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ハワイでの挙式
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有紀
6月12日
昨日、ハワイに到着して、今日は挙式の日。
フレンチスリーブのシンプルなデザインのウエディングドレス。
メイクされ、アップしてもらった髪に、床まで届く長いヴェールとティアラをつけて、鏡の前に立つ。
この日のためにかなり痩せて、自分でもうっとりするくらいよく似合っていると思う。
遼介は気に入ってくれるかな。
レースの白い手袋をはめ、ブーケを持った。
挙式の時間になって、遼介が控え室へ迎えに来た。
「ゆ、有紀!」
ポカンと口を開けて、わたしを見つめる遼介を見て嬉しくなる。
「ふふっ、どう? 綺麗?」
「す、すごく、綺麗だな。びっくりした」
嬉しそうに照れてる遼介は、ここの式場のモデルになってもいいくらいタキシードがよく似合っていた。
通訳の女性に案内されて、チャペルへ向かう。
ビーチの見えるチャペルの壇の前で牧師さんが待っていた。
パイプオルガンのウエディング曲が流れ、バージンロードをゆっくりと歩く。
二人で祭壇の前に立つ。
牧師が英語で誓いの言葉を述べた。
通訳が、病める時も健やかなる時も・・・愛を誓いますかと、定番の言葉を告げる。
「YES」
と誓って用意された指輪をはめ合う。
誓いの口づけをと言われて、遼介がヴェールをあげた。
緊張して固まっている遼介の顔がひどく可笑しい。
こんな場面で絶対に笑うものかと、堪えれば堪えるほど可笑しさがこみ上げてくる。
笑っちゃダメ、絶対にダメ、ダメッ!
唇がふれそうになる寸前に、堪えきれず吹き出してしまう。
「ぶっ、うはは、アハハハハーッ、アーハハハ、、、」
笑い出したら止まらなくなり、涙まで出てくる。どうして私って真面目なときにはいつもこうなっちゃうのって、笑いが止まらないのに少し悲しかった。
「ゆ、有紀・・・」
遼介がバツの悪い困った顔で、牧師さんに頭を下げていた。
遼介
7月3日
先月末、札幌の某ホテルにて披露宴をすませた。
横田たちが随分と頑張ってくれて、余興の方も盛り上がっていたし、二人の幼少の頃からのムービー上映も懐かしく楽しいものだった。
ハワイの挙式では笑い転げていた有紀も、両親への手紙の朗読と花束贈呈では涙していた。
バタバタとした新婚生活も、この頃やっと落ち着いて、普通の日常になって来たという感じだ。
いつも有紀がそばにいてくれることが本当に嬉しい。この気持ちは新婚じゃなくなっても変わらないような気がする。
俺たちきっと生まれる前からこうなる運命だったんだよな。
有紀、俺だけの有紀。
ーー 俺、ずっと、これからもずっと、おまえだけを愛するよ。
8月22日
有紀のダイエットはまだ続いていて、朝ごはんはちゃんと用意してくれるけど、食べるのは俺だけだ。
別に太っても俺の気持ちはもう変わらないと思うけど。
まぁ、太り過ぎは身体に良くないから、いつまでも健康でいて欲しい。そして、俺よりは少し長生きしてくれ。
早く、二人の子どもが欲しいな。
有紀
9月7日
今日は日曜日で、珍しくふたり一緒の休日。
なので朝はゆっくりでいいのだけれど、ダラダラと長く寝ていられないタイプ。
時計を見ると、もうすぐ七時だ。
隣でまだ寝息をたてている遼介を起こさないようにそっと起きる。
まだ9月になったばかりだけれど、朝晩は少し肌寒い。Tシャツと短パンの部屋着を着て、パーカーを羽織った。
ベッドの脇に遼介が脱ぎ捨てたトランクスが落ちていた。
クスッと笑ってそれを拾い、パーカーのポケットに押し込む。
遼介も目を覚まし、両腕を上げて伸びをした。
「あ~ よく寝たな。おはよう!」
「おはよう! 今日はすごくいい天気だよ~ どこかに出かけようよ、お弁当作るから」
「弁当作ってくれるなら行ってもいいな。どこに行きたい?」
「どこでもいいの。せっかく天気がいいんだもん、家にいたらもったいないでしょ。海でも山でも、近くの公園でもいいよ」
「それだと気楽だな。あれっ? 俺、パンツどこへ脱いだかな?」
遼介が肌掛け布団をパタパタとまくって脱いだパンツを探している。
「ねぇ、俺のパンツ知らない?」
「知らないよぉ~ ベッドの下に落っこちてるんじゃない?」
遼介がベッドから出られず、キョロキョロとベッド下を覗いたりしている。
その様子がおかしくて、クスクスと笑った。
「本当に知らない?」
遼介が疑いのまなざしで見つめた。
「知らないってば、そんなの。私が脱がせたわけでもないのに」
また肌掛け布団をまくりあげて探す。
「ククッ、クスクスッ、、」
可笑しすぎて、思わず失笑がもれた。
「本当に知らないんだろうな、」
とうとう犯人と見破られたようなので、仕方なくポケットからパンツを出す。
「うふっ、もしかして、これのこと?」
遼介にヒラヒラさせながらパンツを渡した。
「やったな、おまえ、絶対に許さん!」
