桜花創生学園虚実戦争

にゃら

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その2

勝った・・・んだよね

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「で…ここから飛ぶわけね」
 理恵が呆れた声を出す。
「2階からだから大丈夫だろ」
「足が痺れるくらいだね」
「あんた達なんでそんなに落ち着いているわけ!?」
 そうは言われても…普段逃げる時飛び降りているし。
「じゃ、さっさと終わらせますか」
「そうだね」
 ドン!!
 足が痺れるが上手く着地できた。
「な!?」
 バン!
「そのまま突入するぞ!」
「りょーかい!」
 バリン!
 窓を割りDクラスに突入する。中には大将を含め5人。人数ではこっちが不利だが。
「どうやってこんなとこに!?」
 相手が動揺している今がチャンスだ!
「大輔!」
「まぁ待て…確か藤川だったな」
「そうだが」
「このままだとお前らは負ける。よくて相打ちだが」
「そうはさせるか。ここで殺して俺らの勝ちだ」
 銃口を向けられる。
「まぁ待て。お前らの戦争の目的は?」
「そこの福山を殺すことだ」
 やっぱりそうなんだ。
「叶えさせてやる」
 …え?それって負けじゃ。
「どういうつもりだ」
「光を殺させてやるから負けを認めろ」
 大輔が銃口を藤川くんに向ける。
「そんな事が通じるか!」
「殺すことが出来ないよりマシだろ?」
「…くっ!」
 銃を降ろす。
「負けを認めるか」
「あぁ…俺たちの負けだ」
「勝者Eクラス!」
 す、凄い…相手を認めさせて勝利した。でも…。
「俺死ぬの?」
「この人の名前は?」
 そう言って1枚の写真を見せてくる。
「な…!!??」
 なんでこんな写真を持っているんだ!
「誰だこれ?」
「し、知らない!」
 ビコン!!
「さぁ、藤川。殺せ」
「サンキュ」
「構わないさ」
「死にやがれ福山!!!」
 バン!
「会長と良い思いしやがって!」
 バン!
「死ね!死ね!」
 バン!バン!
 血が写真を濡らしていく。
 そう。俺が女装した写真が。


「やったね光!」
「唯もお疲れ様!」
 ハイタッチを交わす。こういう所を見ると戦争に勝って本当に良かったって思える。
「さて、没収品も帰ってきたことだし」
「いつものとこ行きますか」
「私たちも今日は予定あるから行こうか」
「そうだね」
「僕も今日は光たちと行こうかな」
「じゃあまた明日」
「うん。また明日」
 唯と理恵に別れを告げ、オークション会場へ向かう。そういや予定ってなんだろうか?
「光。お前は先にする事があるだろ?」
「大輔に恨みを返す?」
「お前は本当に馬鹿だな。生徒会室に行けって言っているんだ」
 ああ、没収品か。完全に忘れていた。
「ついでに戦争の結果の報告も頼むぞ」
「分かったよ」
 時間的に考えて侑希会長は生徒会室だろう。取り敢えず行ってみるか。

「失礼します」
 生徒会室の扉を開け中に入る。
「え?」
 侑希会長と森田先輩が普通に座って仕事をしている。いや、それが当たり前なんだけどね。普段の言動から考えてこっちの行動が異常に見えるとか…。
「どうした?突っ立て無いで座れ」
「あ、はい」
 侑希会長に促され自分の椅子に座る。
「どうした?そんな鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして」
「いえ。こうやって仕事をしているのを初めて見たもので」
「私だって仕事くらいするさ。生徒会を何だと思っているんだ」
 変態の集まり。とは答えにくいな。
「それで?戦争の結果は?」
「Eクラスの勝利で終わりました」
「そうか。ならこれを持っていけ」
 渡された段ボール箱にはEクラスの没収品が入っていた。
「ありがとうございます」
 ふう。これで俺のミッションは完了と。後はこの荷物をクラスまで運べば良いだけだ。早く合流してオークションに参加しないと。
「時に福山光」
「何ですか?」
「相手への罰はどうなった?」
 あ、そっか。それも報告しないと。罰ね…ん?
「死んでいる間に話が終わっていたので分かりません」
「君は死ぬのが趣味なのか?」
 そんな訳ないでしょ…。俺だって死にたくて死んでいる訳じゃあない。ないけれども最近は確かに死に過ぎだ。
「死ぬと言えばまだ君の処罰がまだだったな」
「おっと!時間が無いので失礼します!」
 殺される前に生徒会室から脱出した。
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