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新人の夢奈
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北海道の夏はあっという間に終わる。
お盆を過ぎるともう、朝晩は肌寒い風が吹く。
明日からはもう九月だ。
先生との逢瀬はだいたい七~十日に一度のペースで続いていた。
こんな関係に早く終止符を打ちたい気持ちとは裏腹に、逢える日がとても待ち遠しい。
有紀は少し口をきいてくれるようになったものの、莉子ちゃんは相変わらず無視のままだ。
莉子ちゃんに理由を聞いてみたくても、話しかけないでと言う無言のオーラを感じて、そばに行くことさえ難しかった。
彩矢と先生との関係を知っているのは、佐野さんだけなはずだ。
佐野さんが誰かに言いふらしたりするはずはない。
莉子ちゃんは本当に何を怒っているのだろう。
最近の先生のお気に入りは、この春から看護師になったばかりの中村夢菜だ。
いつもナースステーションで小学生のようにふざけあっている。
夢菜はケラケラとよく笑う明るい性格で、何事にも物怖じしない気の強さを持っている。
先生にもタメ口で失礼なことだって平気で言っている。
夢菜に小さな嫉妬を感じてはいるものの、あたりをはばからずにイチャイチャ出来るふたりは、一線を越えるような仲であろうはずがない。
ふざけあっているただの友達のようにしか感じられなかった。
今日、そんな夢菜のようすが変わったように感じた。
あきらかに沈んでいていて、いつもの夢菜らしくなかった。
ぼんやりと物憂げな表情をして、仕事に集中できていないことがあきらかだった。
まるで二ヶ月前の自分のようである。
とても嫌な予感がした。
なにより驚いたのは先生がナースステーションに入ってきたときの夢菜の反応だ。
そわそわとした不自然な行動と、視線の定まらない動揺が見てとれた。
「夢菜ちゃん、どうしたの? 今日はなんか元気がないようだけど」
山内主任まで気がついてそう言った。
「あ、…ちょっと、母方の祖父の具合が良くなくて」
うろたえたように伏し目がちに答えた。
「あら、そうだったの。それは心配ね、早く良くなるといいわね」
本当の話だろうか?
身内に具合の悪い人がいれば、気持ちが沈んで当然だけれど。
先生の方はいつもと特に変わったようすは見られない。でも、いつものように夢菜にちょっかいを出したり、ふざけたりはしていない。
なので今日は一日中、夢菜と先生のようすが気になって仕方がなかった。
自分の思い過ごしであってくれることを願いながら。
お盆を過ぎるともう、朝晩は肌寒い風が吹く。
明日からはもう九月だ。
先生との逢瀬はだいたい七~十日に一度のペースで続いていた。
こんな関係に早く終止符を打ちたい気持ちとは裏腹に、逢える日がとても待ち遠しい。
有紀は少し口をきいてくれるようになったものの、莉子ちゃんは相変わらず無視のままだ。
莉子ちゃんに理由を聞いてみたくても、話しかけないでと言う無言のオーラを感じて、そばに行くことさえ難しかった。
彩矢と先生との関係を知っているのは、佐野さんだけなはずだ。
佐野さんが誰かに言いふらしたりするはずはない。
莉子ちゃんは本当に何を怒っているのだろう。
最近の先生のお気に入りは、この春から看護師になったばかりの中村夢菜だ。
いつもナースステーションで小学生のようにふざけあっている。
夢菜はケラケラとよく笑う明るい性格で、何事にも物怖じしない気の強さを持っている。
先生にもタメ口で失礼なことだって平気で言っている。
夢菜に小さな嫉妬を感じてはいるものの、あたりをはばからずにイチャイチャ出来るふたりは、一線を越えるような仲であろうはずがない。
ふざけあっているただの友達のようにしか感じられなかった。
今日、そんな夢菜のようすが変わったように感じた。
あきらかに沈んでいていて、いつもの夢菜らしくなかった。
ぼんやりと物憂げな表情をして、仕事に集中できていないことがあきらかだった。
まるで二ヶ月前の自分のようである。
とても嫌な予感がした。
なにより驚いたのは先生がナースステーションに入ってきたときの夢菜の反応だ。
そわそわとした不自然な行動と、視線の定まらない動揺が見てとれた。
「夢菜ちゃん、どうしたの? 今日はなんか元気がないようだけど」
山内主任まで気がついてそう言った。
「あ、…ちょっと、母方の祖父の具合が良くなくて」
うろたえたように伏し目がちに答えた。
「あら、そうだったの。それは心配ね、早く良くなるといいわね」
本当の話だろうか?
身内に具合の悪い人がいれば、気持ちが沈んで当然だけれど。
先生の方はいつもと特に変わったようすは見られない。でも、いつものように夢菜にちょっかいを出したり、ふざけたりはしていない。
なので今日は一日中、夢菜と先生のようすが気になって仕方がなかった。
自分の思い過ごしであってくれることを願いながら。
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