桜花創生学園虚実戦争

にゃら

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その2

いざ生徒会

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 そして翌朝。はぁ…昨日は散々だった。昨日だけで何回死んだのやら…。
 自分の時計を確認する。これには時間だけでなく残りのポイントも確認する事が出来る。例外的に譲渡が可能なのだけども。例えば昨日みたいなオークションのお金をポイントで払ったりする事が出来る。ただこの学校にいると現金をほとんど使わないから皆現金払いが主流だ。提供者がどうしてもポイントが欲しい時は例外だけど。
「んー。次のテストまで持つかな…」
 自分のポイントを確認すると結構ギリギリの数字だった。来月にはテストもあるしどうにか持つとは思うけど。
「おはよう」
 寮を出ると会長が待っていた。昨日の散々な目に遭った原因の1つ。
「おはようございます」
「おい…一緒に登校だと」
「やっぱり殺すしかないか」
「生き埋めとかどうだ」
 後ろから怖い会話が聞こえてくる。
「なにやら疲れているな」
「えぇまぁ。会長のせいで」
「ん?それは悪かった。私はただ返事が欲しくてな」
「良いですよ。どうせ断っても無駄でしょ」
「まぁな。では早速だが今日の放課後生徒会室に来てくれ」
「分かりました」
 これで少しは自分の身も安全になるだろう。
 なんて考えは甘かった。

「被告福山光。証言台へ」
「だから!何もしていないってば!」
 教室に着くなり田中くん達に捕まり縄で縛られた。
「田中。報告を」
「はい。校門であの麗しの会長と朝からイチャコラしているのを複数の人間が目撃してました」
「それは生徒会の打診があったからって昨日伝えたじゃないか」
「黙れクズ」
「扱い酷くない!?」
 本気で泣くよ?
「目撃者の白石弟よ。それは事実か?」
 徹なら助けてくれるかも。
「正直ちゃんとは見ていないけど」
「けど?」
「相手が姉様以外なら興味ないや」
 このシスコンめ!少しでも期待した俺が馬鹿だった。
「では判決だが死刑が妥当だろう」
「それって1番重い刑だからね!?」
「五月蠅い!羨ましいんじゃ!殺されろ!」
「小川くん!言っている事がもう無茶苦茶だよ!」
「まあ待て」
「大輔」
「お前等の気持ちは良く分かった。だが少し時間をくれないか」
 あぁ、やっぱ親友だよ大輔。流石だよ。ここと言う時に助けてくれる。
「中村。何をする気だ?」
「殺すのは簡単だ。だがそれだけだと面白くない。そこでだ。これを使うのはどうだ?」
 大輔が差し出してきたのは1冊の本。タイトルは世界の拷問だった。
「これを適当なページから選んでそれを実行するってのはどうだ?」
「大輔め!一瞬でも信じた俺が馬鹿だったよ!」
 もうこの裏切り野郎なんて信じない。
「まあ待て光。良く考えろ。お前にとって有利な物が出るかも知れないぞ」
 確かに最悪死なないかも知れない。
「大輔。そこまで考えてくれてたんだね」
「当たり前だ。俺とお前の仲だろ」
「ありがとう大輔」
「じゃあめくるぞ。釘バットでタコ殴りだ」
「いつの時代だよ!」
「よーしお前等釘バットを持て」
「サー!イエッサー!」
「何でこういう時だけ皆行きピッタリなの!?」
 それから始業のチャイムが鳴るまで殴られ続け死んでしまった。


「そういや光」
 昼休み。普段ならいつものメンバーで校庭とかで食事するのだけど今日は珍しく食堂に集まった。目当てはレディースセット。月1回女子生徒限定でワンプレートランチが無料で食べる事が出来る。その為食堂にはいつのも増して女子生徒が集まる。逆にメンズデーもあり、その日は男子生徒が丼系を無料で食べる事が出来る。ただ食堂は男まみれになるのだけども。
「何?大輔」
「結局生徒会はどうしたんだ?」
「あ、入ったよ」
「え?光生徒会に入ったの!?」
「そんなにおかしい?」
「いや、ビックリしただけ」
 そう言ってくれるのは唯くらいだ。
「でも大変じゃない?模範生みたいなもんだし」
「確かにね」
 理恵の言う通りだ。今更ながら俺に務まるのだろうか。
「でもまあ、こっちとしては助かる事が多いな」
「ん?どうして?」
「抜き打ち検査や戦争の結果が瞬時に入ってくるわけだ」
 なるほど。大輔の言う事は一理ある。
「戦争の結果はまだしも抜き打ち検査を先に知るって何だか皆に申し訳ないよ」
 徹が言う事も良く分かる。でもそれは校則違反ではないしその辺徹はやっぱり真面目。
「お前のコレクション没収されたいか?」
「皆には申し訳ないけど先に知ろう」
 前言撤回だ。さすが俺と大輔と対等に渡れるクズっぷりだ。しかも徹のコレクションって全部姉の理恵なんだよな。昨日買った写真だけでも良いから返して欲しい。
「光。私にも先に教えて」
「あ、ウチもよろしくね光君」
「それは良いけど2人共没収されたくない物でもあるの?」
 唯や理恵は真面目だからそういう物無いと思っていたんだけど。
「光には言えない」
「え?何で?」
「女の事情だから」
 はて?俺に言えなくて女の事情か。って事は女性が使う物かな…あ。
「生理用品か」
 グサ。
「ははは。唯ったら何で俺の腕をナイフで刺すのかな」
「光が馬鹿だからじゃない?」
「命あるだけマシだと思いなよ光君」
 まあ刺されただけならギャグ漫画の様に一瞬で治るけど。刺されるのはやっぱり痛い。
「光。姉様の生理周期を知ってどうするつもりなのかな?」
「何もしないよ!それに生理用品は没収しないからね!」
「なら良いけど」
 ポケットに突っ込んでいた手を出す。徹め。あそこにナイフ仕込んでいるんだな。下手な回答していたら殺す気だったんだろう。
「まあ俺としては抜き打ちより戦争だな」
「やけにそこに喰い付くね大輔君」
「まあな。理恵も知っているだろ?俺等の最終目的を」
「まあね」
 そう。この学校では卒業するだけでは意味が無い。
 桜花創生学園校則⑥卒業時上位30名のみに就職及び進学を斡旋する。
つまりただ卒業しただけでは一般の高校生と同じ扱いを受ける。高校を卒業した事にしてくれるのは優しさだかららしいが。俺達はエリート街道に進む為にここに来ている。だから何としても上位30名に入らなくてはいけない。入学時には100名居た同級生を蹴落とす必要がある。
「何となくだけど大輔の考えが読めた」
「ほう。光にしては珍しいな」
「同じクズの考えだって事だよ」
「俺はお前の事を考えてやっているんだぞ」
「はいはい。ありがと」
 まあ確かにこの中で上位に食い込めるギリギリが俺だろう。なんだかんだ言って皆テストの点数は高いし。だからと言って戦争直後に新しい戦争を吹きかける様な真似はしたくないのが本音でもある。まあ最終的にはそうも言っていられない日が来るかも知れないけれども。
「生徒会には今日から行くのか?」
「うん。そのつもり」
「そうか。俺達の為にも頑張ってくれよな」
「分かってるよ」
 さてさて初の生徒会活動はどうなるやら。
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