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最悪な出来事
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そんな、そんなのあんまりだ……。
全身から力が抜けて、絶望的な気持ちになる。こんなことってあり?
悲しすぎて涙もでなかった。
フレアースカートの下にはいているタイツがおろされそうになり、思いっきり修二さんを突き飛ばした。
ひるんだ隙に、二階へ駆けあがった。
誰の部屋か知らないけれど、ドアを開けてウォーキングクローゼットの中へ逃げ込む。
西区で暮らしているお兄様のお部屋なのかも知れない。
ハンガーにぶら下げられたスーツやコートがたくさん掛けられていた。バーバリーのコートの陰にそっと隠れた。
修二さんが階段を上がってくる音が聞こえる。あまりの恐怖に震えが止まらない。
歯がガチガチと音を立てて鳴った。
どんなに怖いホラーだってこれよりはマシだ。こんなリアルな恐怖体験を自分がするなど思ってもみなかった。
なぜ二階へなど逃げてしまったのだろう。裸足でもいいから、外へ逃げ出すべきだったと悔やむ。
二階の部屋のドアを開け閉めする音がして、修二さんの呼ぶ声が聞こえた。
「有紀ちゃーん、どこにいるんだい?」
……嫌だ、助けて、誰か早く帰ってきて!
私のいる部屋のドアが開けられた。
流れる涙を拭うことも出来ずに、息を殺す。
「有紀ちゃん、いるんだろ? フフッ、かくれんぼも楽しいけどね。見つからないうちに出てきなよ」
クローゼットのドアがガチャリと開けられた。
助けて、だれか、だれか、お願い!
「ぷっ、かわいいあんよが見えてるよ。有紀ちゃん、みーっけ!」
ハンガーに掛けられたバーバリーのコートがサッとよけられ、笑っている修二さんが立っていた。
「キャアーーーー!!」
全身からありったけの声がほとばしり出た。
「まったく、なんて声を出すんだよ! 早く出ろっ」
腕をつかまれ引っ張り出される。シーツが敷かれていないむき出しのベッドへ押し倒された。
「やめて、やめてよー! あっちへ行ってったら!」
泣きながら激しく抵抗し、振りまわした私の手が修二さんの頰に強く当たった。
「痛っ、」
口もとを手で押さえた修二さんから笑顔が消えた。
おびえてガタガタ震えていた私のほおに、修二さんの強烈なパンチが飛んで来た。
目から火が出て、味わったことのない激痛に心が萎えた。
「ジッとしてろっ! 不二子のようになりたいか?」
抵抗したくても、恐怖で腰が抜けたようになり、もうどこにも力は入らなかった。
こ、殺される。これが、これが本当に修二さん……。
全身から力が抜けて、絶望的な気持ちになる。こんなことってあり?
悲しすぎて涙もでなかった。
フレアースカートの下にはいているタイツがおろされそうになり、思いっきり修二さんを突き飛ばした。
ひるんだ隙に、二階へ駆けあがった。
誰の部屋か知らないけれど、ドアを開けてウォーキングクローゼットの中へ逃げ込む。
西区で暮らしているお兄様のお部屋なのかも知れない。
ハンガーにぶら下げられたスーツやコートがたくさん掛けられていた。バーバリーのコートの陰にそっと隠れた。
修二さんが階段を上がってくる音が聞こえる。あまりの恐怖に震えが止まらない。
歯がガチガチと音を立てて鳴った。
どんなに怖いホラーだってこれよりはマシだ。こんなリアルな恐怖体験を自分がするなど思ってもみなかった。
なぜ二階へなど逃げてしまったのだろう。裸足でもいいから、外へ逃げ出すべきだったと悔やむ。
二階の部屋のドアを開け閉めする音がして、修二さんの呼ぶ声が聞こえた。
「有紀ちゃーん、どこにいるんだい?」
……嫌だ、助けて、誰か早く帰ってきて!
私のいる部屋のドアが開けられた。
流れる涙を拭うことも出来ずに、息を殺す。
「有紀ちゃん、いるんだろ? フフッ、かくれんぼも楽しいけどね。見つからないうちに出てきなよ」
クローゼットのドアがガチャリと開けられた。
助けて、だれか、だれか、お願い!
「ぷっ、かわいいあんよが見えてるよ。有紀ちゃん、みーっけ!」
ハンガーに掛けられたバーバリーのコートがサッとよけられ、笑っている修二さんが立っていた。
「キャアーーーー!!」
全身からありったけの声がほとばしり出た。
「まったく、なんて声を出すんだよ! 早く出ろっ」
腕をつかまれ引っ張り出される。シーツが敷かれていないむき出しのベッドへ押し倒された。
「やめて、やめてよー! あっちへ行ってったら!」
泣きながら激しく抵抗し、振りまわした私の手が修二さんの頰に強く当たった。
「痛っ、」
口もとを手で押さえた修二さんから笑顔が消えた。
おびえてガタガタ震えていた私のほおに、修二さんの強烈なパンチが飛んで来た。
目から火が出て、味わったことのない激痛に心が萎えた。
「ジッとしてろっ! 不二子のようになりたいか?」
抵抗したくても、恐怖で腰が抜けたようになり、もうどこにも力は入らなかった。
こ、殺される。これが、これが本当に修二さん……。
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