六華 snow crystal 2

なごみ

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過去の恋愛遍歴

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12月31日  雪


 俺は毎日でも彩矢ちゃんと会っていたいけれど、彩矢ちゃんはそうでもないらしい。その辺がまだ俺の片思いだよなと思い、寂しい気持ちになる。


初詣に誘ったけれど、人混みにはあまり行きたくないの、と言われた。


別に初詣でなくても、アパートでイチャイチャ出来たらそれが一番楽しいけれど、それだけが目的で誘っているように思われるのも嫌で、言葉につまる。


結局次のデートは、室蘭の両親に紹介するために、以前から約束していた1月3日になった。


ざんねん・・・。





恋愛経験は豊富とは言えないけれど、いつも夢中になるのは女の子の方だった。


それこそ、毎日でも逢いたがって辟易させられた。



バレンタインデーには小学生の頃からチョコレートをたくさんもらったけれど、とても迷惑だった。


まず、他の男子から妬まれる。


男の嫉妬というのはかなり陰険なのだ。


それにもっと嫌なのはホワイトデーのお返しだ。


欲しくもないチョコを無理矢理わたしておいて、それでもお返しは当然もらえるものと期待しているのだ。


面倒で煩わしい事この上なく、中学からは一切もらわない事にした。


思春期特有の照れなども重なり、女の子には常にそっけない態度で過ごした。


だからか中学の時はホモとかゲイと噂されていた。


高2の秋に違うクラスのよく知らない子に、猛烈にアタックされた。


ホモではないので女の子に当然興味があった。まぁ、いいかと思って付き合い始めた。


見た目はきれいな子だったけれど、付き合っていくうちに、男関係にかなりだらしがない女であることがわかった。


 別れ話をした途端、逆上され、執拗に待ち伏せされたり、深夜に無言電話をかけられたりした。


挙句の果てに強姦されたと騒ぎ出し、担任から呼び出しを食らった。


「強姦なんかじゃありません! 」


付き合ってニ週間目に彼女の家に呼ばれた。家には誰もいなくて、彼女の部屋でキスをしていたら、服を脱いだ彼女からコンドームを渡された。


あの状況で拒める17歳の男子はあまりいないだろう。その後も誘われて、三度ほど行った。


そう説明しようとしたのに、担任は何も聞こうとせずにこう言った。


「言い訳はいい。したのか、しなかったのか、どっちだ!」


「・・・しました」


 結局、苦労して入った進学校を自主退学させられた。


外に出られなくなり、しばらくの間、引きこもり状態になった





次に彼女が出来たのは、21歳の時。


同じ医療系の大学で知り合った、明るくて優しいお茶目な女の子だった。ひとつ年下のこの子とは卒業後も1年続いた。


アパートの鍵を渡してから、毎日入り浸るようになり、自分の時間がなくなった。


よく話し合って、週に2~3度にしてくれるように頼んだけれど、毎日一緒にいないと安心できないと言って泣かれた。


仕事で帰宅が遅かったり、緊急で夜出かけることも多い放射線技師の仕事を理解しているにもかかわらず、異常なほど嫉妬深くなった。


日記から手帳、携帯まで全てをチェックするようになった。


 簡単に別れられるとは思ってなかったけれど、案の定、リストカットなどをして涙ながらに自殺をほのめかされた。


彼女の実家の両親まで駆けつけ、責任を取れ!  などと言う、大騒ぎにまでなった。


もう彼女の気のすむように結婚しようと決めた。そうすると憑き物が落ちたかのように、もう疲れたから別れると言う。意味がわからない。


要するにフラれて別れることが嫌だったのかもしれない。


 付き合うことは簡単でも別れることの難しさを嫌というほど味あわされて、少し女性恐怖症になっていた節もあったと思う。


その後も時々女の子から熱い視線を送られたり、LINEの交換を申し込まれたりもしたけれど、中々踏み切れずに今まで過ごして来た。


彼女がいないことにすっかり慣れてしまって、それはそれで自由で気楽ではあったけれど。


いつしか積極的な女の子より、控えめな女の子に目がいくようになっていた。


彩矢ちゃんは控えめ過ぎて、俺のほうが寂しいくらいなんだけれど、かつて俺が女の子たちに感じていたように鬱陶しく思われるのも嫌なので我慢する。


それともまだ、松田先生のことが忘れられないのだろうか?  


これは怖くてとても聞くことができない。














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