【BL-R18】魔王を倒した勇者にかけられた淫呪

ルーアに対する想い

　あれからレイズ達３人は、王都の城下町まで戻ってきていた。

　王城で、国王に魔王討伐の報告をするためだ。

　だが、既に夜なので、王城に向かうのは明日にし、とりあえず馴染みの宿に向かうことにした。





　魔王城を出てから４日。

　その間に、ガインはすっかりあの時の出来事を忘れて今まで同じようにレイズに接している。

　対するレイズは、ガインの顔を見るとあの淫らな出来事を思い出してしまい、ぎこちなくなってしまう。

　細かいことを気にしないガインはそんなレイズの態度に気が付かないが、もう一人の戦友は、その変化をつぶさに感じ取っていた。


「レイズ、どうしたんだい？なんだかいつもと様子が違うようだけど、何か悩みがあるなら僕に聞かせてくれないか？」


　レイズに優しく声をかけてくる賢者・ルーア。

　彼はレイズの幼馴染であり、レイズが勇者だと判明した後も、魔王の討伐という大役を負った彼を支えるために必死で魔法を勉強し、その類まれなる才能で、回復や補助といった白魔法、敵を攻撃する黒魔法、その両方を若くして極めた傑物であった。

　天才かつ、努力家。更に人当たりの良い温厚な性格。そして、男とは思えないほどに線が細く、中性的な顔立ちの美しい容姿。まさに完璧だった。


　そんな彼と、幼い頃から接しているレイズ。彼にとってのルーアの存在は、幼馴染でも、共に戦う戦友でも、親友でもない。それ以上の存在・・・最愛の人であった。

　だが、同じ男に対して向けるべき感情ではない。

　自分の奥底にある気持ちを、彼に伝えてはならない。

　そう自分に言い聞かせて、自分の想いを封じ込めていたレイズにとって、この淫呪は絶対に彼に知られてはならないものだった。


（ルーアにだけは、絶対に・・・）