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D r 高木との面会
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月に一度、瑠奈と一緒に高木レディースクリニックを訪れる。
高木はバイオリニストの娘の成長が見たいのだ。
そんな彼の要求くらいは叶えてあげても良いと思った。
しかも瑠奈のために、多額のお金まで振り込んでくれる。
無理を言って里親になってもらったお礼だという。
流行りのクリニックだから、わたしたち庶民とは金銭感覚も違うのだろう。
瑠奈のために使うお金なのだから、遠慮なく頂くことにした。
「センセイ、こんにちは!」
今年四十五歳になるという高木の髪に、少し白髪が混じっていた。
「やあ、瑠奈ちゃん、いつも会いに来てくれてありがとう。 なんだか今日は一段と可愛く見えるなぁ」
瑠奈は発表会用のゴージャスなドレスを着ていた。
「幼稚園のお遊戯会で着るの。瑠奈に似合う?」
瑠奈はフレアースカートの端をつまんでくるりとまわり、ポーズを決めた。
「ハハハッ、まるで女優だなぁ。瑠奈ちゃんはママに似て美人だから、何を着ても可愛いよ」
「わーい! 瑠奈、センセイのこと大好き!」
乳児の頃からすでに慣れ親しんでいる瑠奈は、高木の膝にちょこんと座った。
「いいよなぁ、娘は。うちにはドラ息子が一人だけだからつまらないな」
膝に座っている瑠奈をギュッと抱きしめている高木を見て、少し不安がよぎった。
やっぱり瑠奈が欲しいなどと言い出しはしないかと。
高木はバイオリニストの娘の成長が見たいのだ。
そんな彼の要求くらいは叶えてあげても良いと思った。
しかも瑠奈のために、多額のお金まで振り込んでくれる。
無理を言って里親になってもらったお礼だという。
流行りのクリニックだから、わたしたち庶民とは金銭感覚も違うのだろう。
瑠奈のために使うお金なのだから、遠慮なく頂くことにした。
「センセイ、こんにちは!」
今年四十五歳になるという高木の髪に、少し白髪が混じっていた。
「やあ、瑠奈ちゃん、いつも会いに来てくれてありがとう。 なんだか今日は一段と可愛く見えるなぁ」
瑠奈は発表会用のゴージャスなドレスを着ていた。
「幼稚園のお遊戯会で着るの。瑠奈に似合う?」
瑠奈はフレアースカートの端をつまんでくるりとまわり、ポーズを決めた。
「ハハハッ、まるで女優だなぁ。瑠奈ちゃんはママに似て美人だから、何を着ても可愛いよ」
「わーい! 瑠奈、センセイのこと大好き!」
乳児の頃からすでに慣れ親しんでいる瑠奈は、高木の膝にちょこんと座った。
「いいよなぁ、娘は。うちにはドラ息子が一人だけだからつまらないな」
膝に座っている瑠奈をギュッと抱きしめている高木を見て、少し不安がよぎった。
やっぱり瑠奈が欲しいなどと言い出しはしないかと。
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