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ひと夏の恋の終わり
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「美姫ちゃん、どうしたの? ため息なんかついちゃって」
美姫にそう尋ねたけれど、答えは聞かずとも想像がつく。
そう、美姫は松岡くんに飽きられてしまったのだろう。
そりゃ、そうだ。
どんなに美姫が可愛かろうと、松岡くんがいつまでも、おバカな美姫の相手などして満足なわけがない。ましてや彼は受験生なのだから。
「早希ちゃん、わたしね、駿くんとお別れすることにした」
そう言って瞬きした美姫の潤んだ瞳から涙がこぼれ落ちた。
「美姫ちゃん・・・。あんなに仲よかったのになにがあったの?」
一応、理由を尋ねる。
「うん、、美姫ね、駿くんのこと本当はまだ好き。でもね、美姫と駿くんじゃ、やっぱり合わないの」
美姫はそう言って大粒の涙をポタポタとこぼした。
さすがにここまで落ち込んでいる姿を見せられると、同情を禁じ得なかった。
「そっか、駿くんは受験生だしね、仕方ないよ。美姫ちゃんモテるんだし、彼氏なんてまたすぐに出来るからさ。泣かないで」
「そうだよね。駿くんは受験生だもんね。美姫と遊んでる場合じゃないね。早希ちゃん、ありがとう」
美姫のひと夏の恋の終わりは、わたしの片思いの終わりでもあった。
もう松岡くんとは、偶然以外に会うこともないであろう。
そう思っていたけれど。
夕ご飯を食べ終えて、自室で読みかけのミステリーを読んでいたら、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。
母の「はーい!」と言う声と、玄関に向かうパタパタ鳴るスリッパの音が響いた。
「あら、駿くん、いらっしゃい。どうぞ、あがって! 美姫ちゃ~ん、 駿くんよ~!」
階下から母の呼ぶ声がした。
美姫にそう尋ねたけれど、答えは聞かずとも想像がつく。
そう、美姫は松岡くんに飽きられてしまったのだろう。
そりゃ、そうだ。
どんなに美姫が可愛かろうと、松岡くんがいつまでも、おバカな美姫の相手などして満足なわけがない。ましてや彼は受験生なのだから。
「早希ちゃん、わたしね、駿くんとお別れすることにした」
そう言って瞬きした美姫の潤んだ瞳から涙がこぼれ落ちた。
「美姫ちゃん・・・。あんなに仲よかったのになにがあったの?」
一応、理由を尋ねる。
「うん、、美姫ね、駿くんのこと本当はまだ好き。でもね、美姫と駿くんじゃ、やっぱり合わないの」
美姫はそう言って大粒の涙をポタポタとこぼした。
さすがにここまで落ち込んでいる姿を見せられると、同情を禁じ得なかった。
「そっか、駿くんは受験生だしね、仕方ないよ。美姫ちゃんモテるんだし、彼氏なんてまたすぐに出来るからさ。泣かないで」
「そうだよね。駿くんは受験生だもんね。美姫と遊んでる場合じゃないね。早希ちゃん、ありがとう」
美姫のひと夏の恋の終わりは、わたしの片思いの終わりでもあった。
もう松岡くんとは、偶然以外に会うこともないであろう。
そう思っていたけれど。
夕ご飯を食べ終えて、自室で読みかけのミステリーを読んでいたら、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。
母の「はーい!」と言う声と、玄関に向かうパタパタ鳴るスリッパの音が響いた。
「あら、駿くん、いらっしゃい。どうぞ、あがって! 美姫ちゃ~ん、 駿くんよ~!」
階下から母の呼ぶ声がした。
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