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哀しい決断
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さっきまで、頭上でまわっているオルゴールメリーを見つめながら、キャッキャと笑っていた悠李が、いつの間にか寝息を立てていた。
昼食後、有紀から届いたLINEの内容を思い出して、 なんと返事をするべきか思い悩む。
『彩矢にどうしても聞きたいことがあります。有紀には関係ないって言われそうだけれど、聞かないことにはどうしても決められないのです。赤ちゃんは佐野さんの子じゃないんでしょうか? 佐野さんは彩矢に「一年待って欲しい」と言われたからと、ずっと待っているんです。でも最近は離婚しないんだから、やっぱり松田先生の子だったんだろうと言っています。本当にそうなのかな?
彩矢、私、佐野さんのこと好きになっても
いいですか?
もし佐野さんの子だと言うのなら諦めます。
彩矢がそのうち佐野さんのところへ戻ってくるつもりがあるのなら、遠慮しないで戻って来ればいいと思います。佐野さんは今も待っているから。でも、もし松田先生の子なら、はっきり教えて欲しいのです。返事待ってます』
遼くん……。
ごめんなさい。
涙が止めどなく流れては落ちた。
あの暖かな胸に飛びこんでいけたなら。ふたりで悠李を育てられたなら、どんなに安心で幸せなことだろう。
シングルマザーの道を選ばなかったツケは、思いのほか大きいものになってしまった。
戻りたい……遼くんのところへ。
『そうだったんだ。有紀と佐野さんならお似合いのカップルだと思ってたよ。早く知らせなくてごめんね。先生の子でした。まさか佐野さんが待ってたなんて思いもしなかったから。本当にごめんなさい』
文章を打ち込んでも、送信することがためらわれた。
本当に後悔しないだろうか?
悠李の人生にも関わることなのに……。
でも、いつまでも佐野さんと有紀を待たせておくわけにはいかない。
それに潤一は絶対に許してはくれないだろう。
確かに佐野さんのところへ行くことは裏切りだと自分でも思う。
……震える手で送信を押した。
送信してしまってから、取り返しのつかない事をしたような思いにとらわれ、家事もなにもする気になれないまま夜になった。
潤一が午後七時過ぎに帰ってきて、食事の用意ができてないことに気づいた。
慌ててキッチンで冷蔵庫を開け閉めしながら、仕方がないので目玉焼きでも作ろうとあたふたしていたら、
「いつまでたっても要領のわるい奴だな。もういいよ!」
ムッとした顔で冷蔵庫から、パンとビールとスモークチーズを勝手に取りだし、テーブルへ運んだ。
せっかく早く帰ってきたのに、夕食の用意をしてなかった引け目から、離婚話もできなくなってしまった。
さっきまで機嫌良くしていた悠李が、ひとりぼっちにされていたせいか泣き出した。
「ふぇ、ふぇっ、ふぎゃ、ふぎゃあ~ ふぎゃあ~!」
「うるっせえな~ 静かにさせろっ!!」
やっぱり送信しなければ良かったと思い、涙が出てきた。
昼食後、有紀から届いたLINEの内容を思い出して、 なんと返事をするべきか思い悩む。
『彩矢にどうしても聞きたいことがあります。有紀には関係ないって言われそうだけれど、聞かないことにはどうしても決められないのです。赤ちゃんは佐野さんの子じゃないんでしょうか? 佐野さんは彩矢に「一年待って欲しい」と言われたからと、ずっと待っているんです。でも最近は離婚しないんだから、やっぱり松田先生の子だったんだろうと言っています。本当にそうなのかな?
彩矢、私、佐野さんのこと好きになっても
いいですか?
もし佐野さんの子だと言うのなら諦めます。
彩矢がそのうち佐野さんのところへ戻ってくるつもりがあるのなら、遠慮しないで戻って来ればいいと思います。佐野さんは今も待っているから。でも、もし松田先生の子なら、はっきり教えて欲しいのです。返事待ってます』
遼くん……。
ごめんなさい。
涙が止めどなく流れては落ちた。
あの暖かな胸に飛びこんでいけたなら。ふたりで悠李を育てられたなら、どんなに安心で幸せなことだろう。
シングルマザーの道を選ばなかったツケは、思いのほか大きいものになってしまった。
戻りたい……遼くんのところへ。
『そうだったんだ。有紀と佐野さんならお似合いのカップルだと思ってたよ。早く知らせなくてごめんね。先生の子でした。まさか佐野さんが待ってたなんて思いもしなかったから。本当にごめんなさい』
文章を打ち込んでも、送信することがためらわれた。
本当に後悔しないだろうか?
悠李の人生にも関わることなのに……。
でも、いつまでも佐野さんと有紀を待たせておくわけにはいかない。
それに潤一は絶対に許してはくれないだろう。
確かに佐野さんのところへ行くことは裏切りだと自分でも思う。
……震える手で送信を押した。
送信してしまってから、取り返しのつかない事をしたような思いにとらわれ、家事もなにもする気になれないまま夜になった。
潤一が午後七時過ぎに帰ってきて、食事の用意ができてないことに気づいた。
慌ててキッチンで冷蔵庫を開け閉めしながら、仕方がないので目玉焼きでも作ろうとあたふたしていたら、
「いつまでたっても要領のわるい奴だな。もういいよ!」
ムッとした顔で冷蔵庫から、パンとビールとスモークチーズを勝手に取りだし、テーブルへ運んだ。
せっかく早く帰ってきたのに、夕食の用意をしてなかった引け目から、離婚話もできなくなってしまった。
さっきまで機嫌良くしていた悠李が、ひとりぼっちにされていたせいか泣き出した。
「ふぇ、ふぇっ、ふぎゃ、ふぎゃあ~ ふぎゃあ~!」
「うるっせえな~ 静かにさせろっ!!」
やっぱり送信しなければ良かったと思い、涙が出てきた。
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