ゴブリンの体制を後ろに向け、右腕で頭を地面に押し付ける形で馬乗りに状態になった
 拘束を押しのけるようにバタバタと逃げようとするが、堺が体重をかけているため全く逃げれられない
 無防備になったゴブリンの後頭部を右手で押さえつつ、無我夢中に左手で殴り続けた
 顔や耳、背中、殴れる場所はとにかく殴り続けた
 油粘土のような感触が腕に伝わる
「オラ!オラ!オラァ!オラアア!!!」
 堺は無意識に叫んでいた、それほどまでに闘争心が高まっているのだ
 ゴブリンの抵抗は殴り続ける拳の回数が多くなればなるほど弱まっていった
 次第に動きは止まり、体の外側からだんだんと灰のようになって消えていく
 新たな攻撃かと思い、転げるようにその場から離れた
 しかし、だんだんと消えていく姿から死を感じ、堺は勝利を確信した
 この上ない達成感に雄叫びを上げる
「やった!やってやったぞ!!!俺はやったんだぁ!!」
 勝利の気持ちよさに浸りつつ、だんだんと我にかえっていく
 改めてゴブリンの死体を見てみると、完全に消えている
 ゴブリンの死体があった場所に光り輝く物があることを確認する
「玉???」
 光り輝く玉を見つける、堺はそれを手にとって眺める
「うぉ!光ってる!!卓球の玉くらいか?それにしても綺麗だなぁ、、」
 その玉は透明で玉の中に青白く燃えている炎のようなものが浮いていた
 思いっきり振っても角度を変えても炎の位置は同じだった
「これは激レアアイテムに違いないぞ!やった!やってやったんだ!!」
 声がこだまして何処かへ飛んでいく、自分の声が森を響かせている感覚はその空間を支配しているようで気持ちが良かった
 森の木々が風によって揺れる音がなんとも心地よい
 ガサガサッ!ガサッ!
「!!??」
 草木をかき分けて何がこちらに向かってくる
 ガサッガサッという音はだんだん堺との間合いをつめてくる
 急いで今持っている玉をズボンのポッケに入れた
 すかさず足元に落ちていた木の棒を持って戦闘に備えようとするが、「痛っ!」
 先ほど引っかかれた左腕がズキズキと痛み続ける
 しかも、拳はゴブリンを殴り続けために、血まみれになっていた
「い、いってぇ、なぁ、、」
 仕方なく負傷していない右腕で木の棒を持ち、戦いに備える
 ガサガサ、ガサッ!
 ガサッパキッ!
 「2人!?」
 音が左右から聞こえだす、流石にまずいと思いこの場から逃げ出そうと後ろを向くと、こちらに勢いよく向かってくる3体のゴブリンを見つけた
「う、うぁ!!」
 木の棒を放り投げ、無我夢中で逃げ出す
 疲労もあり、その場にこけてしまった
 急いで四足歩行で逃げようもがくが、途端に木々や林の後ろから6体のゴブリンが一斉に現れ、一瞬で周りを囲まれてしまう
「た助けて、助けて、ごめんなさい、、」
 堺は頭を抱えて戦意喪失してしまう
 
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