桜花創生学園虚実戦争

にゃら

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その2

持ち物検査

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「さて言い訳を聞こうか」
 目が覚めたら昨日と同じ場所、男子寮のある部屋に昨日と同じように拘束されている。
「女子トイレに女子更衣室の潜入。白石理恵と千原唯の着替えの覗き、生徒会長後藤侑希との不純異性行為。間違いないな」
「会長とは何もしていない!」
「光。他は全部したのか…」
 大輔が呆れたように言う。仕方ないじゃないか。全部会長に言われた事だし。
「ってか大輔助けてよ」
「まぁ確かに。俺にとってお前を殺すメリットもお前を助けるデメリットもない。…だが」
「だが?」
「お前が幸せなのはムカつく。殺したいほど」
「最低か!!!」
 こいつに助けを求めたのは間違いだった。
「と、徹!君は助けてくれるよね」
「うーん。助けたいんだけど」
「だけど?」
「姉様の裸見たわけだし…」
「は、裸は見てない!下着姿まで!」
「許せないよね」
 このシスコンが!
「おい聞いたかよ」
「あの白石姉の下着姿まで見たとよ」
「変態なゴミだな」
「殺すか」
 こいつ達は変わらないし!
「と、とにかく!罪は認めたのだからもういいだろ」
「いいわけあるか!」
「死ね!」
 ナイフが身体中に刺さり死んだ。
 もう嫌だこんな学校!

 やっとこさ自分の部屋に戻ってこれた。
「で?生徒会はどうだ?」
 ジャージに着替え3人で団らんしているとふいに大輔がそんな話をしてきた。
「変態が多い」
「あの会長が変態には見えないけど」
「だよね。俺もそう思った事はなかったけど」
 まさかあんな性癖があったとは…。
「勧誘があったのはお前だけか?」
「どういう事?」
「2年で生徒会役員はお前だけか?って聞いているんだよ」
「あ、うん。多分」
 今日会った人は皆3年生だ。
「妙だな…」
「どういう事?」
「いや、本来なら秋に生徒会は入れ替わるだろ?」
 確かに。秋に選挙が行われその中から役員は選ばれる。それまではほぼ最上級生が役員を行い、秋に引き継ぎが行われるのが通例行事だ。
「その期間を前通しにする意味が分からない。って事かな?」
「ああ。しかもクズな光だけ」
 クズは余計だ。でも徹の言う通り不思議ではある。
「もしかすると…いや、それはないか」
「どうしたのさ?大輔」
「いや。何でもない。取り敢えずお前は普段通りの行動をしろ」
「うん。分かった」
 きっと大輔の中で何か考えがあるのだろう。



 翌朝。
 目が覚め携帯を確認すると1通のメールが届いていた。
『おはよう』
 何だ。会長か。
『おはようございます』
『校門で持ち物検査するから今から来てくれ』
『分かりました』
 さて着替えて行こうか。
「ん?もう行くのか?」
「うん。会長から呼び出し」
「何かあるのか?」
「持ち物検査だって」
「そうか。助かる」
「大変だね」
「まぁね。行ってくる」
 あ、唯と理恵にも教えておかないと。


「これはなんだ?」
「…DVDです」
「内容は?」
「…言えません」
 ビコン!
「内容を確認次第、君を殺そう」
「それだけはぁあああ!!」
 マシンガンを担いでいる会長が男を収監していく。
「これは?」
「…雑誌です」
「内容は?」
「…保健体育」
 ビコン!
「内容を確認して、君を殺す」
「やめてくれぇええ!!」
 こうして犠牲者が増えるのか。
「福山!なんで教えてくれないんだ!」
「いや、教えたら抜き打ちの意味ないから」
 全く。皆、授業に関係無い物を持ち込み過ぎだよ。
「おはよう光」
「おはよーさん」
「あ、おはよう唯、理恵」
「持ち物検査?」
「うん。念の為確認しても良いかな」
「良いよ」
 まあ2人には事前に教えた訳だから不必要な物は無いだろう。
「はい。唯ありがとう」
 案の定唯の鞄からは何も出てこなかった。
「次は理恵だね」
「はいはーい」
 うん。理恵の鞄も問題ない。授業で使う物と部活で使う物しか入っていなかった。
「ありかと理恵」
「どいたまー」
 こんな感じだったらわざわざ教える必要もなかったな。
「おーっす」
「おはよう」
 2人の持ち物検査が終わる頃大輔と徹が登校して来た。
「おはよ」
「2人共持ち物検査」
「はいどうぞ」
 徹が先に鞄を差し出して来る。鞄の中にはノート。そっと理恵の顔を添えて。ボールペン。そっと理恵の体で巻いて。
「没収!」
「何で?」
「写真は要らないでしょ!」
「必要だよ。姉様の写真を見るとテストの点数が良いんだよ」
「そんな訳あるか!兎に角没収するからね」
「分かった。姉様の写真であんな事やこんな事する気なんだね。許さないよ」
「しないから!」
 折角教えてあげたのだから今日くらい持って来なければ良いのに。
「次大輔ね」
「ほらよ」
 大輔から鞄を預かる。中には教科書と一緒にエロ本が。
「没収」
 何で今日持ってくるかな。
「いやー。ミスったなぁ」
 そうニヤニヤ笑う大輔に違和感を覚える。
「没収されたのに何でそんなに上機嫌なのさ」
「そりゃそれがお前のエロ本だからな」
「え?」
 慌てて没収したエロ本のタイトルを見る。間違いない。俺のだ。
「何で俺の持ってるの!?」
「いやー貸す約束しててな」
 何故本人の確認もなしに貸す約束なんかするんだ。
「で?どうする?没収するか?」
 会長と他の生徒会の人は他の人をチェックしている。隠すなら今だ。
 他の人の目を盗み制服の中にエロ本を隠す。
「没収された物が生徒会に盗まれた!」
 そうわざとらしく大声で叫び出す。
「大輔!」
「何だ?問題でもあったか?」
 その声に一早く反応したのが会長。
「何でもないです!」
 ビコン!
「む?今嘘を吐いたな。説明してもらおう」
「持って来たエロ本を制服に隠してます」
 大輔め!
「どれ?見せてもらおうか」
「持ってないですよ」
 ビコン!
「そうか。分かった。福山光。君も後から殺すとしよう」
「そんな…」
「じゃあな」
 ニヤニヤと笑いながら大輔は校舎の方に向かって歩き出した。
 
「だいたい終わったな」
 向こうから会長がやって来る。
「お疲れ様です」
「君も初めてにしては上手く出来ていたぞ」
 あ、それは嬉しい。会長のしている事を見よう見まねでしただけども。
「あの…会長」
「なんだ?」
「どうしてその場で殺さないんですか?」
「うむ。良い質問だ。私はこのマシンガンで大量に殺したことはないんだ」
「はぁ」
 それが何の関係があるのだろう。
「ここで経験したくてな」
「危険思考!!」
 この人学園卒業してからまともに生きていけるのだろうか心配だ。
「さあ、君も並べ」
「あ、やっぱり覚えていたんですね」
「当たり前だ」
 残念。時間経っていたし覚えてないと思っていた。
「どこに並べば良いですか?」
「何だ。今日はやけに素直だな」
「どうせ逃げても殺されるでしょ?」
「うむ。その通りだ」
 ならさっさと殺されて大輔に復讐するのが先だ。
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