手首をつかまれ、ベッドへ引きずり込まれた。
「きゃあー、わぁ~っ!! ごめーん、」
6月12日
昨日、ハワイに到着して、今日は挙式の日。
フレンチスリーブのシンプルなデザインのウエディングドレス。
メイクされ、アップしてもらった髪に、床まで届く長いヴェールとティアラをつけて、鏡の前に立つ。
この日のためにかなり痩せて、自分でもうっとりするくらいよく似合っていると思う。
遼介は気に入ってくれるかな。
レースの白い手袋をはめ、ブーケを持った。
挙式の時間になって、遼介が控え室へ迎えに来た。
「ゆ、有紀!」
ポカンと口を開けて、わたしを見つめる遼介を見て嬉しくなる。
「ふふっ、どう? 綺麗?」
「す、すごく、綺麗だな。びっくりした」
嬉しそうに照れてる遼介は、ここの式場のモデルになってもいいくらいタキシードがよく似合っていた。
通訳の女性に案内されて、チャペルへ向かう。
ビーチの見えるチャペルの壇の前で牧師さんが待っていた。
パイプオルガンのウエディング曲が流れ、バージンロードをゆっくりと歩く。
二人で祭壇の前に立つ。
牧師が英語で誓いの言葉を述べた。
通訳が、病める時も健やかなる時も・・・愛を誓いますかと、定番の言葉を告げる。
「YES」
と誓って用意された指輪をはめ合う。
誓いの口づけをと言われて、遼介がヴェールをあげた。
緊張して固まっている遼介の顔がひどく可笑しい。
こんな場面で絶対に笑うものかと、堪えれば堪えるほど可笑しさがこみ上げてくる。
笑っちゃダメ、絶対にダメ、ダメッ!
唇がふれそうになる寸前に、堪えきれず吹き出してしまう。
「ぶっ、うはは、アハハハハーッ、アーハハハ、、、」
笑い出したら止まらなくなり、涙まで出てくる。どうして私って真面目なときにはいつもこうなっちゃうのって、笑いが止まらないのに少し悲しかった。
「ゆ、有紀・・・」
遼介がバツの悪い困った顔で、牧師さんに頭を下げていた。
遼介
7月3日
先月末、札幌の某ホテルにて披露宴をすませた。
横田たちが随分と頑張ってくれて、余興の方も盛り上がっていたし、二人の幼少の頃からのムービー上映も懐かしく楽しいものだった。
ハワイの挙式では笑い転げていた有紀も、両親への手紙の朗読と花束贈呈では涙していた。
バタバタとした新婚生活も、この頃やっと落ち着いて、普通の日常になって来たという感じだ。
いつも有紀がそばにいてくれることが本当に嬉しい。この気持ちは新婚じゃなくなっても変わらないような気がする。
俺たちきっと生まれる前からこうなる運命だったんだよな。
有紀、俺だけの有紀。
ーー 俺、ずっと、これからもずっと、おまえだけを愛するよ。
8月22日
有紀のダイエットはまだ続いていて、朝ごはんはちゃんと用意してくれるけど、食べるのは俺だけだ。
別に太っても俺の気持ちはもう変わらないと思うけど。
まぁ、太り過ぎは身体に良くないから、いつまでも健康でいて欲しい。そして、俺よりは少し長生きしてくれ。
早く、二人の子どもが欲しいな。
有紀
9月7日
今日は日曜日で、珍しくふたり一緒の休日。
なので朝はゆっくりでいいのだけれど、ダラダラと長く寝ていられないタイプ。
時計を見ると、もうすぐ七時だ。
隣でまだ寝息をたてている遼介を起こさないようにそっと起きる。
まだ9月になったばかりだけれど、朝晩は少し肌寒い。Tシャツと短パンの部屋着を着て、パーカーを羽織った。
ベッドの脇に遼介が脱ぎ捨てたトランクスが落ちていた。
クスッと笑ってそれを拾い、パーカーのポケットに押し込む。
遼介も目を覚まし、両腕を上げて伸びをした。
「あ~ よく寝たな。おはよう!」
「おはよう! 今日はすごくいい天気だよ~ どこかに出かけようよ、お弁当作るから」
「弁当作ってくれるなら行ってもいいな。どこに行きたい?」
「どこでもいいの。せっかく天気がいいんだもん、家にいたらもったいないでしょ。海でも山でも、近くの公園でもいいよ」
「それだと気楽だな。あれっ? 俺、パンツどこへ脱いだかな?」
遼介が肌掛け布団をパタパタとまくって脱いだパンツを探している。
「ねぇ、俺のパンツ知らない?」
「知らないよぉ~ ベッドの下に落っこちてるんじゃない?」
遼介がベッドから出られず、キョロキョロとベッド下を覗いたりしている。
その様子がおかしくて、クスクスと笑った。
「本当に知らない?」
遼介が疑いのまなざしで見つめた。
「知らないってば、そんなの。私が脱がせたわけでもないのに」
また肌掛け布団をまくりあげて探す。
「ククッ、クスクスッ、、」
可笑しすぎて、思わず失笑がもれた。
「本当に知らないんだろうな、」
とうとう犯人と見破られたようなので、仕方なくポケットからパンツを出す。
「うふっ、もしかして、これのこと?」
遼介にヒラヒラさせながらパンツを渡した。
「やったな、おまえ、絶対に許さん!」
手首をつかまれ、ベッドへ引きずり込まれた。
「きゃあー、わぁ~っ!! ごめーん、」
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