桜花創生学園虚実戦争

にゃら

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よく小さい頃親とかに「正直に生きなさい」とか「嘘つきは泥棒の始まり」とか言われた事はないだろうか。実際嘘を吐いたからと言って泥棒になるわけじゃないし、人生で1回も嘘を吐いた事のない人なんていないだろうし。正直に生きているとこの世界では生きにくい。だから結局あの言葉は何の為に言っているのか俺には分からない。そんな事を思って16年。いつの間にか高校2年になっている俺がいる。いるのだけれども…。
「待てやこらぁぁぁ!!!」
「誰が待つか!!!」
「嘘つき罪で生徒会室に連行する!」
「連行にそんな刃物がいるか!!」
 飛んでくる刃物を避けながら逃げる。とにかく逃げる。
「いい加減捕まれ!」
「断る!」
 背後から感じる殺意と飛んで来るナイフを器用にかわす。しかしいい加減何処かに隠れないと捕まって連行され死が訪れそうだ。っといい所に。
「どこ行った!」
「消えた…だと!」
「そんな馬鹿な!」
「この辺りを探せ!」
「見つけて殺せ!」
 そんな会話を扉越しに聞く。助かった。どうやらここに隠れたのはバレてない。
「…光?」
 後ろから声が聞こえる。
「や、やあ。おはよう唯。朝練お疲れ様」
 振り向くと同じクラスで幼馴染の千原唯【チハラユイ】が居た。
「あ、うん。ありがと。えっと…光はなんでここに?」
「いたらおかしい?」
 ビコン!
「いや…そうじゃなく」
「じゃあ、俺行くから…ゆっくり着替えて」
 そう言いながら部屋から出ようとする。
「…なに女子更衣室入って来てんのよ!」
 ヤバい!気付かれた!
「さぁ…生徒会室行こうか」
 慌てて出た先には刃物を持って笑っている男たちが居た。
「お断りします!」
 そう言いダッシュで逃げる準備をする。が、
「まあそう慌てるな。ゆっくり連行してやろう」
「は…はい」
 周りを男たちに囲まれる。こうして俺の逃亡劇に幕が降ろされた。
 西暦2XXX年。政府はあまりにも嘘が充満した世界をどうにかしようと法を新しく作る。その中で出来た1つが【桜花創生学園(オウカソウセイガクエン)】現在俺が通っている高校だ。この学校は試験学校でとにかく学費が安い。その変わりこの学校では嘘を吐くと厳しい罰がある。嘘を吐くと脳波の乱れを感知し腕に付けている時計が鳴り響く。鳴り響くと生徒会の執行部が現れ厳しい罰が待っている。また、嘘を吐いた者を誤魔化した場合にも同じ罰が待っている。罰が嫌なら嘘を吐くな。嘘を吐いた者を許すな。良い大人になれというのがこの学校の方針だと良い大人が言っていた。
「全く…何度ここに来たら気が済むんだ福山光【フクヤマヒカル】」
「なら捕まえないで下さいよ後藤会長」
 反省文を書きながらこの学園のトップ。生徒会長である後藤侑希【ゴトウユキ】さんに呟く。
「君1人捕まえないというわけにはいかないから仕方ない。嘘を吐かなければいい話だ」
「そうですね…」
 はぁ、反省することなんてないのに。
「ところで…今日の私は可愛いか?」
「ええ。とっても」
 ビコン!
「君の処罰は決まったよ。紐なしバンジーで良いな」
「お断りします!」
 慌てて逃げようとする俺に対し無数の刃物が突き刺さる。
「貴様!会長は世界一可愛いだろうが!」
「死して償え!」
「このクズ!童貞!」
 童貞は関係ないだろ!と死にながら思う。
 この学園は嘘を吐かないよう作られた。嘘を吐くと痛みを感じながら死に特殊な技術ですぐ蘇る。全ては嘘の無い世界の為に。
桜花創生学園校則①嘘は吐かない。
桜花創生学園校則②嘘を吐くと死ぬ。
「はあ…朝から疲れた」
「聞いたぞ。朝から覗きしたらしいな」
 ニヤニヤ笑いながら悪友の中村大輔【ナカムラダイスケ】が話しかけてくる。
「全く…着替えていたらいきなり入ってくるんだもん」
「ごめん。追われていてつい」
「なんで追われていたら女子更衣室に入るようになるのか知りたいんだけど」
「ははは」
「で?見たの」
「いーや全く」
 ビコン!
「見てんじゃないの!」
 くそ!この学校は生きにくい。
「死にやがれぇぇぇ!!!!」
「千原さんの裸を見ただと!!」
「言え!大きさはどうだった!形は!色は!」
「くっ!」
 大輔を初めとする男たちの怒号と刃物が突き刺さる。あぁ…身体中から血が出ている。
「…B」
「失礼ね!Cはあるわよ!」
 ビコン!
 ははは。唯ったら見栄を張って嘘を吐いている。
「唯が嘘吐いたぞ。さあ唯を殺すんだ」
「そんな事よりお前が先に死ね!」
「このセクハラ変態野郎!!!」
「なんで!?」
 更に刃物が突き刺さる。あぁまた死んだ。
桜花創生学園校則③嘘を吐いた者を見かけた場合即座に殺すか生徒会室
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